東京はピークアウト? 

東京都の新型コロナウイルス専門家会議では、新規陽性者数の7日間平均は、前回の1万4492 人から1万0913 人に減少、感染拡大のスピードを示す増加比も約75%とのデータが示された。5週連続の減少傾向だ。 

「ピークアウトっていう言葉自体の持つその現状軽く見させるような、あのニュアンスがちょっと僕はリスクだと思うので」 

大曲氏は、記者会見で、「ピークアウト」という言葉を使わなかった。
大曲氏は、記者会見で、「ピークアウト」という言葉を使わなかった。
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「ピークアウトか」と問われた国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長はこう話し、「今だに、1日の感染者数が1万人を超える高い水準で推移している」として感染予防対策を緩めないよう呼びかけた。 

重症からの死者は減っても 

「死亡者の中で占める重症者の比率は下がってきています」 新たに死亡が報告された人が、今週は203人にのぼり、過去最多となったことが明らかになった。最も多いのは80代の87人、次いで90代の52人だか、10歳未満も1人報告されている。 

大曲氏は、「死者の9割が心臓、肺、腎臓などに基礎疾患があり、それが悪化して亡くなっている」として、新型コロナで重症になり亡くなる人より、持病が悪化して亡くなる人が多くなっている、という医療を明かした。 

東京都の専門家会議に出席する小池知事(午後3時前 都庁)
東京都の専門家会議に出席する小池知事(午後3時前 都庁)

子供の後遺症の分かりづらさ 

「周囲が理解できないことが多いと聞いています」 東京 iCDCの賀来満夫所長は、子供の後遺症について、倦怠感・頭痛・嗅覚味覚障害など大人と同様に多岐にわたり、小学校の高学年から中高生に多いが、小さい子供でも見られる、と話した。

また、後遺症だと思ったら小児の一般的な病気が隠れている事もあり、例えば、息苦しいと思ったら「ぜんそく発作」だったり、疲れやすいのが「鉄欠乏性貧血」のこともあり、症状がある場合、早めに医療機関を受診するよう呼びかけた 。

記者会見で、賀来氏は、新たに作ったコロナ後遺症のリーフレットについて説明した。
記者会見で、賀来氏は、新たに作ったコロナ後遺症のリーフレットについて説明した。

こんなに急に落ちるとは・・・

「こんなに急に落ちると思っていなかった」 ある関係者は、当初、9月下旬に、新規感染者数の7日間平均が1万人程度かと思っていたが、今の減少傾向なら7000人ぐらいまで減るのでは、との見方を示す。 

しかし、それでも高い数字である上、全数把握見直しでデータが取れなくなると「今後の動向がさらに見えなくなる」として今後の対策決定が難しくなる事への懸念を示す。 さらに「冬にはまた必ず(コロナ患者が)増える」とも。 感染者数の減少がしばらく続くとみられる今こそ、次の波にどう備えるのか、同じ轍を踏まないためにも「確実な対策」が急務といえる。

(フジテレビ社会部 都庁担当・小川美那)

社会部
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今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

小川美那
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「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。