菅新政権が発足して1週間。4連休が明けて本格的に政策課題に向き合うことになる。どのような政策にどう取り組んでいくのか、その行方を探った。

先送りされてきた課題に決断の時期が

「早急に処分方針を決定する必要がある」

この言葉を、梶山弘志経済産業大臣は記者の質問に対して、2度繰り返した。
「夏までに」決めるはずが、新政権に「先送り」された重要課題がある。
東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水、その処分方法だ。記者は処分方法について、「決断する時期にあるのでは?」と問い質したのだった。

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国の検討委員会は2月、「海洋放出」を現実的な選択肢として提言している。
東京電力によると、汚染処理水のタンクも2022年の夏ごろには満水になる見通しだ。「放出」に向けた準備期間を考えれば、政府は、2020年の夏ごろまでを目安に、処分方法について結論を出す方向で動いていた。
しかし、安倍首相が突然、辞任を表明し、決定時期が秋以降にずれ込む状況となっている。

汚染処理水は、多核種除去設備(ALPS)で処理されているものの、放射性物質のトリチウムが除去できずに残留している。
経済産業省などは、地元や関係団体などから、引き続き意見を聞いたうえで「海洋放出」にするのか、政府として決定する方針だ。
しかし、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は「海洋放出に断固反対」という立場で、、漁業関係者や地元住民の中で猛反発が起きることは間違いない。

東日本大震災以降、歴代の経済産業大臣は、就任や再任される度に、大臣としての抱負として「最重要課題である福島復興、廃炉・汚染水対策の着実な進展に取り組む」と、必ず常套句のように話してきた。
汚染処理水の処分方法を決める立場にある梶山大臣は「国が責任をもって決断をする」と述べるにとどまり、具体的な方針や今後の手続きはまだ明らかにしていない。

「大臣の抱負」にはなくて、「総理からの指示」にあったこと

菅内閣が誕生した9月16日の夜、再任された梶山経産大臣は、8項目の「大臣としての抱負」を発表した。
その中で、中小企業に関して
「中小企業の雇用を守り、事業継続に全力を尽くす。加えて、生産性向上支援や下請け取引の適正化などを通じ、中小企業の新陳代謝促進と、地域経済の活性化を力強く後押しする」としている。

一方で梶山大臣は、就任直後の記者会見で「総理からの指示」として
「中小小規模事業者の雇用事業を守るため持続化給付金などの実行、ダメージを受けたイベントや商店街等の支援など、中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを検討すること」があったことを明らかにした。

「大臣の抱負」には示されていなかったのに、「総理からの指示」には明確に盛り込まれた内容がある。
ダメージを受けたイベントや商店街等の支援」である。
つまり、政府の需要喚起策「GoToキャンペーン」のうち、感染拡大で打撃を受けたイベントや商店街を支援する「GoToイベント」と「GoTo商店街」。
これらの事業の確実な実施を、菅総理は梶山大臣に指示したということだ。

梶山大臣は、「GoToイベント・商店街」事業の早期開始には慎重な姿勢を見せていた。9月11日の記者会見では、

梶山経産大臣:
確実に人が集まる事業であり、感染者が増えるようなことになれば元も子もない。
10月中旬以降をめどに事業を始めたい

…と話し、感染防止策の徹底が大前提との考えを示していた。

そんな中、4連休最終日の9月22日、西村経済再生担当大臣は、9月中にも政府の新型コロナウイルス対策分科会を開き、「GoToイベント・商店街」の2つの事業の実施に向けて、専門家に判断してもらう考えを示した。

経済産業省は「分科会の決定事項も念頭にいれながらできるだけ早く実施したい」という方針のため、感染症対策の実施状況を見極めながらも、10月中旬に事業開始に「踏み切る」可能性が高まっている。

菅首相就任で経済活性化の動きが、より本格化している。

(フジテレビ経済部 経済産業省担当 吉田寛生)