俳優の大東駿介さんが、関西の街を歩きながら魅力を学ぶ「発見!てくてく学」。
奈良公園の鹿は、国の天然記念物に指定されていて、所有者のいない野生動物です。奈良は、野生の大型哺乳類が人間と共存している、世界でも珍しい街です。
また奈良公園の林は見通しがよくなっていますが、これは鹿が届く範囲の枝葉を食べているからです。枝葉がなくなる境目は「ディアライン(鹿の線)」と呼ばれています。
■いま奈良といえば「かき氷」
奈良市内でかき氷を売っているお店は60店舗以上。いまや奈良の定番グルメとなっています。
ブームの先駆けともいわれるお店の一つ「おちゃのこ」を、大東さんは訪れました。
おちゃのこ代表取締役の岡田英一さんによると、もともとお茶を販売しているお店で、「れいちゃ」という台湾のお茶を広めるために、かき氷に使い始めたそうです。
氷を削る機械を調節し、今では定番となった薄くふわふわの氷を削り出すことにも成功。お茶を使った特製のシロップをかけたかき氷は、たちまち人気となりました。
外国人観光客の滞在時間(国土交通省のデータより)が、奈良は平均4.7時間と関西で最下位。岡田さんは鹿と大仏以外にも奈良の楽しみを増やしたいと、「氷室神社」の協力のもと、各店オリジナルのメニューをふるまう「ひむろしらゆき祭」を開催。これが多くのメディアに取り上げられ、奈良のかき氷ブームのきっかけとなりました。
■世界遺産「春日大社」が守り続ける聖域
世界文化遺産に登録されている春日大社は、「たけみかづちのみこと」という神様が茨城県の鹿島から白い鹿に乗ってやってきたとされ、平城京の守護と国民の繁栄を祈願するために創建されました。
奈良の東側、太陽が昇る方角にあることから、「すがすがしい清らかな場所」という意味をこめて、強調の接頭語「か」をつけて、「かすが(春日)」という名前が生まれたといいます。
案内してくれた春日大社広報担当の秋田真吾さんによると、20年に一度の「式年造替(しきねんぞうたい)」という修繕事業が、これまで60回行われてきました。60回を超えるのは伊勢神宮と春日大社だけだそうです。
また春日大社には約2000基の石灯籠があり、そのうち15基だけある「春日大明神」と彫られた石灯籠を一晩に3基見つけると、「お金持ちになる」と言われています。
■古代から守られてきたもう1つの世界遺産
春日大社の東側にそびえる神山・御蓋山(みかさやま)。白い鹿に乗って神様が降り立った神聖な山を守るべく、もとの地形を崩さずに建物が建造されているため、回廊は斜面に建てられ、扉や窓は傾斜に合わせて一つ一つ角度が違っています。
春日大社が守り続けてきた御蓋山は平安時代から現在まで、伐採や狩猟はもちろん、立ち入ることも禁じられている聖域です。「春日山原始林」という名称でここも世界文化遺産に登録されています。
秋田さんによると「世界で一番街に近い原始林」で、世界的にも非常に珍しい存在だといいます。
歴史を重ねてきた春日大社。鎌倉時代の絵巻物「春日権現験記」に描かれた建物や庭の配置は今もほとんどそのままですが、絵の中で細かった木が、今は大きなご神木となっています。
【大東駿介さん】「700年前の絵と目の前のご神木を見ると『大きなったな~』という気分になる。よく頑張ってきた。700年携わってきた人々が、この環境を守ってくれたということですね」
▼大東さんの“発見”の全ては、動画でじっくりお楽しみください。
https://youtu.be/JE8OABLwL6U
(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」 2025年5月8日木曜日放送)