鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。

【野川アナ】
今回、取材するのはこちら、アストラムラインの屋台骨を支えてきた6000系です。
今月の引退が決まり、その花道を盛り上げる特別企画に密着取材しております。
それでは…出発進行!

【広島高速交通総務課事業推進係金行修一さん・野川アナ】
「ツアーの中で、もしかして?」
「お客様を乗せた状態で大町駅の3番線までお連れ致します」
「あら!お客さんを乗せたまま3番線というのは?」
「史上初めて」
「(アストラムラインの)史上初めて!」

今年3月に行われた6000系の引退を記念したイベント、その名も『アストラムライン急行リバイバルトレイン』。1999年から5年間だけ運行された急行運転を再現した特別ツアーです。
本通駅を出発し、終点、広域公園前まで途中の停車駅は5つしかありません。

【野川アナ】
「さあ、出発の時間が迫ってきました。もうね、急行、広域公園前行の案内もね、ずっと表示されまして、この6000系でね、ちょっとスペシャルな急行リバイバルの旅を楽しみたいと思います。では、行ってきます」

この日のために、6000系車両は引退記念の特別デザインにお召し変え。
車内の広告スペースやつり革にもメッセージ付きの6000系の写真が掲げられていました。

【車内アナウンス】
「この電車は急行、広域公園前行きです。途中止まります駅は、県庁前、大町…」

この案内放送も当時、実際に流していたものなんです。

【車内アナウンス】
「お乗り間違いのないように気をつけください」

【野川アナ】
「最後の『お乗り間違いのないようにお気をつけください』というのが、やっぱり急行だなって感じがします。いいですね」

そして列車は定刻の午前11時33分…
本通駅を出発。

【車内アナウンス】
「本日は4象限チョッパ方式の6000系車両を楽しんでいただければと思います」

急行列車をナビゲートするのは、アストラムラインのレジェンド運転士の2人…開業時から活躍する運転士ならではのマニアックな案内をしながら次の停車駅、大町を目指します。

【野川アナ】
「もちろん通常の営業時だったら考えられないことですけれども、高架区間を快調に飛ばしております」

列車が不動院前駅を通過したところで…

【車内アナウンス】
「じゃあ、いったん停車します」

何と祇園新橋の真上で一旦停止。
これも特別ツアーならではです。

【車内アナウンス】
「ここで停止することはございません。ここからの眺望、楽しんでください」
「よろしいですか。では、そろそろ発車します」

大町駅へと向かう道中で、6000系のこんなエピソードも披露されました。

【車内アナウンス】
「新交通システムが採用される際に風洞実験を行った時には、最大風速50mでも乗り心地は若干悪くなるけれども、安全だと言う実験結果が出ておりますので」

アストラムラインが台風でも走っていたというのも納得ですね。
そして、列車は急行運転のキモとなる引き上げ線がある大町駅へ。

急行運転の仕組みはこうです。
大町止まりの先発列車を回送列車として一旦、引上げ線に入れ、その間にあとから来た急行が大町駅で追い抜きます。
引上げ線の回送列車をホームに戻し、大町発の広域公園前行きとして急行運転を実現していました。

今回のツアーではこの設備を使って、大町駅をぐるっと一周します。
まずはアストラムライン史上初!乗客をのせたまま3番線へ。
この後はダイヤの合間を見て、2番線へ。
そこから渡り線を通って再び、大町駅の1番線ホームへと滑り込みました。

カメラの二刀流って鉄道ファンの熱量は改めてすごいですね。
大町駅を発車すると上安、長楽寺、大塚駅に停車しながら、終点、広域公園前駅へ。
ここでもスペシャルな体験が待っています。

【車内アナウンス】
「広域公園前、構内入換体験発車します」
列車に乗車したまま、広域公園前駅のさらに先、入換線の区間へと入ります。

【野川アナ】
「終点の広域公園前駅に着いたんですけど、普段はもちろん、そこで降りないといけないのですが、このツアーでは特別にその先。方向転換をして折り返すための入換体験をさせていただいています。今普段は絶対に入れない区間に行っています」

利用者が乗ったまま、この場所に入るのも、もちろん、アストラムライン史上初めてです。
入換体験を終え、列車が長楽寺の車両基地へと帰ってきました。
ここでも引退する6000系車両との記念撮影や、その雄姿を記録に残すべく、ファンが思い思いにシャッターを切ります。

【横浜から参加した男性】
「横浜出身で新交通システムというのは、横浜のシーサイドラインで同じ感じのモーターを積んでて。アストラムライン自体は初めてなんですけど、乗らせていただいて」

実はこの方、車内で6000系のモーター音をしっかり録音していました。
いわゆる音鉄という鉄道の音を楽しむファンだったんです。

【横浜から参加した男性・野川アナ】
「たぶんね、皆さんシーンと静かにしていましたから、(モーター音が)綺麗に入ってると思うんですけど」
「ありがたかったですね。皆さん静かにしてくれて」
「この後、キレイに撮れた音をどうしましょう?」
「もう自分で楽しむだけに取っておきますね」

【広島市の小学生・野川アナ】
「ちっちゃい頃から6000系が好きで、アストラムが好きになったから、6000がなくなるのは正直辛い」
「あの…彼の家にはアストラムラインの運転台があってですね、筋金入りでございますのでね。今日、(カバンの)中に何を入れてきたの?」
「アストラムラインくん。つり革、つり革。つり革。アストラムラインのタオル。つり革。広電のつり革…」

ツアーを締めくくるのは、アストラムライン6000系の車両部品抽選会です。
スピードメーターやベルなど本物の部品が、抽選で参加者全員に当たります。

【野川アナ】
「私がちょっとこれが当たるといいなと思ってるのはこちらです。これ、銘板ですね。私も同じ平成5年の生まれなんですね。同い年の車両がつけていた銘板、当たるといいなと思ってます」

抽選会がスタート!当選者が次々と発表されます。

【野川アナ】
「私の番号は77番です。ラッキーなことがあるのか、無いのか」
そしてついに、私が欲しい銘版の抽選が始まります。

【野川アナ】
「おっ!入ってない。ちょっと残念ですね。あら?これが最後の賞品ですか?あ!あ!あ!サボ。急行運転用のサボですね」

まさにミラクル、本日の目玉とも言っていい賞品が当たってしまいました。
参加者限定の記念品も手に入れ、急行リバイバルトレインツアーはフィナーレと成りました。
無事、急行運転を終えたレジェンド運転士は?

【ツアーで6000系を運転:飯塚俊隆さん】
「急行の出初め列車も、実は私が運転させてもらいまして、何か縁があるのかなと思いました。止まる駅を止まらないですとか、急行が運用開始されたときも、すごく注意をしていたことなんで。なんか、あの時の緊張感、思い出しました」

【ツアーで車内アナウンスを担当:池田泰啓さん】
「(車内アナウンスで)鉄道マニア向けの話とかさせてもらいましたが、やっぱりちょっと普通では出てこないような質問がありましたので、(一般の人とは6000系への)熱量が違うのかなっていうのを感じながら、案内にも色々力がこもった感じになりました」
「ご苦労様でした、きょうは」
「ありがとうございました」

6000系の引退は4日後の5月18日。
てつたま取材班は総力挙げて密着取材します!

《スタジオ》
【野川アナ】
「6000系はラストウィークに入っていますが、運行される時間がホームページの特設サイトが出てます。皆さん是非チェックして一緒にお別れを告げることができればと思っております」

テレビ新広島
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