北海道大学の研究グループが、魚のイワナの「あくび」についての研究成果を発表しました。

 世界で初めて、同じ種の生物でも生息地ごとに「あくび」の時間に違いがあることが分かったということです。

 研究グループによりますと、「あくび」は脊椎動物で広く観察されていて、ゆっくり口を開けて最大の状態で静止した後ゆっくり閉じるという行動で、休息状態から活動状態への切り替えのためにしていると考えられています。

 恒温動物では血流を促進したり脳を冷却したりする効果など様々な生理的機能が想定されている一方、変温動物である魚類ではあくびの生理的機能についてはよくわかっていません。

 研究グループは、北海道南部の4つの生息地で採集されたイワナの稚魚134個体を対象に、あくびを観察しました。

 水槽で1個体ごとの行動を9分間録画した結果、134個体のうち44個体であくびが観察できました。

 あくびの持続時間は0.5秒から1.5秒ほどで、生息地間で平均持続時間に最大0.3秒ほどの差があったということです。

 この発見は、あくびが地域ごとの環境条件の影響を受ける可能性や、あくびが地域ごとで独自に進化している可能性を示唆しており、動物界のおけるあくびの理解にも重要な貢献を果たすことが期待されるということです。

 この研究は、北海道大学大学院・水産科学院・修士課程の長坂玲央さんと、同大学院水産科学研究院の和田哲教授、同大学院水産科学院の博士後期課程の山田寛之さんによって行われました。

 長坂さんは「地球上で一番最初に顎を獲得してあくびをしたのが魚類だと言われています。この研究によりあくびの起源や機能に迫ることができると思っていて、人の医学にも応用できる可能性もあると思います」と話していました。

北海道文化放送
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