福島県福島市の先達山で建設が進められているメガソーラー。施設の完成が近づくなか、市民からは防災面などを不安視する声が相次いでいる。
■9月の運転開始目指すメガソーラー
2025年の9月末頃からの商業運転開始を目指す「先達山太陽光発電所」。
吾妻連峰の一角、福島市の先達山に約9万6000枚の太陽光パネルを設置する計画だ。
4月下旬の時点で工事全体の8割が完了するなど建設が進む一方…。
■市民が福島県に申出書提出
5月9日、建設に反対する市民15人は、福島県が事業者に対して行った林地開発許可の取り消しなどを求める申出書を県に提出。許可を出す条件となった排水設備の設計が不十分で、土砂災害が起きる可能性があるなどとしている。
代理人の室谷悠子弁護士は「どうもこの審査書類を見ていると、事業者の言うままにそれを受け入れて許可をしてしまっていて、きちんと審査ができていないのではないかという、そういうところが強く感じたので」と申出書提出の理由を話した。
■事業者のトップが出席し対話
工事が本格化した2022年頃から土砂災害や景観の悪化が懸念されていた先達山のメガソーラー。5月10日に市民団体が開催した会合には、管理運営を行う事業者のトップが初めて出席した。参加した市民は「私たちはそれを子どもたちも、その次の子どもたちもその山を見て、何十年って過ごさなきゃいけないんですね。そういう私たちの悲しい気持ちっていうのは全然無視じゃないですか」と訴える。
■市民に理解求める事業者
計画の見直しや情報公開などを求める意見が相次ぐなか、事業者側は「今後も住民や行政の意見に耳を傾ける」として、改めて計画への理解を求めた。
プロジェクトの担当者は「福島市民の方がこれ以上苦痛になる所が増えないように、やれることはやっていくということは、これからも変わらないので」と話す。
一方、福島市は10日、事業者側に対して敷地内の緑化と適切な管理を改めて要請したということだ。