あなたの家庭が危ない!人間に近い場所に現れる“アーバンベア”。
どうすれば身を守れるのだろうか。

クマの生態に詳しい、森林総合研究所の大西尚樹さんに話を聞く。
いまなぜこのように注意を促したいのかというと、大西さんは「この先、本州では、いつどこでクマと遭遇してもおかしくない状況」が迫っていると言う。

■近畿地方のクマの生息圏は1.7倍 クマが市街地に慣れてきている
山に住んでいるはずのクマがなぜ市街地に出没するクマ“アーバンベア”になってしまっているのか。
元々、山の上の方にクマたちが生息していたが、それが実は年々増え暮らしている山がだんだん狭くなっている。
人は過疎化で減っていて、空き家があると、『あ、ここいけるんじゃない』と、クマが少しずつ人間の暮らしに近いところまで降りてきて市街地に慣れてきてしまっているのだそうだ。
ツキノワグマは分布域が1.4倍。この資料が平成15年度と30年度での比較なので、もしかしたら今はもっと広がっているかもしれない。
(Q.クマが生息する地域は全域で増えいる?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:本州各地、あと北海道にはヒグマがいるんですが、ヒグマも含めてクマの生息圏は広がってます。今の資料では、1.4倍ということだったんですが、近畿地方では1.7倍、さらに中国地方では2.7倍というデータがあります。
先週土曜日に秋田市の民家に、4月2日には盛岡市にもクマが出没している。
青木源太キャスター:秋田市の映像を見ましたが、山あいの家ではなくて、本当にどこにでもあるような普通の住宅街で、クマが出るわけですよね?
森林総合研究所 大西尚樹さん:盛岡市で(クマが出没した場所は)私の家から1キロない場所。こういった県庁所在地があるような街でも、中心部にクマが出てくるということが、全国各地で起きています。

■関西の出没ピークは秋 ツキノワグマがいないのは千葉県だけ
秋田市でのクマの映像があったが、この1カ月、秋田市では目撃情報が相次いでいる。
4月から5月12日までで49件報告があった。
これを受けまして先週木曜日には、秋田県全域に「ツキノワグマ出没警報」が出されている。秋田駅の近くでも、クマの目撃情報があるという怖さがある。
(Q.クマが出やすい季節がある?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:東北地方ではこれから夏にかけてピークになってきます。関西地方とか中国地方は出没が多い年、去年多かったと思うんですけれど、秋にピークを迎える傾向があります。
(Q.ツキノワグマ自体は本州全域で生息?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:そうですね。今ツキノワグマがいないのは千葉県だけです。
青木源太キャスター:本州でツキノワグマがいないのは千葉だけ!逆に言えば本州にお住まいの方は、もうみんな可能性がある。
(Q.秋田市の49件の報告では同じクマ?複数のクマ?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:現場行ってるわけではないので、確定的なことは言えないんですけれど、状況を見てると多くは同じ個体が目撃されているのかなと。
(Q.街に降りてきたクマはどうやって夜を明かす?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:そうですね。今出ている図の右の方の、山の中の点はたぶん違う個体だと思うんです。左側の川の周辺の10個ぐらいの点が、そこはたぶん同じ個体。これに関しては多分、夜も住宅地の中で、どこが居心地のいい場所見つけて寝てる。

■京都、滋賀、大阪でもクマの目撃情報が相次ぐ
関西でもクマの目撃情報が多く出ている。
関西テレビ 神崎博報道デスク:4月には滋賀県の長浜市でも住宅街に出て60代の女性が腰の骨を折るというけががありました。去年には京都南丹市で男性が耳をかまれてけがをされるとか、あと大阪でも茨木市とか、高槻市とか、能勢で、去年で言うと、大体年間10数件の目撃があったりするので、京都、滋賀、大阪でも目撃情報が多く出てます。
青木源太キャスター:クマに襲われたら、当然けがをしますし、逃げようとして転んだりとかそんなことも考えられます。

■クマは暗い場所が落ち着く
クマが自ら家の中にまで入り込んでくる可能性があるそうだ。
村瀬哲史さん:家の中に入ってきているという話があったじゃないですか。逆にクマに例えば遭遇したとしても、家の中に入れば安全やなっていうことでも、あながちないってことになるんですかね?
クマが外から住宅を見た時に、家の中の方が暗く見える場合があり、そうなると『あ、そこは落ち着く場所なんじゃないかな』と、暗い所に向かおうとするそうだ。
(Q逆に言うと中に電気がついていば大丈夫?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:どうでしょうね。やっぱり日中外から見た家の中ってちょっと暗いですよね。どう見えるかはちょっと分からない。人里に入ってきて、クマの方もちょっと落ち着かない状況にいると思うんです。その時にどこかに逃げ込みたいというときに、家とか倉庫とかに入ってくるケースはある。

■クマが「好きなにおい」は”ぬか漬け”
クマは“あるもの”を頼りに市街地に降りてくる。それが“におい”。それも食べ物ではない、意外な“におい”もクマを呼び寄せてしまうそうだ。
クマの「好みのにおい」は…肉・魚、ペットフード、漬物(特にぬか漬け)だ。
さらには“においが強いモノを好む”ので、ペンキ、灯油・ガソリンのにおいにも寄ってくるそうだ。

■クマと遭遇…背を向けて逃げるのは「絶対NG」
またクマに近距離で遭遇してしまった場合、背を向けて逃げるのは「絶対NG」だということだ。
森林総合研究所 大西尚樹さん:クマの方も人間と会いたくなくてドキドキしてるので、その時にこっちがいきなり走って逃げ出してしまったりしたら、つい追いかけてしまうということはよく言われます。
また襲われてしまった時の対処方として、「うつぶせ」、「手で首を押さえる」とある。
(Q.震えてても大丈夫?)
森林総合研究所 大西尚樹さん:震えるのはしょうがないと思いますね。それは抑えられないと思うんですが、とにかくうつぶせになって、お腹とか、手では首を押さえてますけれど、そうやって致命傷を受けないように、ガードをして守るようにしていただきたいと思います。
クマは本州全域で出没するということなので、皆さんご注意してほしい。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年5月13日放送)
