「米」の価格高騰が止まらない。

5月7日の農水省の発表(4月21日~27日週)によると、スーパーマーケットで販売された米5キロ当たりの平均価格は4233円となり、17週連続の値上がりとなっている。

石破首相は「米の高騰」について、いま何を考えているのだろうか。

「石破氏取材歴20年」のジャーナリスト・鈴木哲夫さんは、12日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」で、「石破首相の“不安”と“自信”」と題して、首相を直接取材して感じた“意思”について解説した。

石破首相の“不安”と“自信” 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より
石破首相の“不安”と“自信” 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より
この記事の画像(7枚)

まず、お米の輸入にかかる関税をなくし自由市場での取引に任せた方がいいのではないかという意見に対して、鈴木さんは対処療法ではなく根本的な解決が必要だと話した。

鈴木哲夫さん:農家を大事にする、農業を大事にするというのは、例えば選挙の大事な支持層であったり、いろんな利権があった。だけど『農家を守り過ぎていたから自由化だ』と0から100に一気に流れを転換したような感じがある。だからみんながついていけない感じがある。

鈴木哲夫さん:これまでの政策はやっぱりおかしかったんです。急に米の価格が上がったんじゃなくて、上がる流れを作ってきた。流通の仕組みとか、そういうところを全部変えなければ、根本的に解決しない。いま目先で安くしようと対処療法をやっても、何にもならない。

青木源太キャスター:減反政策を長年やってきたものだから、急に変えようとしても、また時間がかかりますよね。流通の制度も含めて(考える必要がある)ということになると思います。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん
ジャーナリスト 鈴木哲夫さん

■「石破さんは米対策『やる』という意思を相当持っている」

石破首相がいま何を考えているのか。

「“不安”と“自信” 党内に応援団は少ないが…一つ一つやる!“それがコメ”」と、鈴木さんは言う。

鈴木哲夫さん:石破さんと昨日(11日)直接連絡を取りました。『今日(12日)の番組で米の話題をやるよ』ということで。石破さんは米対策、『やる』という意思を相当持っています。かなり強い。

鈴木哲夫さん:いま自民党の中に石破さんの味方、応援団がほとんどいないから、何をやるにもやれないわけです。だけど一つ一つ、とにかくやれることからやっていくしかない。米問題をとにかくやるんだと。

鈴木哲夫さん:具体的に言うといくつかあるのですが、たぶん一つはさっきも言った流通の問題があるんです。今回、備蓄米をバーンと出しているけれども、それがなかなか手元に届かない。JAとかいろんな所を経由して、そこから卸、小売りにいく。いろんな手間ひまがかかっている。そういう流通をもっとシンプルにして、例えばいきなり小売に持っていくことができないか。流通ルートをまずやる。

鈴木哲夫さん:それから米を安くするためには、海外、アメリカの米を輸入する。これをどうも考えているのかな、という気がするんです。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より

■“食の安全保障”「これも石破さんは言っている」

石破首相は「食の安全保障」のために米を作り続ける必要性を言っていると、鈴木さんは言う。

鈴木哲夫さん:これは長期的な問題、すぐ済む問題じゃない。今までずっと重なってきているわけだから、そこをやらなきゃいけない。全体的に米をもっと作り続ける、たくさん作るということです。

鈴木哲夫さん:備蓄米もいま例えば100万トンとか言われていますけれど、備蓄米を作りすぎて無駄ということはないんです。例えば余ったら全国の子ども食堂に配ったらどうか。食の安全保障、何か戦争でもあって外から入ってこなくなったらだめになることがないように、国内で作り続ける。そのために米の安全保障を考える。これも石破さんは言っている。

青木源太キャスター:『応援団は少ない』と鈴木さんは書いていますけれども、米に関しては、応援団が少なくても、首相の権限で対策できると思いますか?

鈴木哲夫さん:いいか悪いか、ちょっとベクトルは違うのですが、『農水族』というのがいるわけです。農業を守ろうという人たち。こういう人たちは例えばアメリカの米を輸入すると言ったら『反対だ。日本の米を守ろう』とやっている。この人たちと一致する部分が出てくるので、純粋な応援団じゃないけど、米を改革したいということに、何となく賛同してくれる。

青木源太キャスター 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より
青木源太キャスター 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より

■そもそもなぜ農業は守られるのか?

「とれたてっ!」コメンテーターの古市憲寿さんは、いくつか疑問を投げかけた。

古市憲寿さん:(農水族は)減反で、農家保護なわけだから、『お米をもっと作りましょう』ということに反対してくるのですよね?

鈴木哲夫さん:ここも矛盾になってくる。ある種の緊急避難的な対処療法的なところでは一致するかもしれない。そこから先、本当の改革をやれるかどうかは、石破さんの力。

古市憲寿さん:なんで農業は守られているのですか。人口が減っているのに、自民党はやはり農業を守りたいのですか?

鈴木哲夫さん:僕個人の考えでは、やっぱり『食の安全保障』。僕は30年間言い続けていますが、エネルギーと食は有事のために国内で作り続ける。例えば南海トラフ地震が起きたときに、いまの備蓄米でどれだけもつのかというと、2カ月ぐらいしかもたないわけです。

鈴木哲夫さんと古市憲寿さん 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より
鈴木哲夫さんと古市憲寿さん 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より

■「米」をめぐる今後の動きに注目

青木源太キャスター:食料自給率を上げようと思ったら、国内の米を消費するのが一番インパクトがあるということですね。

鈴木哲夫さん:そのとおり。有事の時のために作り続けないと。農作物全体に必要だという考え方を僕は持っています。

アメリカなどの大規模農業で生産された安い米と、日本の作り方で例えば減農薬や無農薬の米と、価格に差をつけて消費者が選べるようにしたらいいのではないかという意見については、いま「法律の提案がされている」と鈴木さんは説明した。

鈴木哲夫さん:いま値段を決める法律というものが提案されて、やっと議論を始めているんです。生産者と消費者が折り合う価格というものをきっちり決める。それから高いものはどんどん輸出すればいいんです。そういうことを石破さんがやれるかどうかですね。

今後の動きに注目だ。

鈴木哲夫さん 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より
鈴木哲夫さん 関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」より

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年5月12日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。