長野県上田市は、不登校の子どもや外国籍の人など多様な人の学びの場となる「オープンドアスクール」の設置を検討しています。市内に住む日系ペルー人の女性は、「日本語を学び直したい」と、設置を心待ちにしています。
4月30日、上田市で開かれた「オープンドアスクール」の設置検討会議。
「オープンドアスクール」は、中学校に通えなかった高齢者や不登校経験者、日本語を学びたい外国籍の人などが通う「夜間中学」と、不登校の児童・生徒を受け入れる「学びの多様化学校」を併設した学校です。
「夜間中学」については、国が「各都道府県に少なくとも1校」を設置するよう促していますが、県内にはまだありません。
県は、多様な人の学びの場を確保しようと、「夜間中学」の機能も含む「オープンドアスクール」を県内に複数設置することを目指しています。
現在、上田市と軽井沢町で検討が進められています。
上田市・酒井秀樹教育長:
「不登校の生徒、外国籍の方など、現状の学校という枠の中で、気持ち的に、時間的に入れないつらさを感じているのではないか」
日系ペルー人・原田サユリさん:
「上田に夜間中学始まったら、大変ありがたい。決まったら、ぜひ通いたい」
上田市内に住む日系ペルー人の原田サユリさんはスクールの設置を心待ちにする1人です。
1994年に単身で来日し、日系ブラジル人の夫と結婚。2人の子どもを育てながら、現在は企業の社員食堂でパートの仕事をしています。
子育てや仕事に追われて、語学学校などで学ぶ時間がなかったこともあり、日本語は独学で覚えてきました。日常会話に大きな支障はありませんが、今も読み書きは難しく、困ることが多いと言います。
日系ペルー人・原田サユリさん:
「どんな表現とかコミュニケーションとれば、トラブルにならないか考えていたら、何も言えなくて、黙っていてストレスに」
外国籍の住民も多い上田市。県教委が支援者に行った調査では、外国籍の人など「夜間中学を勧めたい」とする対象者396人のうち、上田市の人は最多の132人にのぼりました。
4月30日の会議でも、「日本語の習得が外国籍の住民の雇用の安定につながる」などの意見が出ました。
市は2027年4月の開校を想定していて、今後、カリキュラムの内容などの検討を進めます。
いつの日かペルーのスイーツを販売する店を持ちたいと話す原田さん。そのためにもオープンドアスクールで「日本語を学び直したい」と希望しています。
日系ペルー人・原田サユリさん:
「読めるように…全部。漢字をいっぱい覚えたい。日本のマナーもちょっとだけわかるけど、いろんなマナーがあるからそれも勉強したいですね。いい未来をつくるように、会議が進んだらいいかな」