去年の地震で大規模火災の被害に遭った、輪島市朝市通り周辺。ここに先週土曜日、地元住民たちの手でライトアップが施されました。寂しくなったふるさとに「希望の光」を。住民たちの思いを取材しました。
住民:
「おはようございます」「おはようございます! 宜しくお願いします」
先週土曜日、朝市通り周辺に集まった人々。
参加した家族:
「これ夜になると光るよ」
準備しているのは…ライトアップ用のLEDライト「ペットボタル」です。
小浦詩さん:
「今まで千枚田の『あぜのきらめき』で使っていたものをお借りして、 自分たちの街を照らそうという…」
ヘリリポート:
「かなり広い範囲で白い煙が立ち上っています」
去年元日の能登半島地震で発生した朝市通り周辺の大規模火災。焼失したおよそ240棟の大部分が、地元で「本町九区」と呼ばれる地区に建っていました。去年6月に始まった公費解体は25日に完了。徐々に更地が増えていく中、今年2月に行われた住民たちの集まりで…
小浦詩さん:
「奥様方から『ここが暗くて寂しい』とか、『あぜのきらめきのライトが使えるんじゃないか』というすごく素敵なアイデアがどんどん出まして、もう『絶対やろう!』みたいな感じで…」
多田見栄一郎さん:
「久しぶりに本町の皆さん、こうやって集まることができて… 何ていうんですかね… 感動するな、何かね。楽しんでやりましょう!」
今回は朝市通りと、通りに交差する小路に輪島市から借りたLEDライトを2000個設置します。
参加者:
「すいません、ありがとうございます」「ここウチの所だからキレイに…」
「(家の敷地は)ここまで」「これから後、どうしたらいいのか…やっぱりなかなか不安です」
「(家を)再建するにしても ちょっともう、敷居がなかなか高くて 思っていたより倍以上は (資金が)かかりそうな雰囲気で、 もう、年も年なんで…」
こちらの女性は…
住民の女性:
「ウチの屋敷の中に道路が通るみたいで(敷地が)2つに分かれる感じ」
「まだ(先のことは)全然 見当つきません」
でも…
住民女性:
「まあ少しでも街が明るくなるような感じがします、 こういうことを少しずつすれば… 何もせずに暗いよりいいです」
去年8月の輪島大祭。本町九区の住民たちは議論の末、有志によってキリコを出し、鎮魂の町流しを行いました。喜びも悲しみも詰まった自分たちのふるさと。先が見えない未来に、希望の光を灯したい。一人一人、ライトに願いを託します。
稲垣アナ:
「時刻は午後7時です。ペットボタルに明かりが灯り始めました」
ライトアップは、朝市通りの入口から始まり、本町商店街の中心部へ。通りに交差する風呂屋小路(ふろやしょうじ)に板谷小路(いたやしょうじ)、長楽小路(ちょうらくしょうじ)と地元では「市姫参道(いちひめさんどう)」として親しまれる住吉小路(すみよししょうじ)。そして御仮屋小路(おかりやしょうじ)がつながり、朝市通りの光の道は終点のいろは橋へと続いていきます。
多くの観光客が詰めかけ、老いも若きも笑顔であふれていた朝市通り。優しく柔らかな光の筋は、あの日の記憶を呼び覚まし、今を生きる住民たちに明日への力を導きます。
日吉智さん:
「亡くなった方もいるので 悲しい部分の感じも出るんですけど、皆でやってこうやって照らされるのはいいなと思いました」
上加茂美さん:
「ここに一回も来れない、もう来たくないという人もたくさん…今でもいらっしゃる。でも、一歩進む…前に進みたい。明るい光がちょっとでもあればね…。何かみんな集まると楽しくていいですね」
人が集う、絆を結ぶ。本町九区の住民が行きつ戻りつ進む復興への道を光の道は静かに見守り続けます。
ライトアップは、毎年「あぜのきらめき」が始まる10月下旬頃まで行われる予定です。