自民党の小野寺五典政調会長と小泉進次郎元環境相が28日、アメリカ・ワシントンのシンクタンクで講演し、トランプ政権の関税措置について、「もう一度考え直してほしい」と訴えた。
戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で小野寺氏は、「トランプ関税は、アジアの国に多く負担をかける」と指摘。「ASEAN(東南アジア諸国連合)やアジアの国は、アメリカの仲間の国だったはずなのに、トランプ関税によって、遠くなってしまうのではないか。
経済の問題だけではなくて、安全保障面でも大きな影響がある」と懸念を示した。
小野寺氏は、「トランプ大統領は貿易赤字を解消したいと言うが、アメリカの製造業の貿易黒字を作っているのは日本企業だ。アメリカに投資した日本の企業が、アメリカの人を雇ってアメリカで生産し、アメリカから輸出して、アメリカの貿易黒字になる」と強調。
その上で、「今回のトランプ関税で日本の企業の力が落ち投資をする力がなくなってしまう。投資をさらに推進するためにも関税は決してアメリカのためにはならない」と述べた。
一方、小泉氏は、「農林水産物はアメリカが2兆円の貿易黒字国。我々が貿易赤字国だ」などと説明した。
さらに小泉氏は、トランプ大統領の掲げる「MAGA(Make America Greet Again)」に対し、「日米同盟で言えば、『Make Alliance Greet Always』にしなければいけない」と述べた。
また、小泉氏は、「トランプ大統領とともに、新たな世界のルールを日米共同で構築することを考えられる領域がある。一つは国連改革だ。トランプ大統領も、今の国連がこのままでいいと思ってないと思う」と指摘。
「国連安保理の常任理事国の拒否権について、ロシアとウクライナで起きたことを見れば、台湾有事も含めて、本当に国際秩序と世界の平和と安定を守れるのか。私はそうは思えない」とした上で、「日米が共にルールメイキングに挑む。国連、場合によってはWTO(世界貿易機関)や、その他の枠組みの中で日米でできることはある。可能性は追求すべきだ」と述べた。