15年前、神戸市北区で男子高校生が殺害された事件。

4月25日から控訴審が始まる。
父親は法廷での意見陳述に臨み、謝罪の意思が見えない被告側と再び向き合う。

■息子の命奪われ「悲しいし悔しい 今でもずっとそのまま」
堤敏さん(66)。いつも自宅で座る場所からは、命を奪われた息子・将太さん(当時16歳)の姿が目に入る。
堤敏さん:あのときの気持ちがどうやって言うたら、悲しいし悔しいし、そういう気持ちしかない。それが今でもずっとそのままやっていうね。遠い昔の話じゃない。
15年前、高校2年だった将太さんは、神戸市北区の路上で、ナイフで複数回刺され、殺害された。

■父は街頭で情報提供呼びかけ 11年後に逮捕された28歳男 事件当時17歳で少年法適用
捜査は難航し、敏さんは、街頭で情報提供を呼びかけるなど、犯人逮捕に力を尽くしてきた。
そして、事件から11年後、警察は、28歳(当時・2025年現在は32歳)の男を逮捕。
しかし、事件当時17歳だったため、少年法が適用され、氏名などが公表されないまま、一審の審理が行われた。

■被告は殺意を否認も 1審は「懲役18年」の判決
男の被告人質問より(2023年):殺すつもりはありませんでした。当時17歳の私は、どうして人を殺してはいけないのかわからないと(精神科医に)相談したことがある。
敏さんは、男の態度や言動から謝罪の意思を全く感じなかった。
検察は、懲役20年を求刑。
神戸地裁は、懲役18年の判決を言い渡した。

■控訴審で「心神耗弱」など刑を軽くするよう求めるか
堤敏さん(2023年の判決後):求刑に近いものという結果が出たから、とりあえず一区切りかなというとこですね。本当を言えば納得できるはずがないですよね。
その後、男は判決を不服として控訴。
控訴審では『心神耗弱で責任能力が限定される』などとして、刑を軽くするよう求めるとみられる。

■控訴審でも意見陳述へ「相手に伝えることは考えていない 裁判所に将太の気持ちをわかってほしい」
敏さんは意見陳述をするために法廷に立つが、やりきれない思いを抱えている。
堤敏さん:(控訴後)『被告人は犯行を悔いている』って言うのね。弁護人はね。どこにそんな気配が見えるの?って。
堤敏さん:(意見陳述で)相手に伝えるってことはもう考えてない。裁判所には、将太の気持ちを一番にわかって欲しい。なんの身に覚えのないっていうか、そういうことで殺されたわけやから。
息子の無念を晴らすために。父が訴える裁判は25日午前始まる。

(関西テレビ「newsランナー」2025年4月24日放送)