国会では23日、6カ月ぶりとなる国家基本政策委員会での党首討論が行われ、立憲民主党の野田代表と石破首相はアメリカとの関税交渉に関連し、世界の自由貿易を拡大するため、TPP(環太平洋経済連携協定)をベースにEUと連携していくことに意義があるとの認識で一致した。アメリカとの交渉態勢については野田代表が「劣勢だ」と指摘したのに対し、石破首相はこれを否定した上で、さらなる態勢強化に取り組む考えを示した。
野田代表は、訪米した赤沢経済再生相が、用意された「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」と書かれた帽子を被ってトランプ大統領とに写真に収まったことについて、「総理が国難と言っているにもかかわらず、残念ながらあのキャップをまんまと被らされてしまって、ホワイトハウスで写真まで使われてしまっている。多くの国が注目をしている時に朝貢外交をやっているように見えてしまったというのは非常にマイナスだ」と指摘した。
石破首相は「それはいろんな見方があるんだろうと思う」と述べた上で、「アメリカと一緒に日本はどのようにして国を発展させていくか、日米が共同でやることによっていかにして世界に利益をもたらすかという話をしていかなければならない」として、「国益全体で考えた時に、赤沢大臣として可能な限りの対応をしたと思っている」と強調した。
野田代表は、次回の交渉では「メイク・ジャパン・グレート・アゲイン」と書かれた帽子をアメリカ側に被らせるくらいのことをやった方がいいと述べた上で、交渉の場に日本側は閣僚が赤沢大臣だけだったが、アメリカ側は財務長官・商務長官・通商代表と3人が参加したことを挙げ、「数からして劣勢ではないか。総理は国難と言っている割には態勢整備が弱すぎるし、遅すぎる」と追及した。
これに対し石破首相は「赤沢大臣とアメリカとの協議において私どもが態勢において劣勢だったとは全く思っていない。私はあの当時としてベストの態勢で臨んだと思っている」と述べ、「いろんなご指摘もいただいているから、さらに態勢は強化していく」と語った。
野田代表はその後、自由貿易のあり方について議論を展開させ、「アメリカが自由貿易の旗を降ろさざるをえなくなっているなら、日本がその旗を持って先頭に立って自由貿易圏のネットワークを作っていく気構えと外交戦略が必要だ」と強調し、「EUがTPPに関心を持ってきている。日本がその仲立ちをしようじゃないですか」と呼びかけた。
石破首相は「それは認識は一緒だ」として、「EUと日本が自由貿易という観点から連携していくことには大きな意味があると考えている。それぞれの国が事情が違うので、そこもよく理解をしながらやっていかねばならないが、総論としてEUと日本が自由貿易という観点から連携することの意義は極めて大きいということに私も同意する」と述べた。