90日間の猶予が与えられたアメリカのトランプ関税。
日本政府が交渉のカードを探る中、新たにアメリカ産の米輸入拡大案が浮上しました。

米高騰が続く中、アメリカ産の米の輸入量が増加した場合、価格はどうなるのでしょうか。

あくまで案として浮上している段階ですが、安いアメリカのお米が今より多く日本に入ってきた場合どうなっていくのか見ていきます。

まず覚えていただきたいのが「ミニマムアクセス米」というもの。
これは、関税なしで輸入されているお米のことで、年間に日本が輸入している量は77万トンにも及んでいます。

そのうちの10万トンが主食用として、67万トンが飼料用として販売されているわけですが、この「ミニマムアクセス米」が関税交渉の鍵を握るかもしれないといいます。

フジテレビの智田解説副委員長によりますと、全体で77万トンになっているミニマムアクセス米の「アメリカ産の枠を増やすなどの案が考えられる」ということで、アメリカ産の米をより輸入しやすいようにして、これを「関税交渉の時のカードに使うことが想定される」ということです。

米の平均価格は5kgあたり4217円と15週連続で最高値を更新しています。
一方で、アメリカ産の「カルローズ米」の価格を見てみると、例えば、埼玉のお米屋さんで5kgあたり3985円、中には神奈川県のスーパーで5kgあたり3543円で売られているところもありました。

仮にアメリカ産の米の輸入量が増えると値段はどうなっていくのでしょうか。

フジテレビの智田解説副委員長によりますと、主食用のアメリカ産米の輸入が増えれば、「高値の国産米より割安に購入できるチャンスが増えることが想定される」ということ、「店頭価格が全体的に引き下げへ働き、消費者にとってメリットになる可能性もある」ということです。

気になるのは味ですが、「カルローズ米」を試食した記者は「いつも食べているお米と違って粘りはそこまでないが、かなりお米の味はしっかり感じます。おいしいです」と話しました。

国産のお米と比較して、カルローズ米は少し細長く、粒が大きめでパラパラとしていますが、味はほぼ同じといわれていて、例えば、汁気があるもの、チャーハンやピラフなどに合うと言われているわけです。

青井実キャスター:
ちょっと試したりして価格の安い方を選んだりするのかもしれませんが、ただ、安い輸入米が入ってくると日本の農家の方が心配ですね。

政府内からも様々な声が出ています。
「コメで対策をしないと交渉は終われない」という声がある一方で、江藤農水相は「日本のコメの国内生産が大幅に減少してしまう」と慎重姿勢を示しています。

青井実キャスター:
我々消費者にとって選択肢が増えることはありがたいわけですが、一方で日本の米農家も守りたい、トランプ氏との厳しい交渉も避けられない。政府の判断は難しいですよね?

SPキャスター・山口真由さん:
農家を保護するのは必要ですが、日本のように直接保証じゃなくて価格維持という形で消費者に負担を課す形で農業を保護していく国って珍しいと思うんですね。そのため、日本にはなかなか生産性を上げるような品種改良が行われてこなかった。外圧ではありますけれども、農政を転換する契機にもなるんじゃないでしょうか。
これを機に政策も含めて考え直すきっかけになるかもしれないですね。