関税を巡る初の日米交渉。
トランプ大統領は「大きな進展があった」としています。
赤沢大臣からは自らを「格下」とする発言が出て注目されているわけですが、一体どんな交渉になったのでしょうか。
大統領執務室に並び、歯を見せてにっこりと笑うトランプ大統領と赤沢経済再生相。
注目された日米関税交渉を巡って当初公開されたのは、この1枚の写真だけ。
そこには交渉を優位に進めるためのトランプ流の交渉術が。
当初、今回の関税交渉はワシントン市内にある財務省で行われる予定でした。
ところが、突然トランプ氏が出席を表明したことで、急きょ会場がホワイトハウスに変更されました。
そのため、日米のメディアが待ち構えていた財務省には誰も現れず現場は混乱。
アメリカメディアも会談冒頭の様子を撮影できないという異例中の異例の事態となりました。
大統領執務室で赤沢大臣と約50分に及び会談を行ったトランプ氏。
会談を終えた直後の日本時間午前6時48分、自身のSNSを更新し、「日本の代表団と会談できたことは大変光栄だ。大きな進展だ」と投稿。
赤沢大臣とベッセント財務長官との関税交渉もそのままホワイトハウス内で行われることが決まりました。
約75分の交渉を終え、日本時間の午前8時55分に始まった会見では「ざくっと言ってしまえば、端的に言って、格下も格下ですので、出てきて直接話をしてくださり、本当に感謝しております。(トランプ大統領は)日本との協議が最優先である、まさに体現をされたということが一つだと思います」と述べ、自らを「格下」と強調しつつ初交渉の手応えを語った赤沢大臣。
さらに「大統領は本当に温かい配慮の方で、格下と会っているということを本当に感じさせない」と語りました。
この日米関税交渉の行方を街ぐるみで見守っていたのが群馬・太田市です。
自動車メーカー「スバル」が主力工場などを構える一帯の地名はスバル町。
周囲には多くのスバル車が走り、和菓子店の名物も車をかたどった「スバル最中」です。
和菓子「伊勢屋」・岡田喜浩さんは「目の前に店があるし、スバルとは切っても切れない縁」と話します。
そんな“スバル城下町”の住民たちは、赤沢大臣の“格下”発言に様々な思いを抱いていました。
街では「あれはちょっと耳障りが悪い。へりくだりすぎ」「最初からああいうこと言うと足元見られるじゃないか。なんでああいうこと言うかな?」などの声が聞かれました。
和菓子「伊勢屋」・岡田喜浩さんは「トランプさんに対するリップサービスじゃないけど、ムラのある人だから、持ち上げれば良い材料を引き出せるんじゃないか」と話しました。
スバルは世界での販売台数の約7割をアメリカが占めています。
関税交渉の行方は自動車メーカーのみならず街全体の行く末にも大きな影響を及ぼします。
工場近くに店を構える飲食店「キタグチバル」の光井公彦オーナーは「(スバルの)輸出関連が減っちゃうと、外食に使われるお金は減ってくるのかな?と危惧している」と話します。
午後、群馬県の山本一太知事は「赤沢大臣、すっかりトランプさんにやられた感じがして、わざわざ格下である自分のところに大統領が出てきたみたいな」と話しました。
関税交渉に行方について、石破首相は「今回、次につながる協議が行われたと認識し、評価している。私自身、最も適切な時期に訪米し、トランプ大統領と直接会談することを考えている」としています。