特集チューモクです。金沢市内に先月、週に2日だけ開く八百屋さんがオープンしました。この八百屋を開くのは、2年前、農業を始めたばかりの女性。その奮闘ぶりを取材しました。

金沢市の繁華街、片町2丁目。ここに週2日だけオープンする店があります。

「よかったらどうぞいらっしゃいませ」

店頭に並ぶのはナスやトマト、無農薬で栽培された茎ブロッコリーや葉ニンニク。店主の大野千遥(おおの・ちはる)さんが先月、始めました。

常連客:
「助かりますよ、スーパーまでいかなくても」

「こんにちは」「いちご」「イチゴあるね買っていこうか」

客の楽しみは商品を選ぶことだけではなく店での会話です。

「3時半までやっています」「これからピクニック行くんです」「そうなんや」「それはすばらしいじゃあイチゴだけ先に」

「子育てしていると子供としかしゃべっていない日がたまにあるのでそういう時に八百屋さんの店主としゃべれるとリフレッシュにもなりますしすごくいいです。」

大野さん:
「いろんな人にここに来てもらって自分のやっていることを知ってもらうというのができたらいいかなと。」

大野さんの店があるのは、野菜の卸売りをしている松原屋商店の一画です。20年ほど前までは、店頭販売をしていたそうですが、人手不足などで今は空きスペースとなっていました。そこで、大野さんがこの場所で八百屋を開きたいと申し出たのです。

松原屋商店 松原さん:
「住んでいる人はお年寄りが多くて寄りやすい八百屋さんがあるねという形で使ってくれれば嬉しいかな。」

大野さんの本業は、農家。自分の好きな「食」の仕事に携わりたいとおととしからニンニクの栽培を始めました。

大野さん:
「初めから売り先なく始めてもなかなか危険だしいっぱいしても全部失敗するとあれなので去年はこれの半分くらいからスタートして。」

畑の広さは約10アール。この広さであれば、1人で管理できるからです。

「うまく取れるかなこれで(ニンニクを)一つにしてこの下のここが大きくなるんですけどそのタイミングまでにとってあげないと、きれいな形にならなかったりニンニクとして玉の部分が太らなかったりするのでこの作業をしています。」

大野さんのこだわりは、無農薬栽培。草むしりや病気の蔓延を防ぐための間引き作業など収獲まで手間がかかります。

農業を始めて2年。大野さんはある課題に気付きました。

大野さん:
「作る作るってずっとやっていて、売るっていうことに時間を割くのは難しいんだろうなって。結局作ってもこれって1週間後に食べられなくなるじゃないですかたぶん。コップとかお皿とか作ったら(商品が)できましたそこから営業にいくっていうのができると思うんですけど野菜ってそれが出来ないので大変ですよね。めちゃめちゃ大変だなと思います。」

大規模農家であれば、生産した野菜や果物の引取先はだいたい決まっています。しかし小規模農家の場合、生産が安定していないため、販路が限られるのです。

以前、マーケティング関連の仕事をしていた大野さん。その経験を生かし、小規模農家の野菜を扱おうと今回、八百屋さんを始めることにしたのです。

大野さん:
「スーパーに行ったらだれが作ったと言ってもたぶん分からないけど(この店は)そこにバトンタッチされてきた何かが伝わるんだろうなと思っていて、あなたの(野菜の)ゾーンって聞かれてここの中から買うねとチョイスして買ってくれるていうのがたぶん私のやっていることの価値の一つだと思うので、こうやって伝わってくれる人をお客さんとして集まる場所にできたら。」

この日、大野さんの元を訪れたのは…★

「今シーズン栽培していたヒラタケになります。スーパーで売っているようなヒラタケじゃなくて発酵菌床という特殊な菌床で作ったヒラタケで、山の土の状態を菌床の中で再現しているので天然に近い味と香り。」
「へーなるほど!」

かほく市でキクラゲやヒラタケを生産するきのこ農家です。

きのこ農家:
「飲食店が多いので飲食店のところにおろせたらもっと和食やら洋食、イタリアンやフランス料理そういうところにも使っていただきたいというのが一つ。わたしらとしてもメリットがある。」

「うちの足りないところは営業なんです営業マンがいない。営業マンやりますよ。」
「まあ、あのお安くできればいいけど」

大野さん:
「既存の流通とは全く別のところでちょっとずつ自分たちのものが売れていく先を見つけるための場所にもなれるんじゃないかなと思ってそれを今挑戦中、やっていますね。」

肩書は農家兼八百屋さん。生産者と消費者を繋ぐ新たな仕組みをこの店から生み出そうとしています。

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