いつでも充電、全車両でWi-Fi
30日、東海道新幹線の新型車両「N700S」の内部が報道陣に公開された。
横揺れを軽減させる装置が搭載された新型車両には、これまで窓側の席などでしか利用できなかったコンセントを全座席に用意。いつでも充電することができるほか、全車両でWi-Fiが利用できる。
また、奥行きが広くなった荷物置き場は、駅に停車する際に照明が点灯。
荷物の置き忘れを気付きやすくする工夫が施されているほか、車両最後部のスペースには、大型のスーツケースも収納できる鍵付きの荷物置き場も設置された。
細かいところにまでこだわったその作りについて、働く人の意見を聞いた。
アパレル関係(20代男性):
車両の後方に荷物置き場ができたのが良いと思う。今まで重いスーツケースを網棚に載せるのも、お年寄りだと大変だと思うので、良いですよね。
月5回から8回利用 商務関係(60代男性):
揺れがひどくて、新幹線の中で書き物したりパソコンをやったりする時に非常につらい。揺れ軽減で集中できるのは、非常にありがたい。
月2回利用 人事関係(40代男性):
全席にコンセント、便利ですね。携帯のバッテリーが少なくなってきた時に、「使いたいな~」と横目で窓側の席をチラチラ見たりしたことはあった。
月1回利用 営業職(30代女性):
出張で1泊、2泊分くらいの荷物を全部忘れてしまったことがある。着替え、化粧品、携帯のバッテリーとか。
ーーその時、荷物置き場が光っていたら?
月1回利用 営業職(30代女性):
絶対に気づいたと思います。東海道新幹線に乗らないので、上越新幹線にもつけてほしい。
車両編成を柔軟に組み替え
1964年の東京オリンピックに開業した東海道新幹線。
新たな車両の特徴は、快適性だけではなく、編成を柔軟に組み替えられるため、海外への輸出に適している。
JR東海 新幹線鉄道事業本部・上野雅之副本部長:
テキサスは8両編成、台湾は12両編成になると思う。その形にもすぐに対応できるということ。海外展開に向けた、しっかりとした車両ができた。
新幹線の“生き残り”を見据えた戦略
三田友梨佳キャスター:
今の新幹線は16両編成を前提に運行されていますが、新たに8両、12両といった短い編成が可能になるようですね。
ボストンコンサルティンググループ マネージングディレクター・森田章氏:
そうですね。短い編成での運行が可能になると、海外への輸出に弾みがつくのと、もう一つの狙いは、「リニア時代の役割分担」です。将来、リニア時代が到来した時に新幹線の生き残りを見据えた戦略ではないかと思います。将来、一部の顧客がリニアに流れた時に16両編成で運行本数を減らすよりも、編成を8両や12両に短くして運行本数を維持した方がユーザーにとっては便利ということ。
実は航空業界においても、ジャンボ機のような大型機から中小型機にシフトしてきていて、路線の需要に応じて航空機のサイズを変えてユーザーの利便性は損なわずに収益を高めていく戦略が主流になってきています。
新幹線もこうした航空業界に近くなっていくのではないかと思います。
三田友梨佳キャスター:
リニアの速さに対して、新幹線はいかに便利に快適に移動時間を過ごせるのか、進化は続いて行きそうです。
海外戦略を見据えた今回の新型車両は、東京オリンピック・パラリンピック開幕直前の2020年7月に導入される予定。
(「Live News α」10月30日放送分)