勇壮な演舞に盛んな拍手が送られていました。宮城県加美町では、およそ650年前から続く春の伝統行事、「火伏せの虎舞」が披露されました。
「火伏せの虎舞」は強風で大火になることが多かった加美町の中新田地区で、中国の故事にならい防火を祈願したのが始まりとされています。
虎舞の「舞い手」は、地元の小中学生や高校生で、屋根の上で、二人一組になって「虎頭」と胴体を操ります。太鼓や笛の囃子にあわせて息の合った勇壮な演舞を披露すると、見物に訪れた人たちから盛んな拍手が送られていました。
埼玉県から訪れた人
「やっぱりすごいですね、いつ見てもすてきです」
仙台市から訪れた人
「指導する消防団の人の子供たちを見る目がとてもあたたかくて、地域の中で大事に育ててきている伝統行事なんだなと思いました」
虎舞を披露した中学2年生
「虎を踊ったときに、観客の皆さんから拍手をもらったり、手を振られたり、みんなの役に立っているなと思ってうれしくなります。昔から続いているので、伝統を崩さないように、しっかりと続けていこうと思います」
演舞が終わると、訪れた家族連れが虎頭に子供の頭をかんでもらい、健やかな成長を祈願していました。
さて、この火伏せの虎舞ですが、開催にあたって人件費や備品の修繕費などに毎年多くのお金がかかり、主催者の頭を悩ませています。そうしたなか、加美町が今年から新たに始めた取り組みがあります。その名も「ギフティングサービス」。スマートフォン1台で伝統のお祭りを応援します。
「火伏せの虎舞」を支えるという、新たなサービスを始めたのは、東北電力の子会社、「東北電力フロンティア」です。そのサービスとは…。
東北電力フロンティア 佐々木将登さん
「“ギフティング”というデジタルを使った技術を使って、実際に個人と祭りの団体をつなげられるサービスを考えました」
ギフト、贈り物を意味するギフティングサービス。スマートフォンである「ギフト」を祭りの主催者に贈ることができます。そのギフトとは…。
「推し!」「神推し!」「めんこい!」“デジタルギフト”のスタンプです。1ポイント1円のポイントを買って、スタンプや応援メッセージを送信できます。スタンプは種類に応じて、100ポイントから10万ポイントまで用意。購入されたポイント分の金額が、全額、祭りの主催者に届く仕組みです。
東北電力フロンティア 佐々木将登さん
「伝統を受け継いでいくことはすごく必要。“今あるものを続けていく”。例えば、新しい企画を実現させていく応援にもつながるかなと思います」
応援者からインターネット上で資金を募る、「クラウドファンディング」とよく似ていますが、違うのはこちら。クラウドファンディングは寄せられた金額が目標額に達しないと、全額返金となってしまうが、ギフティングサービスは100円単位から少額でも確実に届けられる。加美町では寄せられたお金を山車の修繕費に充てることにしている。
そしてデジタルスタンプという形で応援の気持ちやメッセージを祭りの主催者に送ることができるのも特徴。イチオシのアイドルなどを応援する「推し活」がいま社会現象にもなっていますが、祭りも“推す”人が増えるように、主催者と参加者がつながるサービスを考えたそう。
また、ポイントを買った人にはポイント数に応じて「返礼品」が用意されている。例えば、50万ポイント=50万円で「出張虎舞」!週末限定で県内どこでも「虎」が駆けつけて、舞いを披露してくれるそう。
他にも、5000ポイントで「虎舞の演舞体験」、100ポイントで「虎舞公式サポーター委嘱状」など。
他にも「仙台青葉まつり」や山形県の「蔵王樹氷まつり」など、東北各県の祭りの応援ページがある。伝統行事の新しい応援のカタチになりそうです。