今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。4月10日のテーマは「NHK大河ドラマ誘致への動き」です。担当は篠原記者です。

(篠原聖記者)
先日、2026年に放送される「豊臣兄弟!」の制作が発表され関心が高まっている大河ドラマですが、岡山の礎を作った戦国武将、宇喜多親子を顕彰する備前地域。幕末に大胆な財政改革を成し遂げた山田方谷を擁する備中地域。美作の剣豪、宮本武蔵を題材に2003年に放送されて以来となる、岡山での大河ドラマの誘致に向けて今、この2つの地域で熱いPR合戦が繰り広げられています。

先手を取ったのは山田方谷の備中地域です。高梁市や新見市などで作る「方谷さんを広める会」が設立されたのは2012年、これまでに100万人以上の署名を集め、NHKへの要望は2023年までに9回にわたり行われました。

松山藩士・山田方谷の功績は大胆な財政改革です。

時は激動の幕末、現在の100億円にあたる莫大な借金を抱える藩の財政改革を任されたのは44歳の時。その借金を返済したうえにさらに100億円を貯蓄するという偉業をわずか7年で成し遂げました。

今でもそのままの形で販売されている特産品備中鍬をはじめ、和紙やタバコ、お茶などを備中松山ブランドとして積極的に売り出すという、現在にも通じるような産業振興を次々と実現させました。

(高梁市 川内野徳夫政策監)
「高梁市民は呼び捨てをせずに、方谷さんや先生と呼んでいる。今の世の中、経済界もそうだが人と人とのつながりが弱くなっている。方谷さんの人材育成も大河ドラマとなって広く知ってもらえれば」

全国的な知名度がまだ低いことがネックで実現には至っていないものの、誘致への機運は日に日に高まっています。

一方、宇喜多家を擁する備前地域、顕彰する会が立ち上がったのは2023年11月です。その1年前には宇喜多家の本拠地、岡山城をリニューアルし、誘致に向けた準備が整いました。

(岡山市観光振興課 風早孝将課長補佐)
「宇喜多直家公・秀家公は岡山城の創築者であり、岡山のまちを作った人物。すごくドラマチックに戦国を駆け抜けた一族をしっかり発信したい思いで(誘致の動きを)始めた」

戦国時代に毛利と織田の間でゆれる備前平野を統一した宇喜多直家は、岡山に商人を呼び寄せ、城下町の基盤を作るなど経済や外交で先見の明がある戦略家でした。

直家の死後、岡山城を築城し家督を継いだ秀家は戦国きってのイケメン武将としても人気が高く、太閤・豊臣秀吉の寵愛を受け政権運営を担う五大老を務めました。実はこの五大老で大河ドラマの題材となっていないのは秀家のみです。

一方で、直家が謀殺や下剋上を繰り返し、悪役としてのイメージが先行してドラマの主役にはなりにくいとされる宇喜多家ですが、岡山市出身の歴史家・磯田道史さんは主役級になりうる2人の人生のドラマ性に太鼓判を押します。

(岡山市出身の歴史家 磯田道史さん)
「関ケ原や八丈島など広域にわたって舞台が広がっている。いつか題材になることは分かっている。まずは基礎条件を地元で整備しておくことが日本全国に対する責任」

(岸下恵介キャスター)
PRが加熱していますが、実現すればそれだけ地元にもたらす効果は大きいということなんでしょうか?

(篠原聖記者)
2023年の題材となった徳川家康のゆかりの地・静岡県浜松市は放送期間中、観光客が増加し、300億円以上の経済効果があったと発表しました。市だけでなく県内全域への波及効果も大きかったようです。

(中塚美緒キャスター)
観光面へのプラスだけでなく地元の魅力を知る良いきっかけになりそう。実際のところ誘致の実現性はどうなのでしょうか?

(篠原聖記者)
NHKに問い合わせたところ「制作過程の詳細についてはお答えしていませんが、大河ドラマについては視聴者ニーズや時代の動きをくみとり、1年にわたって視聴者の興味を引きつけられる主人公は誰か考えています」と答えがありました。

実現に向けてはやはり根気強く発信し興味を沸かせることがポイントとなりそうです。以上、急上昇ニュースでした。

岡山放送
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