去年、福岡県北九州市で、実の妹に暴行を加えて死なせた疑いで逮捕された警察官の男が、29日に起訴されました。兄妹の間に何があったのか?亡くなった妹の夫が、事件後初めてメディアの取材に応じ、事件当日について語りました。

仏壇の前で手を合わせる男性。写真に映る明るい笑顔が印象的な女性は、妻の山本美智恵さん(当時55)です。去年の大みそかの夜、結婚30周年を迎えるはずだった最愛の妻を、突如失いました。

◆亡くなった美智恵さんの夫
「ものすごく歯がゆいし警察が事件起こしているので許しがたい。被害者の兄でもあります」

美智恵さんを死亡させた疑いで逮捕されたのは、当時、田川警察署地域第三課の警部補・廣瀬守隆被告(57)。美智恵さんの実の兄です。

検察は鑑定留置の結果刑事責任を問えると判断し、29日、廣瀬被告を傷害致死の罪で起訴しました。廣瀬被告は去年12月31日の夜、北九州市門司区の実家の玄関で、妹の美智恵さんの顔を拳で何度も殴るなどの暴行を加えて、死亡させたとされています。現役警察官の廣瀬被告と実の妹の間に、一体何があったのか?

亡くなった美智恵さんの夫が、事件後初めてメディアの取材に応じ事件当日の状況について語りました。

◆亡くなった美智恵さんの夫
「(廣瀬被告と美智恵さんは)普通以上に仲がよかったと思います」

事件が起きた大晦日の夜、廣瀬被告は昼から夜にかけて美智恵さんらと飲食店を3軒回り酒を飲んでいたといいます。

◆美智恵さんの夫
「午後10時くらいだったかもしれませんが、『ドンドンドン』とドアをたたく音、下の(2階の)部屋をたたく音が聞こえました」

現場の家は3階建ての2世帯住宅。3階に美智恵さん夫婦が住み、2階が廣瀬被告の実家となっていました。

◆美智恵さんの夫
「(廣瀬被告が2階の実家に)帰ってきて、鍵が閉まってるからたたいているのか、と思った」

2階からしつこく聞こえる扉をたたく音。3階で美智恵さんの帰りを待っていた夫は、一緒にテレビを見ていた20代の息子に「扉を開けて入れてあげたら」と促すも、開けるのを拒んだといいます。その理由は、廣瀬被告の”酒癖の悪さ”でした。

◆美智恵さんの夫
「声が大きくなったりとか、しつこいし、騒がしくなるから嫌だって感じていたと思う」

そして、そのあと、事件は起きてしまいました。搬送先の病院で美智恵さんは変わり果てた姿となっていました。

◆美智恵さんの夫
「(暴行がひどく)顔じゃ女房だと判別できなかったです。正直言って髪の毛の色がなんとなく似てるなって」

なぜ妻を救えなかったのか。夫は自責の念で眠れない日々が続いているといいます。

◆美智恵さんの夫
「本当に悔しい。息子も僕も、少しあの時見に行けばよかったなって。こんな事件が起きるってわかっていたら守りますよ」

廣瀬被告は、逮捕後の調べに対し「拳で複数回殴打した事実は思い出せない」と容疑を否認。真相の解明は法廷の場へと移ります。

テレビ西日本
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