小林製薬の紅麹(べにこうじ)原料を使ったサプリメントで健康被害が相次いでいる問題で、新たな展開。

原因物質になり得る“未知の成分”について、「プベルル酸」の可能性があることがわかった。

東京都内のスーパーでは、買い物客が手に取った商品を熱心にチェックしていた。

パッケージを裏返して原材料をチェック。
紅麹が含まれているかどうかに、神経をとがらせる人が多いようだ。

70代「紅麹入ってないよ!」
70代「必ず買う前にこうやって見る」
50代「ニュース見ているので、裏の表示を見ながら買わないとねって」

こうした紅麹チェックの動きが広がる中、小林製薬は、新たに問題の紅麹サプリを摂取していた1人の死亡を発表。

腎臓疾患の症状があったということで、明らかになった死者は、あわせて5人となった。

FNNのまとめでは、小林製薬の紅麹原料を使った商品の自主回収や販売中止は、68社に広がっている。

鳴りやまない電話への対応に追われていたのは、愛知県の山本漢方製薬。
ダイエットサプリ内脂ブロッカーの自主回収をしている。

山本漢方製薬・吉田正敏顧問「これが火・水・木の(回収)分です」

山積みになっていたのは、各地から着払いで送り返された商品。
まだ小林製薬から補償を受けていないため、立て替えた回収費用の額は、すでに、500万円以上に及んでいるという。

山本漢方製薬・吉田正敏顧問「これがそうです。小林製薬からもらっている紅麹。今残っているのは3kgだけ」

こうした中で注目されていたのが、小林製薬が29日午後2時から行う記者会見。

問題発覚後、2度目となる会見で、小林章浩社長らの口から新たな事実は明かされるのか。

埼玉・富士見市では、問題のサプリを1年以上摂取してきた兎川貴孝さんが会見を見つめていた。

小林製薬・小林章浩社長「今回の件が、社会問題にまで発展しておりますこと深くおわび申し上げます」

冒頭、小林社長の謝罪から始まった会見。
公表が遅れたとの批判については、「もうちょっと早く公表ができれば防げたかということでございましたら、こちらのご批判に対しては、私ども言葉もございません」と述べた。

健康被害の原因について、小林製薬ヘルスケア事業部・梶田恵介食品カテゴリー長は「想定していない成分が、なんらかの相互作用で悪影響を及ぼした可能性も現在は否定できない」と説明した。

今後は、「国の研究機関とともに解明を進めていく」と強調した。

また、体調不良を訴えて通院している人と通院希望者が、現在約680人いることを明らかにした。

一方、回収や廃棄にかかる費用についても補償する意向を示したが...。

小林製薬・小林章浩社長「170数社につきましては今、すべてとお話ができているか理解ができておりません。金額についても、把握ができていない状況でございます」

商品の自主回収に追われる中で、会見を見守った山本漢方製薬。
最も関心を寄せていたのは、“今後の補償がどうなるか”だ。

山本漢方製薬・吉田正敏顧問「われわれのところでは健康被害が出てないというところ。具体案だけは、どこまでという案だけはやっぱり欲しい」

問題の紅麹サプリを摂取していた兎川さんは、原因がはっきりしない状況に不満を募らせていた。

紅麹サプリを摂取・兎川貴孝さん「最悪、死に至るものを飲んでいたことも怖いですし、それがまだ原因不明。摂取したものからすると、健康被害が一番知りたいところだったので、そこがやっぱり(情報が)少ないですね」

そして、この会見がまだ続いていた午後4時過ぎ、新たな情報が飛び込んできた。

小林製薬が、原因物質になり得る未知の成分について、「プベルル酸の可能性がある」と厚労省に報告したことがわかった。

小林製薬によると、健康被害のあった製品のロットに予定外の物質を検出したため、「高速液体クロマトグラフ」という手法で分析。

その結果、プベルル酸の数値が高いことがわかったという。

会見では、「プベルル酸の可能性に行きついたのは3月25日の夜。26日に(プベルル酸である)可能性が高いという話に落ち着いた。異性体を含めて可能性がある」と説明された。

厚労省によると、プベルル酸は、一般的に青カビから作られる天然化合物。
抗生物質の特性を持つことでも知られていて、毒性が非常に高いという。

ただ、腎臓に対する影響は現時点では明らかになっておらず、あらゆる可能性を検討し、調査を進めることになる。

小林製薬によると、プベルル酸は、大阪工場で混入した可能性が高いという。