新型コロナウイルスの感染拡大から4年。
これまで公費の支援を受けていた医療費は、いよいよ4月から自己負担となり、医療機関の診療も通常の体制に移行します。

新型コロナの『現在地』について考えます。
まずは、今の感染状況。
そして、これからマスクはどうすべきか…。
感染症の専門医に聞きました。

■コロナの今
今も感染の流行が続いている新型コロナウイルス。
去年夏の第9波に加え、1、2月には第10波が襲い、直近の県内の入院者数は125人に上ります。

今のコロナウイルスについて富山大学附属病院総合感染症センターの山本善裕教授は、「病原性はかなり弱まっている」と話します。

*富山大学附属病院総合感染症センター長 山本善裕教授
「(第5波の)デルタ株までとオミクロン株になってからは病気の名前は同じコロナ感染症だが、特性は大きく違ってくる。物事を考えるときは、デルタ株までとオミクロン株になってからを分けて考えた方が理解しやすい。ただ、今はオミクロン株だが、今後またデルタ株のような株が出てくる可能性はゼロではない。ただ、自然界の流れとしてはこのままだろうと思うが、それは誰もわからない」

Qオミクロン株は感染力が強いが、今も院内クラスターは存在している?
*富山大学附属病院総合感染症センター長 山本善裕教授
「これは報道されないだけで、どの病院でも4人部屋に患者がいると、1人が罹ると残りの3人も罹る可能性が高い。病院の中でも感染はある程度広がりはある。世の中はコロナが終わった感があると思うが、病院の中と高齢者施設は一般の方から見ると別世界の対応をしている」

■マスクどうする?
そうした中、懸念されているのが長期化するマスク生活です。
今は着脱の判断が個人に委ねられていますが、特に、学校現場ではマスクを着けている生徒が多く、県内の小児科医からはその弊害を指摘する声があがっています。

*富山大学附属病院小児科 種市尋宙医師
「最たるマスクの弊害は、メンタルヘルスへの影響。人と人が距離をとらないといけないので、より一層コミュニケーションがとれなくなった。結果、不登校の子どもが増え、自殺する子どもが増えた。コロナ禍始まってから、自殺者数の推移は高い。コミュニケーションを取り戻すことが大事」

子どものマスクの着脱について感染症の専門医である山本教授は…。

*富山大学附属病院総合感染症センター長 山本善裕教授
「僕もオミクロン株になって、病原性が落ちたことをわかったうえで、外しましょうということにもちろん賛成しているし、僕も実際、人混み以外の外では外している」

■行政判断・教訓は?
一方、4年間のコロナ対応を振り返り、県庁内で患者の入院調整などにあたっていた医師からは「より早く平時の社会に戻せたのでは」との指摘もあります。

*県厚生部 小倉憲一医師
「第5波までのコロナのイメージから転換できない。コロナは、2022年1月と今変わっていない。今と同じ対応を2022年4月にしていても本当は良かった。それができないのは情報共有。リアルな現場の情報をリアルタイムに対応に反映していければ、国全体でもう少し早く平時の体制に戻していくことができた可能性がある」

これについて、山本教授は…。

*富山大学附属病院総合感染症センター長 山本善裕教授
「第5波、デルタ株は30代でも重症化した。ここまでの対応は正しかった。ただ、オミクロン株は感染性は上がったが、病原性は下がった。(判断の)タイミングは病原性が下がったときに、いかに国や地域で対応していくのか。国全体が同じ(感染の)フェーズではなかった。都会と地方でも違いがある。少し答えが違っても仕方ない」

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。