能登半島地震で被災した高校球児を支援しようと、仙台育英高校野球部が石川県の高校を招待し、交流を深めています。

3月28日、仙台育英高校で行われた硬式野球部の交流試合。東北勢で初めて夏の甲子園を制した強豪の対戦相手は、1月の能登半島地震で被災した石川県の輪島高校と飯田高校です。

被災地支援を目的に、2校を宮城に招待し、27日から交流している仙台育英。東日本大震災のときに受けた「支援への恩返し」として企画を発案した須江航監督は、27日、到着した生徒たちを前に、こう語りかけていました。

仙台育英 須江航監督
「東日本大震災の後に招待を受けて、2011年4月末に石川に行った。そこで初めて温かいものを食べた人がいた。初めてお風呂に入った人がいた。そこで初めて友達と会った人、初めて野球をした人がいた。たくさんのことを石川の皆さんからいただいた。大変苦しくて残念なこと(能登半島地震)があったが、今度は私たちが支援する番だなと」

いまだ地震の爪痕が残り、満足な練習すらできていない石川の生徒たち。野球ができる喜びをかみしめながらボールを追い続けました。3日間にわたる交流は、野球だけではありません。

飯田高校選手
「こんばんは。お邪魔しまーす」

宮城に滞在している間、石川の選手たちが宿泊するのは、仙台育英の選手や須江監督の自宅。限られた時間を可能な限り共に過ごします。

「いただきまーす」

須江監督の自宅には仙台育英の生徒の姿もありました。

須江航監督
「明日、徳田投げような。飯田高校戦で投げた方がいいか。一緒に泊まってるんだから」

石川県出身で自身も帰省中に被災した徳田英汰投手です。寝食を共にする飯田高校との試合で投手として登板することを告げられました。

徳田英汰投手(1年)
「同じ石川県民として、自分も負けず嫌いで負けたくないんで、全力でいかせていただきます」

飯田高校 梶遥登選手(1年)
「まあ、負けてらんないです。打ってやりたいです」

そして迎えた3月28日。徳田投手と飯田高校との対決が実現。試合は仙台育英が勝利する形となりましたが、選手たちは勝ち負けだけでない充実感であふれていました。

仙台育英 徳田英汰選手(1年)
「ホームステイや野球を通じて対戦して絆が深まった。甲子園で会えるように、毎日必死に野球と向き合っていきたい」

飯田高校 米沢理玖選手(2年)
「徳田君も石川出身なのでこれからも仲良くしたい。もしまた出会ったら野球をしたい」

ともに白球を追い、同じ時間を共有した2つの被災地の球児たち。そこで生まれた絆は復興への道をたどる中できっと支えになるはずです。

仙台育英 須江航監督
「もう一度頑張ろうという人たちが増えた時が復興。時間がどれくらいかかるかわからないけど、ここでがんばろうというきっかけ作りを自分たちでもする必要があるし、きっかけを与えることを世の中の大人がしなければならない。今回の交流が、いいきっかけになっているんじゃないかと。しっかり復興して頑張ってくれるんじゃないかなと思います」

仙台放送
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