パーソナルカラー診断と骨格診断を通じて、一人ひとりに似合う服を提案することで、アパレルメーカーの過剰在庫をなくそうとしている会社がある。服の大量廃棄を防ぐ取り組みを取材した。
似合う服がわかる2つの診断
「Iqilu株式会社」はパーソナルカラー診断と骨格診断を利用したサービスを提供している。

パーソナルカラー診断では、肌などの色と顔立ちから、似合う色を診断。

骨格診断では、身体のラインや筋肉のつき方などの特徴から、体型をキレイに見せる服を診断する。

パーソナルカラーは「イエベ春」「ブルベ夏」「イエベ秋」「ブルベ冬」の4タイプ、骨格は「ストレート」「ウェーブ」「ナチュラル」の3タイプに分類され、かけ合わせるとあわせて12タイプに分かれている。
12タイプのうち、どのタイプに当てはまるかを導き出すことで、似合う服がわかるという。
店舗の服でコーディネート
神奈川県川崎市の商業施設で行われたイベントでは、診断ブースの横に、アパレルメーカーのポップアップストアが並んだ。

診断後は、参加者と一緒にポップアップストアへ行き、診断結果をもとに実際に服を提案しながらアドバイスをする。コーディネートに使われていたのは、店舗で売れ残るなどした服だ。
Iqiluは、一人ひとりの服の悩みを解決する延長線上で、アパレルメーカーの過剰在庫をなくしていくことを目指している。

代表の會澤茉那さんは「売れ残っている服でも、似合う人とマッチングすれば、お客様にとってもアパレルメーカーにとってもウィンウィンだ」と話す。
取材した日は参加者の半数がポップアップストアで服を購入していた。
大量生産・廃棄される衣服
南米チリの砂漠には、世界各地から服が集められて不法投棄され、「ファッションの墓場」とも呼ばれる光景が広がっている。

国連の2019年の報告などによると、世界で生産される服の量は2014年には1000億着を突破し、2000年の約2倍になった。ファストファッションの浸透などで、流行のデザインを取り入れた服の大量生産と大量消費が繰り返される中、大量の売れ残りや短期間での廃棄が発生している。
日本も例外ではない。
1年間に80万トン近くもの服が新たに出回る一方で、およそ50万トンが廃棄されているという。
AIサービスも導入 より多くの人へ
「長く着続けられる似合う服を選ぶことが服の大量廃棄を防ぐ」

Iqilu は3月18日からAIを活用したサービス「FukuMikke」を始める。
ファッション通販サイトを利用する人に向けて、商品として掲載されている服が、どれくらいその人に似合うかを数値化する。
服を購入する人は、パーソナルカラーと骨格タイプを入力すると、「似合う度」を知ることができるという。
また、アパレルメーカーは、そこで蓄積されたデータで、どのパーソナルカラーと骨格タイプの客層が多いかを知ることができ、服の需要を予測できるようになる。
FukuMikkeの導入で、より多くの人にサービスを提供し、大きな環境問題の解決に近づきたいとしている。