2020年、熊本の高齢女性に虚偽の請求をしたとして、フィリピンを拠点に活動する「かけ子」グループの男8人を30日、詐欺未遂の容疑で神奈川県警が逮捕した。詐欺グループの「かけ子」などが、フィリピンやカンボジアなど東南アジアで検挙されることが多い印象だが、それはなぜなのだろうかーー。

高齢女性にうその請求

フィリピンを拠点に活動する、かけ子グループの男8人が特殊詐欺に関与した疑いで、神奈川県警に逮捕された。

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詐欺未遂の疑いで逮捕されたのは、フィリピンを拠点に特殊詐欺の電話をかける「かけ子」とみられる日本人の男8人。

捜査関係者によると、8人は2020年、熊本の高齢女性に有料サービスの料金が未納だと、うその請求をした詐欺未遂の疑いが持たれている。

警察は30日、8人の身柄をフィリピンから日本に移送し逮捕した。警察は、他にも余罪があるとみて捜査している。

このニュースについて、社会部の尾瀬真澄記者がお伝えする。

逮捕された日本人は2020年にフィリピンの捜査当局に拘束されていたということだが、なぜ今になって引き渡しとなったのだろうか。

2020年に拘束された後、8人とも、それぞれ現地で裁判が開かれていた。フィリピンでは民事や刑事に限らず、国内で裁判となり争っている事案が優先される法制度となっている。

さらに、コロナの影響で裁判手続きがストップするなどして時間がかかったため、最終的に全員の事案が終了したのが2023年12月だった。その後、急遽移送の手配をして、このタイミングの帰国となった。

今回のケースだけでなく、詐欺グループの「かけ子」などが、フィリピンをはじめ、東南アジアで検挙されることが多い印象だが、それはなぜなのだろうか。

特殊詐欺グループは拠点を海外に

まず、日本での取り締まりが厳しくなったことから、特殊詐欺グループは拠点を海外に移していること。

特に東南アジアは時差が少なく、通信インフラが整備されていることから、犯行がやりやすいとみられている。

またかけ子は、「海外リゾートで高収入のバイト」などといった闇バイトで集められ、現地ではパスポートを管理されて簡単には帰国できず、中には大使館などに助けを求めることもあり、こうした情報は日本の警察にも多く寄せられている。

2023年はカンボジアから19人や25人の集団移送のほか、フィリピン、ベトナム、タイからも引き渡されている。

警察はこうした海外の捜査機関との情報共有を強化し、連携体制の構築を進めている。

警察幹部は「被害が日本である以上、海外に拠点があっても日本の犯罪として、厳正に対処する」と話していて、今後もこうした引き渡しの流れは続くとみられている。
(「イット!」 1月30日放送より)

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