12月12日の午前1時半ごろ、暗闇にまぎれて、何かを運び出す2人の人物の姿。

不審な2つの人影
不審な2つの人影
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外に停めている車には、もう1人の仲間らしき人影も見て取れます。

慣れた様子で壁を乗り越える
慣れた様子で壁を乗り越える

防犯カメラには、慣れた様子で壁を乗り越えていく様子も捉えられていました。彼らが盗み出していたのは、「盆栽」です。

実は今、盆栽が盗まれる被害が全国各地で相次いでいるといいます。日本盆栽協同組合によると、こうした“盆栽泥棒”は今年に入って少なくとも16件以上。

特に12月12日以降、急増し、連日のように被害が報告されているというのです。特筆されるのは、その被害額の大きさ。

名古屋市 愛知園・園主:
(被害額は)ざっと500万円くらいになる。

栃木県鹿沼市 和楽美園・園主 今井光則さん:
総額で言うと、750~800万円くらい。

組合によると、今年これまでに報告された被害の総額は、約1億円にものぼるといいます。

「犯行には特徴がある」名古屋市内の盆栽園の被害は?

総額500万円相当の盆栽を盗まれたという名古屋市内の盆栽園は…。

名古屋市 愛知園・園主:
少なくとも30年はかかってようやくできてきたものです。本当にショックでしたね。

園主によると、犯行には“ある特徴”があるといいます。

名古屋市 愛知園・園主:
45㎝から50㎝くらいの盆栽になるんですけど、20万~30万のものをえりすぐって盗まれてしまったんですよね。

比較的持ち運びしやすいサイズで、しかも数十万円相当の盆栽だけを選んで盗んでいったのではないかというのです。実際、より高価でサイズが大きい盆栽には、手が付けられている形跡はありません。

同じ日の犯行か? 栃木県鹿沼市では…

名古屋市の犯行と同じ日、12日午前1時ごろ、栃木県鹿沼市にある盆栽園の防犯カメラも不審な2人組の姿を捉えました。

車から降りてきた、帽子をかぶった2人組。

そのうちの一人が盆栽のエリアに侵入すると…。

手頃なサイズの盆栽を次々と手に取る
手頃なサイズの盆栽を次々と手に取る

棚の盆栽を次々におろし、防犯カメラを意識したのか、しゃがんだ状態でその場を去って行きました。

事件後に撮影された同じ場所の写真では、中段にあった盆栽がほとんどなくなっています。

栃木県鹿沼市 和楽美園・園主 今井光則さん:
運びやすさを選んだ、っていう感じですかね。

この時も、園で最も高価な700万円の大きな盆栽は盗まれず、手頃なサイズの盆栽が狙われていました。

日本盆栽協同組合は被害が報告されるたびに、メッセージアプリで情報を共有しているといいます。

<12月21日のLINE報告>
被害盆栽のご報告です。合計40鉢ほど盗まれてしまいました。

<12月24日のLINE報告>
10本程の雑木、真柏が盗難にあい現在警察が調べています。

さらに、めざまし8が取材を進めるさなかにも、新たな被害が発生していました。

25日には三重・伊賀市でも盆栽盗まれる

25日未明、盆栽が盗まれたのは、三重県伊賀市にある盆栽園。

盆栽ライフ園主 武部和広さん:
ここは(盆栽が)いっぱい詰まってたんですよね。被害は80万弱くらい。この辺がなくなってるので多分取られているんだと思う…。

この園では今年3月にも盆栽が盗まれ、防犯カメラや人感センサーなどの対策を強化していたといいますが、その網をかいくぐっての犯行でした。

盗まれた盆栽が…SNS上で見つかる

犯人は、盗んだ盆栽を、一体どうしているのでしょうか?
被害者の一人が見せてくれたのは、SNS上で見つけたという1枚の画像。

外国人とみられる人物同士が盆栽の画像をもとにやりとりしているようですが、実はこの盆栽は…。

名古屋市 愛知園・園主:
これもこれもそうですね。これもそうです。写真を撮って犯人グループたちは売りに出しているわけなんですね…。間違いなく写っているのが自分の木だって分かるのもありますし…。

盗まれたものとみられる盆栽が、転売されているというのです。

実は、ここ数年、海外では日本の「盆栽」への関心が爆発的に高まり「世界的ブーム」に。高値で売買されているといいます。

盆栽ライフ園主 武部和広さん:
特にベトナムと中国では需要が高まっているんですよ。やっぱり盆栽の文化があったところですよね。日本も中国から習って盆栽という文化ができて、中国関係の文化があるところは盆栽(の需要)が元々高い。
(めざまし8 12月26日放送)