恋愛感情を利用して、男性から現金をだまし取るためのマニュアルを販売し、詐欺容疑などで逮捕・起訴された“頂き女子りりちゃん”と称する女。
逮捕から2カ月あまり、その初公判が開かれた。法廷で何を語ったのか…。
仕事は「してないでーす」 起訴内容認める
渡辺真衣被告(本人のYouTubeより):
世界の平和を守る…人妻JK、魔法少女りりちゃん!です…。
2023年8月、恋愛感情を利用した“詐欺マニュアル”を作成・販売し、詐欺の手助けをした疑いで逮捕された、渡辺真衣被告(25)。男性からだまし取った現金の総額は、2億円以上に上るとみられている。
11月2日午後3時過ぎ、名古屋地裁で初公判が開かれた。証言台に立った渡辺被告は、黒髪にメガネをかけ、上は紺色のスエットで下は黒のズボン姿。動画で見せていたキラキラした印象は影を潜めていた。
しかし、裁判官とのやりとりでは…。
渡辺真衣被告:
渡辺真衣で~す。
裁判官:
住所は?
渡辺真衣被告:
ないでーす。
裁判官:
仕事はしてますか?
渡辺真衣被告:
してないでーす。
詐欺のほう助について「間違いないか」と問われると、「いや、ないです」と話し、起訴内容を認めた。
「おぢ」数十人から詐取した2億円の使い道
裁判での解明が待たれるのが、だまし取った巨額の現金の流れだ。
渡辺被告は7月、SNSに「風俗と詐欺で何億か稼いで手元に1円も残らずホストさんの応援に使ってしまいました」と投稿。だまし取った多額の現金で、新宿・歌舞伎町のホストクラブで豪遊していた。
渡辺被告が貢いでいたのは、新宿・歌舞伎町のホスト、狼谷歩こと田中裕志容疑者(26)だった。田中容疑者は10月、詐欺で得た金と知りながら貢がせていたとして逮捕されている。
田中裕志容疑者(本人のYouTubeより):
お金って持ってみたら分かるけどね、紙切れなんだよ。人が本当に欲しいものはね、お金じゃ買えないんだよ。
我ながら、主人公体質だなっていうのをかなり自負していまして。生きてるだけで俺の後ろにストーリーがついてきちゃうんですけど。
渡辺被告は「おぢ」と呼ぶ数十人の男性から、「頂き」と称して2億円以上の金をだまし取り、その多くを田中容疑者と過ごす際のホスト代として貢いでいたとみられている。
渡辺被告は、どのようにしてホストにはまっていったのか。
“カジュアル”化したホストクラブ のめり込むと…
歌舞伎町の社会学を研究する現役大学生の佐々木チワワさんは、最近のホストクラブは、カジュアル化していて、学生やOLなどの20代の女性客が多いと話す。
歌舞伎町の社会学を研究・ライター 佐々木チワワさん:
ホストクラブは最初の敷居がとても低くなってきていて、60分飲み放題3000円から始まる。そこから、自分の担当ホストをナンバーワンにしたい、ホストからの扱いをよくされたい、大切にされたいとなると、月20万円しか使っていなかったら、ホストは外で会ってくれなかったりする。50万円、100万円と使うと会ってくれたり、扱いがよくなる。
また、ホストと客の関係も大きく変わってきていると指摘する。
歌舞伎町の社会学を研究・ライター 佐々木チワワさん:
“推し活”の投げ銭のような感覚のお金の使い方が混ざっていて。その人との関係性を買うために、その人の売り上げを上げるという、お金を使うことが目的になっている。
田中容疑者は、店でこのようなものを売っていた。
田中裕志容疑者(本人のYouTubeより):
これは俺のホスト1年目の時のエピソードなんですけど、指名して3カ月くらいの女の子で、すごい応援したいって言ってくれて。自分、お酒飲めないんで、その時家にあった魚の形したヤカンみたいなやつを、まあ原価3000円ぐらいだと思うんですけど、1277万円でおろしてもらったことがありまして。これがその時の実際の写真なんですけど。
渡辺被告も、この魚の形をした器の写真をSNSに投稿。多額の現金を貢いでいたものとみられる。
SNSの普及と相まってカジュアル化したホストクラブ。1カ月の売り上げが1億円に上る店もあるという。しかし、ホストにはまった末、見境なく貢いでしまうと大きな落とし穴が待っているという。
歌舞伎町の社会学を研究・ライター 佐々木チワワさん:
カジュアルに楽しめるけど、その中ではまってしまい、自分が大金を使いたいと思った時に、夜の仕事に流れるというケースが多い印象です。
逮捕された際の渡辺被告は、カプセルホテル暮らし。所持品は、壊れたスマホ、ホストの名刺、数千円程度の現金だったという。
詐欺の罪については、12月に行われる次回の裁判で審議される。
(「イット!」11月2日放送より)