台風6号による被害が相次いた韓国で「台風を体験した」とするYouTuberの映像が、実際は去年撮影されたものだとわかり、地元の自治体が法的措置を検討している。
10日午前、韓国南部に上陸した台風6号は、異例の遅い速度で北上し、約16時間後に北朝鮮との軍事境界線を通過した。
この記事の画像(6枚)韓国気象庁によると、台風が韓国を縦断したのは、記録が残る1951年以降初めてで、広い範囲で被害が相次いだ。
YouTuberが偽台風体験動画を投稿か
こうした中、インターネット上ではYouTuberの男性が「台風の体験」をうたって、釜山の海岸近くで高い波に飲まれる映像を投稿した。
韓国メディアによると、男性はこの映像で、広告収入など日本円で7万円以上を受け取ったが、実際は去年の台風被害の映像を再編集したものであることがわかった。
現場周辺の飲食店では、映像を今回の台風によるものと勘違いした客が予約をキャンセルするなど、売上に影響が出ているという。
自治体では「災害対応業務に大きな支障が生じた」として虚偽事実流布などの疑いで、男性への法的措置を検討している。
台風は韓国を抜け北朝鮮へ
韓国政府の対策本部によると、11日午前11時時点で住宅の浸水や堤防の決壊など合わせて379件の施設の被害が確認され、約4万6千世帯が停電した。
韓国メディアによると、特に台風の「危険半円」とされる右側で影響が大きく、1時間あたり90ミリの雨が降った東部の束草では、市場に水が激しく流れ込んだ。
また南東部の釜山では、最大瞬間風速35メートルを記録し、強風による倒木などの報告が、10日だけで計524件あった。
台風6号は11日午前3時ごろ北朝鮮の平壌付近で熱帯低気圧に変わった。