2020年7月豪雨の被災地、人吉市で復興支援プロレス大会が開かれた。被災地で復旧活動を手伝い、大会を主催した男性に思いを聞いた。

(3月18日/人吉市立第一中学校 体育館)
『人吉豪雨災害復興支援プロレス』。2020年7月豪雨で大きな被害に遭った被災地を盛り上げようと、復興支援ボランティアU.F.Kが開いた。

【リングアナウンサー オッキー沖田さん】
「この人吉、28年ぶりのプロレス大会開催、たくさんのご来場ありがとうございま~す」

【主催団体の内田 雄也 代表】
「これだけ人が集まったくれたら一番です。プロレスが始まったら、みなさん5倍くらいの笑顔になるんじゃないかと思う。ぜひ楽しんでいただきたい」

小さな子どもたち向けの『プロレス教室』では『スクワット』を体験したり、ロープをタッチしながら走ったりして楽しんだ。

(人吉市に支援金を贈呈)

内田さんはさまざまなプロレス団体と協力し、被災地でチャリティー大会を開いたり、募金を届けるなどして復興支援を続けている。

【内田 雄也 代表】
「(チャリティープロレスを)最初に見たのは熊本地震のときで、みんな暗中模索なので、プロレスで元気を与えられるのかなと。いざ始まると、みんなニコニコ笑顔で。そのときに本当にプロレスって力を与えられるんだなと思って間違いないと」

人気絶頂の女子プロレスラー、ウナギ・サヤカ選手が登場するとさらに盛り上がった。対する井上貴子選手はスタンガンで威嚇し、会場を沸かせた。

代表の内田さんは2012年7月の九州北部豪雨災害以後、県内外の被災地に入り、ボランティアで復旧活動に当たってきた。

【内田 雄也 代表】
「東日本大震災のときに熊本にいて、津波や火災を報道で見て被災地に行けないもどかしさがずっとあった。そして気づいた。行けないんじゃなくて、行かないんだと。理由をつけて行かなかった。店がある、仕事がある、子供が小さい。それがずっとひっかかっていて、地元・熊本で(2012年7月九州北部豪雨)災害があったときにここしかないと、1人でボランティアセンター行って、そこからのスタート」

今では、行きたいけど1人では行けないという人たちのために『バスを出すから行きましょう』と誘い、みんなで行ける形をつくっている。

内田さんに大きな影響を与えたプロレスラーがいる。大谷晋二郎さんだ。倒れても倒れても立ち上がる熱いファイトが多くのファンに支持されている。

【大谷晋二郎さん】
「みんな一緒に頑張るぞ!(オー!)頑張るぞ!(オー!)」

被災地・熊本をずっと応援してくれている。

【大谷晋二郎さん】
「きょうプロレスを見て今まで以上に元気になりましたかー」
(はーい)
「一緒に頑張りましょう」

【大谷晋二郎さん】
「僕が信じているプロレスの力を熊本の方が信じて求めてくれた。もう立ち上がるしかない」

【大谷さんのタッグパートナー 田中 将斗さん】
「真っすぐで熱い、人情深い。責任感が強い。熊本で困っている人がいたら助けに行こうと思うのが大谷晋二郎」

しかし、大谷さんは去年4月、試合で激しい技を受け、リング上で動かなくなり救急搬送。頸髄を損傷し、首から下が麻痺状態になりました。大谷さんの回復を祈り、支援しようと全国各地で募金活動が行われている。

【内田 雄也 代表】
「『大谷さんから今までいっぱい元気をもらったから』『恩返しがしたい』とか、みなさんのメッセージを届けることで大谷晋二郎も『よし、頑張う』と。逆に今回は僕たちが、大谷さんが言ったように『一緒に頑張りましょう』と今回は僕たちが大谷晋二郎に言いたい」

大谷さんが代表を務めるゼロワンの興行を応援している萩原 宣さんは募金を呼びかけ、大谷さんとその家族の支援を続けている。

【パブリックビジネスジャパン 萩原 宣 社長】
「いろいろな内臓系や呼吸器系の疾患はだいぶよく良くなって、つい最近まで呼吸補助の管を入れていたが、それはなくなって、自発呼吸ができるようにはなっている」

3000万円以上の募金が集まったことに、ファンに直接お礼が言いたいと5月6日、大谷さんは東京で行われたプロレス会場にやってきた。

【萩原 宣 社長】
「めちゃくちゃ喜んでいた。自分も頑張るけど、きょう来てくれている皆さんが僕以上に頑張っていることを僕は知っていると、周りを気遣うことを言った。正直、涙が止まらなかった。車イスの大谷さんだが、本当にファンから見てもすごく安心するプロレスラー大谷晋二郎が目の前に現れたと。首から下は一切動かないけれど、会場のみんなは思いは一つだと思う。『よかった、大谷に会えて』」

【内田 雄也 代表】
「大谷晋二郎が元気だったら、『人吉プロレスをやりたい』と言ったら、『やりましょう!』と言っていたと思うので、熊本に来れない間は僕がそれをつなげていこうと」

他にも大谷さんに思いを寄せている人たちが人吉のプロレス会場にいた。大分県別府市の右田智幸さんは子ども3人と来場した。大谷さんの大ファンで次男には同じ「晋二郎」と名付けた。それが縁で、一家揃って大谷さんと親交がある。おととし、次男の晋二郎さんは大谷さんに悩み事を聞いてもらったという。

【父・右田智幸さん】
「高校の途中から(気持ちが)落ちかけていたんです。そうしたらゴング(内田雄也さんの店)で大谷さんが『ちょっといいですか』と(次男と)二人きりで30分くらい話してくれて」

(大谷さんのタッグパートナー田中将斗選手も登場)

大谷晋二郎なら、きっと豪雨被災地の人吉でもチャリティープロレスをやったに違いない。その思いは会場を埋め尽くした人たちに届いたはずだ。

【内田 雄也 代表】
「みんな一緒に頑張りましょう。頑張ろう、人吉!」

【観客】
「挨拶の大事さから勇気を与えるところまで一連の流れで、すごく充実した時間だった」
「何度でも立ち上がるところがかっこよかった」
「とてもいい活動。これからも続けてもらって、自分たちも元気をもらえたらいいなと思った」
「ありがたかった」

【リングアナウンサー オッキー沖田さん】
「自然の猛威はすごいことなので、でも人間はそこから立ち上がれる素晴らしさを持っているので、これからも人吉の皆さん、頑張って立ち上がっていきましょう」

【内田 雄也 代表】
「人が集まって、声を出して笑顔になれるというタイミングが重なって、きょうの大成功につながったと思う。みなさんが笑顔になってくれて、本当によかったと思う」

【右田 晋二郎さん】
「元気をもらいました。最高です!」

【右田さん一家】
「プロレス、最高!」

今回の大会を主催した内田 雄也さんは今後、熊本城でチャリティープロレス大会を開催したいと考えている。

テレビ熊本
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