事務経費3000億円は「高すぎる」と野党が追及…「Go To キャンペーン」っていったい何?

第2次補正予算案審議6月8日・衆院本会議

6月17日に会期末が迫る終盤国会で、野党が激しく追及している「Go To キャンペーン」。総事業費約1兆7000億円という巨大事業だが、野党は、キャンペーンに直接使用されない事務経費が約3000億円と2割近くに当たるのは「高すぎる」として、「税金の無駄だ」と批判している。このGo To キャンペーンとは、いったいどのようなキャンペーンなのか。

野党合同国対ヒアリング

新型コロナウイルスの拡大を受けて、政府が4月に閣議決定した緊急経済対策は、感染が終息するまでの「緊急支援フェーズ」と、感染が終息した後の「V字回復フェーズ」という2段階に分かれている。

そして、2段階目の「V字回復フェーズ」で、屋外活動の自粛などにより甚大な被害を受けている観光・運輸・飲食・イベントなど様々な事業を対象に、官民挙げて「Go To キャンペーン(仮)」を行うとしているのだ。

具体的には、「キャンペーン期間中の旅行商品を購入した消費者や飲食店を予約・来店した消費者、飲食店で使える食事券を購入した消費者、イベント・エンターテインメントのチケットを購入した消費者に対し、割引・ポイント・クーポン券等を付与する」という。

つまり、Go To キャンペーンとは、感染終息後、旅行や外食、イベントなどを、税金を使って割引し、お客さんを増やして事業者を支援することで、経済回復につなげようというものだ。現時点でわかっている内容は以下の通りだ。(政府の委託先公募資料より)

観光キャンペーン

旅行宿泊や地域産品、飲食等に割引やクーポン等を付与する。ただし、クーポン等の上限は代金の2分の1相当で、1人あたり1泊につき最大2万円を目途とする。

飲食キャンペーン

オンライン予約等による飲食店の予約や食事券の購入に割引やポイント等を付与する。ただし、ポイントや割引などの上限は1人あたり最大1000円分、または2割分を目途とする。

イベント・エンターテインメントキャンペーン

チケット販売業者経由で購入されたイベント等のチケットに割引やクーポン等を付与する。ただし、クーポン等の上限は1人あたり最大2割分を目途とする。

商店街キャンペーン

上限を300万円とし商店街等におけるイベントやキャンペーンの実地。複数商店街等の広域での実地の場合は500万円の上乗せも可能とする。

7月下旬から開始予定・・・委託先公募いったん中止で暗雲が

大手の旅行代理店などは早速、特設ページを作り、「旅費の“半額”補助」などの見出しとともに大々的な広告を展開している。

西村経済再生担当相は、全国で緊急事態宣言が解除された5月25日、Go To キャンペーンを7月下旬から段階的に開始する方針を表明した。

西村経済再生相の記者会見・5月25日

しかし、約3000億円の事務委託費をめぐる野党の批判を受け、政府は、6月5日、委託先の公募をいったん中止した。これにより事業開始が7月下旬からずれ込む可能性が出ている。先行きに暗雲が立ちこめてきた。

そして、Go To キャンペーンの懸案はこれだけでない。

梶山経産相・6月5日

一番きつい地域・業界が回復できるのか・・・自民党議員の懸念

「一番きつかった地域、一番きつかった業界が、やっと立ちあがってきたところで、もうお金がありませんということになりかねない」

こう語ったのは、自民党観光立国調査会の武井俊輔・事務局次長だ。

自民党観光立国調査会の武井俊輔・事務局次長

武井氏は、「早く回復できる地域と早く回復できない地域、早く回復できる業種と時間がかかる業種がある」と指摘し、再開が遅れた事業者が十分な恩恵を受けられないことに懸念を示した。

「有名テーマパークに行く人が事業費をみんな使ったら、キャンペーンは終わっちゃうんですよ」

キャンペーンは「早くやった方がいい」とする武井氏だが、感染拡大の状況が地域や業種ごとに違うので、開始前にきちんとした制度設計の議論をしなければならないと主張する。

本当にきつい人に届くのか・・・今後の制度設計が課題

制度設計では、いかに感染拡大の影響を受けた事業者を支援できるかが問われる。

観光業界からの不安や懸念の声を多く聞いてきた武井氏が、“心配な業種”として、まず例にあげたのが貸し切りバスだ。貸し切りバスは、「飛行機や新幹線に比べると、代替率が高い」。つまり、貸し切りバスは、旅行の際の移動手段として、自家用車やレンタカーなど別の選択肢が多いため、影響が大きい。制度設計で目配りが必要だ。

さらに、武井氏は「いい旅館から埋まるんですよ」と苦笑いする。

今まで2万円で高いなと思っていたところが1万2000円で泊まれれば、ちょっと行ってみようと。普段8000円のところが3000円だというインセンティブに比べると、はるかにそちらの方が高い

“お得感”による利用施設の偏りという問題点も考慮すべきだというのだ。

キャンペーンを実施する事業者の状況は千差万別だ。武井氏は、宿泊施設の予約について、「電話を受けたとメモ帳に書くとか、壁掛けカレンダーに誰々様と書くだけみたいな所もある」と話す。予約から支払いまで全てインターネット上で行うOTA(=オンライントラベルエージェント)を利用した場合から、直接ホテルに電話をして予約し現地で支払う場合など、様々なケースを想定する必要があると指摘する。制度設計は簡単ではない。

さらに「キャンペーンの終わらせ方」も大切な視点だという。こうしたキャンペーンは、予算を使い切れば終わるものだが、キャンペーンを前提にしていた利用者が突然施設側から「キャンペーンが終わったので正規料金がかかります」と告げられたら、どうだろうか。武井氏は「結局、施設が割引分を被らなければいけないだろう」と現場の空気を語る。

そうならないためにも、キャンペーンの進捗状況を管理する仕組みや、不公平なくキャンペーンを終わらせる道筋を議論し、制度に盛り込むべきだというのだ。

だからこそ官公庁や事務局の腕の見せ所だ」。

課題を指摘してきた武井氏は最後にこう語り、キャンペーンへの期待感を滲ませた。

走り出す前から不穏な空気に包まれているGo To キャンペーンではあるが、「国内の人の流れと街の賑わいを作り出す」というキャンペーンの理念の元、見事完走してほしいものだ。

(フジテレビ政治部 自民党担当 福井慶仁)