札幌の動物園のクラウドファンディングが話題

新型コロナウイルスの影響で休園が長引き、存続の危機に直面しているとして、北海道札幌市のふれあい体験型動物園「ノースサファリサッポロ」が5月16日、クラウドファンディングをスタートした。

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このクラウドファンディングのリターン(=支援者が受け取れる返礼品)が「すごい」と、Twitter上で話題になっている。

「動物が描いた絵」「蛇の抜け殻ピアス」「インコの羽ピアス」「ビーバーがかじった木で作ったコースター」「ライオンの毛・フクロウの羽・蛇の抜け殻を選べる開運お守り」といったリターンを紹介した、ぎるびぃさんのツイートは2万5000リツイート、2万4000以上の「いいね!」がつくなど拡散している。(6月5日現在)
 

70種類以上の動物と触れ合える

2005年に開園したノースサファリサッポロは、現在138種類、約500頭の動物を飼育。

70種類以上の動物とふれあいやエサやりが楽しめるのが特徴で、2019年には来場者数が15万人を超えた。

ところが今年は、新型コロナウイルスの影響でゴールデンウィーク期間を含む、長期間の休園を余儀なくされ、存続の危機に直面。

こうした中、動物たちを守るため、クラウドファンディング「【ノースサファリサッポロ】コロナの影響で存続の危機!動物達を守りたい!」を5月16日から開始した。

「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」は7万円

支援は3000円から可能で返礼品には、「ヘビの抜け殻で作ったキーホルダー」(3000円)、「ビーバーがかじった木で作ったコースター」(3000円)、「動物が描いた絵」(7000円)、「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」(7万円)など、動物と共に制作したという“攻めたグッズ”が並んでいる。

ヘビの抜け殻で作ったキーホルダー
ヘビの抜け殻で作ったキーホルダー
ライオンがひっかいたダメージジーンズ
ライオンがひっかいたダメージジーンズ

この他にも、「ノースサファリサッポロ1日園長体験」(10万円)や「ノースサファリサッポロ貸切(=平日17時~19時30分を貸し切って利用できる)」(30万円)といったものもラインアップされている。

このクラウドファンディングに対し、6月5日の19時時点で、支援者は約2300人、支援額は約1600万円となっている。
目標金額は2500万円で、支援は6月30日まで受け付けている。

クラウドファンディングのリターン(返礼品)として、なぜ、このような“攻めたグッズ”を揃えたのか?

ノースサファリサッポロの担当者に現在の状況も含めて聞いた。

夏期営業の開始が1カ月以上遅れた

――新型コロナウイルスの影響で、どのぐらいの期間、休園した?

当初、4月25日から夏期営業を開始する予定でしたが、オープンできず、5月31日まで休業しました。

――6月1日に営業を開始してから、お客さんの入りは?

まだ週末を迎えていないので、比較が難しいのですが、少ないような気がします。

――新型コロナウイルスの影響で、現状どのようなことに困っている?

徐々に解消されつつありますが、消毒用アルコールの不足。そして、園内各所の消毒作業に人手が取られる点です。

年間売上高の4分の1を失った

――エサ代などで1日にどれぐらいの費用がかかるもの?

エサは1か月で約300万円、空調光熱費など約250万円、人件費が約1200万円、動物医療費、その他雑費で約350万円です。

――新型コロナウイルスの影響で赤字が続いているような状況?

休園しても開園しても動物のエサ、暖房費は変わらなくかかりますし、お世話をする人件費も休園中であっても一定の人数が必要ですので、赤字です。

さらにゴールデンウィークに営業できなかったことで、年間の売上高の4分の1を失ったことになります。

――クラウドファンディングを始めたのは、どのような思いから?

いつになったら終息するかわからない状況ですので、せめて動物の食費を何とかしたいという思いです。

当園としての感覚では通常運転です(笑)

――「ヘビの抜け殻キーホルダー」「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」などとても攻めたリターンが多い。これはなぜ?

当園は「日本一危険な動物園」と言われていますので、当園としての感覚では通常運転です(笑)。
ただ、せっかくご支援いただくなら、唯一無二のリターンを提供したいと思っておりますので、「変わったリターンだ」「攻めてるね」と言われることは、非常に嬉しく思っております。

――数あるリターンの中で、とくにおすすめは?

どれが1番でどれが2番ということはありませんが、金運アップを狙うなら、「ヘビの抜け殻・開運お守り」か「ヘビの抜け殻キーホルダー」がおすすめです。

「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」もいいのですが、安全にいくなら、「動物の足跡Tシャツ」でしょうか。

開運お守り(右が「ヘビの抜け殻・開運お守り」)
開運お守り(右が「ヘビの抜け殻・開運お守り」)
動物の足跡Tシャツ
動物の足跡Tシャツ

一番苦労しているのは「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」

――作るのに苦労したものは?

現在進行形で一番苦労しているのは「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」です。

作成に成功した「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」
作成に成功した「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」

ライオンは気分の上げ下げが激しく、こちらが思うタイミングで引っかいたり、噛みついたりしてくれないのです。

一方で、急にテンションが上がって噛みつくときは、やりすぎでボロボロにされたり…。
ジーンズ自体がそこそこの値段がするものなので、ロスが多いのが大変です。

作成に失敗した「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」
作成に失敗した「ライオンがひっかいたダメージジーンズ」

「私たちは必ずこの危機を乗り越えます。そして大変な思いをされている皆さまに癒しを提供し、感動を共有したいと思っております」としている、ノースサファリサッポロ。

集めた資金は、基本的に動物のために使い、エサ、補助食品、医療費などに優先して、充てるとしていて、目標金額に満たない場合も、リターンはお届けするという。
 

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プライムオンライン編集部
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