ハリウッドスターの団結への呼びかけに多くの反響

アカデミー賞俳優のマシュー・マコノヒー氏が自身のインスタグラムにアップしたメッセージ動画が話題になっている。

医療従事者などの画像と共に「(新型コロナウイルスは)政治ではなく、私達みんなの問題」とのメッセージが表示される。

マコノヒー氏のインスタグラムより
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この動画を投稿した理由について、マコノヒー氏はインタビューにこう語っている。

「“コロナの問題”が完全に政治にハイジャックされていて、危機感を感じたんだ。出勤すれば右翼だと言われ、在宅勤務を続ければ左翼だと言われる。マスクをしなければ共和党寄りで、マスクをすると民主党寄りと見なされる。この分裂は人々の間に二つの争いを引き起こしている。一つはウイルス、一つはお互いの対立だ。“コロナ”は、アメリカ人の共通の敵であり、今は団結してこの問題に取り組まなければいけないというメッセージを届けたかった」

この動画は、これまでに 23万回以上再生されていて、「感動した」「アメリカよ目を覚ませ!」などの書き込みが寄せられている。

インタビューを受ける俳優のマシュー・マコノヒー氏(Fox News HPより 5月12日放送)

経済再開を巡りアメリカを二分する対立

マコノヒー氏が団結を呼びかける背景には、新型コロナウイルス対策をめぐる政治的対立の激化がある。大統領選まで半年を切ったアメリカでは、支持する政党によって「コロナ禍」をどう受け止めるかも全く異なる状況が生まれているのだ。トランプ大統領率いる与党・共和党はロックダウンによって打撃を受けた経済の早期立て直しに重点を置くのに対し、野党・民主党は人命第一を主張し、拙速な経済活動の再開には慎重姿勢を示している。

最新の世論調査の結果を見てもその差は歴然だ。公園の再開には共和党支持者の49%が賛成する一方で、民主党支持者は13%。また、レストランの通常営業に関しては共和党支持者の31%が賛成、民主党支持者は6%と、対応が鮮明に分かれている。

党派別の「完全な再開」への支持率 エコノミストなどが5月12日に行った世論調査

経済再開に向けた意見の対立は、一部で暴力行為にまでエスカレートしている。ミシガン州では4月30日、銃を手にしたデモ隊が州議会議事堂に押し入り、民主党所属の州知事にロックダウンを解除するよう迫る騒ぎがあった。民主党の政策に不満を持つ共和党支持者らが、実力行使に出たと見られている。けが人などは出なかったが、議事堂内では身の危険を感じ防弾チョッキを着用する議員もいたという。

州議会議事堂に乱入したデモ隊はライフル銃で武装(ミシガン州議会議員Dayna Polehanki氏のツイッターより)

この騒動を受けトランプ大統領は「知事が(反対派に)少し譲歩して火を消すべきだ。彼らは良い人たちだが、怒っている」とツイート、デモ隊の擁護に回った。

強引な経済推進で深まる分断

アメリカで新型コロナウイルスの感染者は150万人に達し、死者は9万人を超えた。初動の遅れなどトランプ政権の対応のまずさが、甚大な被害をもたらしたとの批判も多い。逆風の中、トランプ大統領は秋の大統領選までに、経済を少しでも回復させ批判を封じ込めたいという思惑がある。

4月の米国の失業率は14.7%と第2次世界大戦後最悪水準を記録し、5月の失業率はさらに悪化することが予想される。感染がピークを越えつつある中で有権者の最大の関心は「ポスト・コロナ」の経済回復に移りつつある。

トランプ大統領は「経済はV字回復する」「来年は素晴らしい経済状況になっている」などと楽観論を繰り返し、早期の経済再開を推し進めようとしているが、強引な対応は慎重派との間の溝をさらに深め、国の分断を助長しているように見える。

国難に直面するアメリカが必要な団結

アメリカ疾病対策センターのレッドフィールド所長はツイッターで、6月1日までにコロナウイルスによるアメリカ国内の死者は10万人に達するとの見通しを示した。

アメリカ疾病対策センター・レッドフィールド所長の5月15日のツイッターより

アメリカ一国で、世界の総死者数の3分の1に迫る勢いだ。まさに国難と言える状況に、アメリカはノーサイドで一致団結し対応することが求められている。

【サムネイル画像:ミシガン州議会議員Dayna Polehanki氏のツイッターより】

【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】