半月で3件…体育授業中、相次ぐ生徒の突然死

新型コロナウイルスをほぼ抑え込んだとする中国では、地域ごとに徐々に学校の授業が再開されている。学校では、登校時の検温、マスク着用などが義務付けられているが、体育の授業中に生徒が死亡する事故が半月の間に3件も相次いで報告された。詳しい原因は不明だが、マスクが呼吸を妨げたとの指摘が出ており、社会的な関心を集めている。

中国メディアによると、4月14日浙江省温州市で、学校再開2日目の体育の授業で、マスクを着けて1500メートルを走っていた男子学生が突然倒れ、病院に運ばれたが、死亡が確認された。

その10日後の4月24日には河南省周口市でも、体育の授業でグラウンドを走っていた中学3年生の男子生徒が突然倒れ死亡した。学校の監視カメラを見た生徒の父親によると、生徒は走っている途中で、仰向けに頭から地面に倒れこんだ。生徒は通常のマスクを着けていたという。当時の気温は20℃だった。

さらに4月30日には湖南省長沙市でも、中学3年生が1000メートル走のタイム測定をしている途中に倒れ、亡くなった。生徒は医療現場で使われる高性能マスク「N95マスク」を着用していたという。

「マスク着用での運動」「N95マスクの注意点」 専門家の見解は…

専門家はマスクの着用が生徒の死亡と何らかの関係性がある可能性を指摘している。中国の医師は中国メディアの取材に対し、「運動の際、人体の酸素消費量は増加し、人は大量の酸素を吸う。しかし、マスクを着用すると呼吸が妨げられ、酸欠になる恐れがある」とした上で、「体育の授業でマスクをつけるかどうかは各地の状況によって科学的に判断すべきだが、確かなのはN95 マスクをつける必要はなく、通常のマスクで良いということだ」と指摘した。

N95マスク

また心臓外科専門の別の医師も「N95は、密閉性はとても良いが、吐いた息もまた吸い込むことになるので、体内の二酸化炭素量が増え、酸素量が減ってしまう可能性がある」とし、「医療関係者であっても4時間以上つけてはならない。子供が長時間着けるのは避けるべきで、運動には更に勧めない。再開したばかりの学校では激しい運動は避けるべきだ」と述べた。さらに別の専門家は「7歳以下の子供にN95マスクを着用させてはならない。子供は窒息のリスクもある」と警鐘を鳴らしている。

広がる「マスクなし」の体育授業

体育授業では1m以上の間隔を空け、マスクを外すよう求める海南省教育当局の通知

中学生の死亡が相次いだことを受け、中国各地の教育当局は屋外での運動の際は、お互いの安全な距離を保つことを前提にマスクを着用しないよう呼びかける動きが広がっていて、各学校の体育の授業では、徐々にマスクを外すようになってきた。また、生徒らが長期にわたって外出を控えていたため、体がまだ激しい運動に慣れていないとして、体育の授業では運動強度を抑えた軽めの運動から再開しているという。日本ではまだ多くの地域で休校が続いているが、授業再開の際にはこうした点にも注意が求められる。

【執筆:FNN北京支局長 高橋宏朋】