自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「お菓子やアイスの袋を自分で開けたがる。頑固なのでそのまま見守る…『パンッ』と勢いよく開いたはいいが、中身もすっ飛び落下…」(投稿者:ひとみん さん)


SNSでも、2~3歳を中心に「お菓子作りを全部ひとりでやりたがって困った!」「お買い物に行って、かごを持つのもカートを押すのもひとりでやりたがる…」など、「全部ひとりでやりたい!」という子どもの主張が続々。

おやつのたびに慌てて片付け、お買い物は時間が倍かかる!
ついつい手を貸したくなるのが親ゴコロだけれど、「なんでもやりたがる」子どもゴコロって、そもそもどうして?

育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。


――子どもが「一人でやりたがる」ココロの理由は?

佐藤氏:
「一人でやりたい」という思いは、2~3歳ころのお子さんに多く見られます。その背景にあるのが、自我の成長です。しかし、「自我」というのは、親が直接見ることができず、むしろその自我の成長によって生じる「イヤイヤ」や「反抗」の方が、目の当たりにできる現象のため、通称ではイヤイヤ期とも言われています。

子育てにおいて、子どもの反抗期は2回あり、
・1歳後半~3歳の頃に見られる「第一反抗期」は、「自我の芽生えの時期」
・12~15歳の頃に見られる「第二反抗期」は、「自我の確立に向けた時期」

どちらも「自我が急速に発達する時期」という点で共通しています。

しかし、2~3歳の子にとって、自立の道は平たんではありません。むしろ、「やりたくても、自分ではできないこと」に多く直面します。

親に依存している自分・自立したい自分・その狭間で揺れる自分

という3つの顔を持った「自分」が同時に存在するのが、反抗期の特徴です。
とくにはじめの2つは相反する存在で、自立したいのに、まだまだ親に依存している自分にもどかしさ、煩わしさ、ときに無能感を感じ、そのわだかまりを外に吐き出します。それが「反抗心」です。この自我の急成長が、結果として、「イヤイヤ」の連発を生み出すことになります。
よって、この時期になんでも一人でやりたがるのは、自我の成長による現象と言えます。


――ちょっとだけ手助けしたい親ゴコロ…どうすればいい?

第一反抗期の第一目的は、「自立すること」であって、「イヤイヤすること」ではありません。
こう考えると、親が何をすべきかが見えてくるのですが、この時期に大切なのは、「自立を促す働きかけ」であり、「イヤイヤをなくす」ことではありません。「イヤイヤ」というのは、外にはっきりとした形で放出されるので、親はそればかりが気になってしまいがちですが、イヤイヤ対策にかかりきりになってしまうと、逆に自立を妨げてしまうこともあります。

よくあるのは、
子どもにイヤイヤされないうちに、先回りしてやってあげる

子どもは自分でチャレンジする機会を失う

自立が進まない

というものです。

忙しいママは、物事をスムーズに運びたいと思うものです。でもその思いが強くなり過ぎてしまうと、子どもの「自分でやりたい」という気持ちの芽を摘んでしまったり、自分ひとりで取り組むという経験の機会を減らしてしまうことがあります。

この時期は達成経験を多くさせることがとても大事なので、このケースにおいても、ママが見て、なんとかひとりでできる状態を作ってあげるのが望ましいと言えます。
今回のエピソードだと、お菓子の袋によって、開けやすさは異なりますが、ママが見れば、このくらいなら大丈夫そうだ、もしくは少し切り目を入れておいた方がよさそう、などの判断ができるかと思います。

たしかにお菓子をこぼして台無しにしてしまうのはもったいないですので、だんだんと難易度をレベルアップしていきつつ、「自分でやるの」という気持ちは満たしてあげる工夫がいいと思います。


――「自分でやりたい!」子どもたちにNGな言葉は?

今回のようなシーンで親がかけるべきでない言葉は、「○○ちゃんにはできないよ」「むりむり、ママがやるから」などです。

また、積極的にかけたい言葉は、「やってごらん、どうぞ」という受け入れ、できたときに、「すごいね、一人でできたね」というほめ言葉、これらはもちろんのこと、あともう少しというときに、「その調子、もう少しで開きそうだね」などの寄り添いや励まし、あと何より大事なのは、失敗してしまったときの声掛けでしょう。

子供にとって失敗する経験はとても貴重なものです。失敗することで学ぶことも多いですし、基本的にこの時期の子どもはとても楽観的なので、少々のことではへこたれません。次、またやろうとします。
ですので、親はたとえ失敗しても次につなげられるような声掛けをしていくのがベストで、「今回はここまでできたね」「ピリッて切るところ、すごく上手だったよ」のように、失敗してしまった中のよかった部分を見つけていくことや「次はもうちょっとゆっくり開けてみるとうまくいくね」「よし、次は○○のところから開けてみようか」のように、次回の作戦を考えてみるなど、次への橋渡しを言語化するのがおすすめです。

親の見守りは大切だけど、時には必要な手助けを!

子どもたちの「全部自分でやりたい!」というココロに隠されているのは、「自立したい!」という成長のあかし。

1人でやらせるのは心配、失敗したら落ち込んでしまうかな…と思ってしまう親ゴコロを少しだけおさえて、まずはほんの少しの手助けから見守ってみるのが良さそうだ。

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(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。