岩手で自分の居場所を見つけた女性

岩手県陸前高田市矢作町。

春の息吹が感じられる山間の集落で、新生活を始める女性がいる。東京都出身の三橋英里奈さん(23)。

三橋英里奈さん:
いろんな人からいろんな恩を受けているなと感じていて、自分の居場所をここで見つけられたからですかね

三橋さんは4年前、友達に誘われた復興支援がきっかけで陸前高田市を訪れた。

三橋英里奈さん:
地域の方とのかかわりを通して、どんな暮らしをしたいか、そういう将来的なところとか、自分の在り方を考えた時に、自分がこの町で、何ができるのか挑戦したかった

地方ならではの人の温もり、人のつながりを感じた三橋さん。その人とのつながりが東日本大震災後さらに人口減少が進んだ被災地では、減りつつある。

三橋さんは移住・定住する人を増やし、人口減少に歯止めをかけようと設立されたNPO法人高田暮舎に賛同し、2018年、ある決意をした。

人口減少歯止めに空き家対策へ

それは、1年間大学を休学して、空き家対策に取り組むこと。

それが地域の魅力・人とのつながりを守ることに結びつくことを学んだ。

三橋英里奈さん:
大学卒業したら、こっちに定住。まずはしてみたい。戻ってきたい。だって大好き

その宣言通り、大学を卒業した三橋さんはこの春、移住を決めた。

空き家をリフォームして移住

三橋さんが住むのは、築80年の空き家だった家。

元々は大家さんの実家で、ここ2年、使われていなかった。水回りをリフォームして家賃は月1万5000円。中でも三橋さんお気に入りのポイントが。

三橋英里奈さん:
ここに跡があるじゃないですか。家主のお母さんがテレビをみながら、ここでよくうたた寝してた。おしゃれさんだったので、お歯黒とか椿油とか髪の毛塗ってた。その椿油が今も残っている。なんかいいですよね、温かみのあるストーリーで

新生活は1人ではなく、知り合いから譲り受けた相棒の猫「りんご」が一緒で寂しくはない。

三橋英里奈さんは、再び高田暮舎で働くことになった。

高田暮舎では、これまでに20件の空き家を売り物件としてウェブサイトで紹介していて、このうち11件のマッチングに成功した。今後は、簡単な清掃や点検、換気など空き家を管理する事業を新たに始める予定で、三橋さんが担うことになる。

三橋英里奈さんは、新型コロナウイルスの対策で2週間は人に会うのを自粛していたため、この日(4月9日)が地域の人に対して初めてのあいさつ回り。

この春新しく入った神奈川県出身の落優介さんと一緒に空き家物件を下見。

古く見るのではなくどうできるかを見る

明治に建てられた築130年以上の家。

さびれて住むのは難しいように思えるが、2人には違ったように見えていた。

三橋英里奈さん:
高さいいね。秘密基地みたい。いろいろ工夫したら楽しく暮らせそう

そこには、一見マイナスに思えることもポジティブに捉えて価値を見出そうとする発想があった。

自分で良い空間を作れるのが空き家

次に2人は、三橋さんの大家さんのもとを訪ねた。地域の人も集まっていた。

ーーこの地区で空き家は増えてる?

大家・佐藤かよこさん:
増えてる、増えてる

村上君夫さん:
これから先は見えてる

大家・佐藤かよこさん:
ありがたいよね

村上君夫さん:
いつまでいるか知らんけど、ずっといてもらいたい

大家・佐藤かよこさん:
1年でも長く、できればずっといてほしい

三橋英里奈さん:
大切に使います

三橋さんは、自分が手がけた空き家の現状を書き記した冊子も配った。

三橋英里奈さん:
空き家の話とか聞いた時に、冊子を貸してみてください。

三橋英里奈さん
人は少なくなっても、住んだ人たちが誰も住まなくなった空き家を通して、楽しいって思えたり、ここにきて良かったと思える空間を家から作っていきたい

地元の人が見逃してきた地域の魅力や、誰も住まなくなった空き家に新たな価値を見出す三橋英里奈さん。こうした都会の若者の視点が復興の大きな力となるかもしれない。

(岩手めんこいテレビ)