外出自粛の長期化で子供や親のストレスが増加?
新型コロナウイルスの感染拡大による休校や外出自粛の長期化で、自宅で過ごす子供や親たちはストレスを抱えているのではないだろうか?
そうした人たちに向けて、国立成育医療研究センターが子供と親に向けたストレスの対処法を「新型コロナウイルスに負けないために 親子でできるストレスコーピング編」と題してホームページで公開した。
作成したのは同センターのこころの診療部リエゾン診療科のスタッフ。ストレスによって、「子どもたちにどのような反応が出てくるのか?」「大人がどう子どもたちと向き合い、どのような距離を取ればいいのか?」などが全15枚のスライドで紹介されている。
国立成育医療研究センターの担当者によると、今回対処法を公開した理由は、
「COVID-19 感染拡大にともなう、不安や恐怖、そして、緊急事態宣言が行われ、休校や在宅勤務、テレワークなど、非日常の連続です。このような状況で、私たち人はみな、それぞれの立場でストレスを抱えている状況が予測されます。
よって、様々な学会などから出ている資料をまとめ、このような情報提供をすることを当センターの仲間と決めました。あえて、からだもこころも同時にケアやメンテナンスを大事にしてほしいというメッセージがあります」だという。
こうした思いから作成された子供と親に向けたストレスの対処法。その内容を紹介していく。
子供のストレス、どのように心と体にあらわれる?
まずは子供たちのストレス反応だ。
環境の変化(休校、外出自粛、入学式などの中止)や新型コロナウイルスに関する新しい情報が毎日入ってくることで、子供のこころとからだにどのようなストレス反応がみられるのかというと…
【からだの症状】・・・頭が痛い、おなかが痛い、眠れない
【行動面の変化】・・・落ち着きがない、食欲が増えるor減る、いつよもよりよくしゃべる、
よく泣く、しがみついて離れない、言動が幼い、夜尿・おもらし、
わがままになる、遊びの中で繰り返し今起こっていることを再現
これらの反応は自分を守るための“こころの防御機能”である一方、放っておくとどんどん悪くなる可能性があるという。
子供のストレスに対処する6つのポイント
それでは、子供のストレスにどう対処すべきか? 対処法には以下の6つが挙げられている。
(1)子供に状況をわかりやすく説明する
・正しい情報をごまかさず正直に。
・その子の年齢に合った言葉で。
・誰かのせいではなく、目に見えないウイルスのせいであることを伝える…など。
(2)安心と安全を保証
・日常を維持する(いつもと同じ時間に起きる、規則正しく食事をとる、など)。
・家で留守番をするとき、感染予防の約束などを子供と一緒に考える。
・離れていても定期的にコミュニケーションをとる。
(3)子供の気持ちを聴く
・子供の話を聴く前には、どんな気持ちでもふたをせずに気付けるように手助けする。
どんな気持ちでも伝えて良いことを伝える。
・話し始めたら、否定せず受け止める。受け止めたことを伝える。
つらくても子供なりにがんばってることを認め、褒める。
(4)子供と一緒に予定を立てる
・一緒に風呂掃除するなど子供のできそうな手伝いを一緒に考える。
・思春期の子供にはプライベートな時間・空間を保証する。
(5)親子でできるアクティビティを取り入れる
・ラジオ体操、ストレッチなどで体を動かす。
・ゲーム、粘土、お絵かきなど室内で遊ぶ。
(6)人との絆を大切にすること
・園や学校の友達や先生、祖父母やいとこなどの親戚、部活の仲間などつながりを意識する。
・子供自身が電話やメール、SNSなどで連絡が取れるようにする。
親自身のストレスに対する対処法とは?
ストレスを抱えるのはなにも子供だけではない。親も環境の変化、運動不足、経済面の心配、子供と関わる時間が増えたことなどからストレスを感じていることだろう。同センターのスライドでは、親自身はどのようにストレスに対処すべきかについて、「大人のセルフケアも大切」だと紹介している。
(1)セルフケアチェック
・1日1回は立ち止まって、自分のこころの状態をチェック
(大人のこころの状態は、子供の心の状態に大きく影響を及ぼすという)
(2)リラックス法を見つける
・おしゃべり、ヨガ、ランニング、読書、音楽を聞く、など。
・深呼吸、筋弛緩法、マインドフルネスはどこでもできるのでおすすめ。
(3)相談先をみつける
・ひとつでも多く見つけておくことが大切。
なお同センターでは、「新型コロナウイルスに負けないために セルフケア編」というスライドも公開しており、こちらではストレスに向き合うためのセルフケアチェックもできる。
そして親子のストレス対処法の最後には、こんなメッセージを出している。
どんなにがんばっても気持ちが落ち込んでやる気がでない…
いつもより集中できず、気が散って、イライラする…
人や自分を傷つけて、物を壊したりしてしまう…
これらは「がんばりすぎのサイン」で、
自分を責めたり、一人で抱え込んだりせず、早めに専門家に相談してほしいとのことだ。
これについて担当者は、「対処できない場合、難しい場合、ご本人さんの努力不足ではありません。一生懸命に対応した結果、心身が疲れてきているのかもしれません。どうかおひとりでがんばりすぎず、おひとりで抱え込まず、どなたか信頼できる人にご相談いただくか、または、遠慮されずに各自治体の相談窓口、心身の相談ができる医療機関、などにご相談ください」と付け加えた。
国立成育医療研究センターのホームページには、親と子のストレス対処法についてさらに詳しく紹介されている。子供や家族がストレスを抱えているという人はこちらを活用してみてはどうだろうか。そして担当者が言うように、どうにも対処できない場合は各自治体の相談窓口、心身の相談ができる医療機関に早めに相談してほしい。
(スライド出典:国立成育医療研究センター)
「新型コロナウイルスに負けないために 親子でできるストレスコーピング編」のスライドはこちら
「新型コロナウイルスに負けないために セルフケア編」のスライドはこちら
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