子供が読んでも分かる、新型コロナのスライド資料
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、藤田医科大学(愛知県)の感染症科がスライド資料『コロナウイルスってなんだろう?』をホームページに公開し、それが今、Twitter上で広がっている。
作成したのは、同大学感染症科の医師、櫻井亜樹さんで、タイトル通り「『コロナウイルス』とは何なのか」を小さな子供にも分かる言葉で全12枚のスライドで説明しているのだ。
たとえば、基本的なところでは「熱・せき・くしゃみなどをひきおこす『かぜ』の原因となるウイルス」で、「つば・せき・くしゃみにのって、人から人へと感染します」としている。
また、子供への影響については、「この新しいコロナウイルス、『小学生』は苦手みたいです」とし、「子供がウイルスに感染しても、なにもおきない、またちょっとした『かぜ』くらいですむことが、ほとんどです」と説明。
日々、感染者が増えている中、むやみに子供の不安を煽らない内容となっている。
一方で、高齢者については「おじいちゃんやおばあちゃん、もともと病気のある人が、この新しいコロナウイルスにかかってしまうと大変です。重い病気になり、命をおとすこともあります」と、その危険性も指摘。
このように新型コロナウイルスの特徴を説明した上で、ウイルスを広げないためにできることとして「手あらい」「せきエチケット」「かぜをひいたら家で休む」の3つを予防法としてあげた。
全スライドに共通するのが、漢字にはルビをつけ、合わせてイラストを用いてやさしく説明していることだ。
新型コロナウイルスへの不安が続く中、どのような思いがあって、このような子供向けのスライド資料を公開したのか? また、このスライド資料には「監修:小学生」と記載されているが、小学生はどのように関わったのか?
スライド資料を作成した、櫻井亜樹医師に話を聞いた。
きっかけは「クルーズ船の乗員乗客の受け入れ」
――スライド資料を作成した経緯は?
藤田医科大学では2月18日より、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員乗客で、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性になった無症状の方を、開院前の「岡崎医療センター」でお引き受けしています。
岡崎医療センターでの受け入れにあたり、岡崎市教育委員会より「児童への説明に使えるような分かりやすいスライドを作ってほしい」というご依頼をいただき、作成にあたりました。
作成したスライドを2月25日に岡崎市の教育委員会主催の小中学校校長会で紹介したところ、好評だったため、より多くの方に使っていただこうとスライドのPDF版を、2月26日に「藤田医科大学微生物学講座・感染症科のFacebookページ」に、また27日に「藤田医科大学医学部 微生物学講座・感染症科のホームページ」に掲載させていただきました。
――どのような思いがあった?
岡崎市には多くの児童生徒が在籍しており、今回の受け入れにあたり、近隣住民の皆様、保護者・児童の皆様に多大なるご不安・ご心配をおかけしていることかと思います。
少しでもそういった不安の軽減に役立てばと思い、作成にあたりました。
資料作成には小5、小2からアドバイス
――資料には「小学生」が監修したとあるが、この小学生はどのように関わった?
これまで「子供向け」の教材(資料)を作ったことがなかったため、一度作成したスライド資料を子供達(小5、小2)に見てもらい、アドバイスをもらいました。
小学2年生からは「フリガナ(ルビ)をふらないと(漢字が)読めない。でも内容はよく分かる」とのコメントをもらいました。
本当は、スライドにフリガナをふれればよかったのですが…そこまで手がまわりませんでした。
どうやって子供達に説明するか困っている親御さんに使ってほしい
――このスライドをどのように活用してほしい?
連日、テレビやニュースで「新型コロナウイルス」について報道されていますが、子供向けのガイダンスや教材は少なく、どうやって子供達に説明するか困っていらっしゃる親御さん・教育関係者の方も多いかと思います。
子供達に「今なにが起こっているのか」、また、なぜ“手洗い”や“咳エチケット”などの対策が必要なのか、理解し、実践してもらうために役立てて頂ければ幸いです。
なお、このスライド資料の監修を担当した「小学生」、実は、スライド資料を作成した櫻井医師のお子さんなのだという。
現在は臨時休校中であることから、多くの小中学生らが自宅で過ごしていることだろう。この機会に保護者の皆さんは、あらためて新型コロナウイルスについて説明してみてはいかがだろうか。
「コロナウイルスってなんだろう」の全スライドはこちら
(画像提供:藤田医科大学医学部 微生物学講座・感染症科)
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