政府の「基本方針」発表後の人の流れを調査

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府や自治体の対応はめまぐるしく変化している。

政府が「広く外出自粛の協力を求める対応にシフトする」などとまとめた 「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表した2月25日以降も、文科省が臨時休校中に児童生徒が公園で遊ぶことを認め、厚労省は(1)換気の悪い“密”閉空間、(2)多数が集まる“密”集場所、(3)間近で会話や発声をする“密”接場面の3つの“密”を避けての外出を呼びかけるなどしている。

(参考記事:「休校中の子どもも公園で遊んでいい」文科省が新型コロナ対策の見解を更新…その理由を聞いた
3つの“密”を避けて外出を…新型コロナで厚労省が新たな注意喚起を公表

そうした対応を受け、今、人の流れにはどのような変化があるのか?

クロスロケーションズの調査によると、この政府による“基本方針”が発表された2月25日以降、“都内の駅前スーパー”や“公園”で平日の日中の利用者が増えていることが分かった。

クロスロケーションズは、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)に基づく、匿名の位置情報ビッグデータを活用。そのデータをAIで解析した。

そして、2月25日以前の週(2月16日~22日)と、その後の3月第1週(3月1日~7日)の変化を比較したところ、基本方針の発表前と発表後の“人の流れの変化”が明らかになったというのだ。

公園や駅前スーパーの利用者が増加傾向

調査で、“都内の駅前スーパー”の複数店舗の時間帯別来店傾向を調べたところ、都内の駅前スーパーでは、昨年の同じ3月第1週に比べて、約5~20%来客が増加したことが分かった。

平日の日中の来店傾向は、従来はランチタイム後の13時~16時ごろの来店者数が減少していたが、今年の3月第1週では来店者数が増加する傾向がみられたという。

また、休日夕方のピークタイムが1時間前倒しとなったうえ、来客数も増加傾向となったことも分かっている。

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また、小中高等学校などの休校が始まった3月2日からの週は、住宅地の近くにある都内の公園に日中、人が集まる傾向がみられた。

東京・目黒区と品川区にまたがる、林試の森公園では、増加傾向が顕著にみられ、昨年の同じ3月第1週と比べて利用者数は2倍となった。

東京・世田谷区の駒沢オリンピック公園では、平日の日中、午前10時~午後4時の利用者数が増加した。同区にある世田谷公園においても同様の傾向があった。

一斉休校が始まったのは3月2日で、休校2日目となる3月3日以降に、子供たちと保護者が遊びに出かけた可能性が考えられるのだという。

一方で、繁華街に訪れる人は減少傾向にあった。

都心の繁華街6エリア(池袋、新宿、渋谷、銀座、上野、六本木)について、3月第1週は、昨年の同じ週に比べて、全てのエリアで減少傾向が明らかになっている。

クロスロケーションでは、新型コロナウイルスによる感染が国内でも広がり始めた2月1日~7日の人の流れも調査し、「第1弾」として発表している。それと比較して、どのようなことが見えてくるのか?

クロスロケーションズの担当者に聞いた。

政府の基本方針の発表で「行動の変化が顕著に」

――調査の方法を詳しく教えて?

クロスロケーションズでは、位置情報ビッグデータ(GPS匿名移動データ)分析プラットフォームを開発・提供を行なっており、今回はプラットフォームを活用し、分析・推計・視覚化した、人流情報を、調査レポートとして発表しております。

取得している移動データは、スマートフォンのアプリから取得されるGPSのデータになります。

個人情報に当たる部分は、弊社では保有・取り扱いは行なっておりません。また、移動データは位置情報のマーケティング利用を許諾いただいた方のみとなります。


――2月1日~7日の人の流れを調査した「第1弾」と比較して、気付いたことは?

繁華街へ出かける人は第1弾でも減少傾向にありましたが、政府の発表後はさらに20~30%減少しており、新型コロナウイルス感染拡大を懸念する人の行動の変化が顕著に出る結果となりました。

銀座と新宿における2月第1週の週末の来訪者数
銀座と新宿における2月第1週の週末の来訪者数


繁華街に訪れる人が減る一方で、自粛疲れによって警戒に緩みが生じているという指摘もある。

こうした中、25日夜に小池都知事が「感染爆発の重大局面」だとして強く呼びかけた週末の外出自粛。隣接する神奈川・千葉・埼玉などでも外出自粛を呼びかけているがこの要請で人の動きは
どうなるのか、引き続き注視していきたい。

(画像提供:クロスロケーションズ)


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プライムオンライン編集部
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