今年の注目選挙は「東京都知事選」と「衆院解散総選挙」の有無

昨年11月に在任記録を更新し、「憲政史上最長の総理」として2020年を迎えた安倍首相。2012年の首相再登板以来6回の国政選挙を勝ち抜いて長期政権を築き、自民党総裁任期が残り約1年9か月となった中、2020年は政権を全うするためにも極めて大事な年となる。そして選挙という点で、2020年の安倍首相が決断を問われるのが、衆議院の解散総選挙を行うかどうかと、東京都知事選への対応の2つだ。

今年の政治日程としては、通常国会が1月20日に召集される見通しで、6月下旬に会期末を迎える。そして6月18日には東京都知事選が告示され7月5日に投開票となる。さらに7月24日には東京五輪が開会し、日本中が五輪ムード一色になる夏を経て、秋には衆院議員の任期が残り1年を切り、解散総選挙のタイミングがより絞られてくるという流れだ。では都知事選と衆院の解散総選挙の2つはどんな展開をたどるだろうか。

都知事選では「反小池」の都連と「小池支持」の二階幹事長のせめぎ合い

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まず、都知事選を巡っての現状だが、自民党では、東京都連を中心に現職の小池都知事への反発が依然として強い。2016年の前回都知事選では、小池氏の前に自民党推薦の増田寛也元総務相が敗れ、翌17年には都議選で小池氏率いる都民ファーストの会に自民党が惨敗した。

自民党都連はこの2連敗へのリベンジに闘志を燃やしていて、ある幹部は「都知事選は知名度調査だ。候補者決定は告示の前日でもいい」と述べるなど、最後まで小池氏への対抗馬擁立に向けた作業を進める考えだ。

だが、その一方で党本部の二階幹事長は小池氏の再選支持の姿勢を見せているほか、党内には「五輪直前の対立構図は避けるべきだ」との声が上がる。それぞれの思惑が“首都決戦”に向けて複雑に絡み合っている。

衆院解散のタイミングは「ポスト安倍」をめぐる情勢が左右

一方の衆院解散の判断については、安倍首相の総裁任期が2021年9月に満了を迎え、その直後の10月には現在の衆院議員の任期が満了を迎えるということがカギを握っている。つまり安倍首相が今年、衆院を解散するかどうかは、ポスト安倍を決める総裁選と密接に関係してくるのだ。

仮に安倍首相が衆院解散を行わないままに2021年秋の総裁任期満了を迎え退任した場合、総裁選で選ばれた新首相は、就任の直後に総選挙に臨むこととなってしまう。新政権は"選挙管理内閣"の色合いが濃くなり、党所属国会議員や党員は、総裁選で事実上“選挙の顔”を選ぶわけだ。

そして"選挙の顔選び"になった場合には、安倍首相の“宿敵”でありながら、国民からの根強い人気を維持している石破元幹事長に有利に働くと見られている。そのため安倍首相が、石破氏ではない意中のポスト安倍候補への禅譲を狙うならば、衆院選を目前にした総裁選はリスクが高いのだ。

そこで永田町で囁かれているのが、東京五輪が終わったタイミングで首相は解散を断行すべきだとする"今年秋解散説"だ。

本命は今年の秋解散か…安倍首相に2つのメリット

今年秋の解散には、安倍首相にとって2つのメリットがある。1つは、“IR疑惑”国会になりそうな今年の通常国会で安倍内閣の支持率が下がったとしても、五輪ムードの影響で支持率は秋には回復している可能性が高いということだ。その追い風を受け「五輪後の国の在り方」を問うて勝利すれば、安倍首相の信念である"憲法改正"に堂々と挑戦できる環境が整うことにもなる。

もう1つは、衆院議員の任期がここでリセットされれば、来年秋の総裁選は次の総選挙をそれほど意識せず行うことができるため、総裁選に関して安倍首相の思惑が通りやすくなるという要素だ。

折しも安倍首相は7日の自民党の仕事始めで、「桃栗三年柿八年」の諺に触れ、「柚子は9年、柚子までは責任をもって大きな花を咲かせていきたい」と発言し、来年までの総裁任期を全うする考えを示した。

となれば任期満了での「追い込まれ解散」を避けるとともに、自身の悲願の憲法改正を実現するエンジンとしての、五輪後の秋の解散断行は有力な選択肢になる。


課題としては「憲法」を争点にした解散には連立パートナーである公明党が慎重姿勢であることがあげられるが、安倍首相が“解散権は首相の専権事項”として公明党の反対を振り切って憲法改正を前面に出した解散を決断できるかどうかが注目だ。

また、今年秋の解散はすでに本命視されているため、野党への奇襲にはならず自民党に不利ではないかという見方もある。ただ自民党の選挙関係者に聞くと「かつては、選挙はこの時期にやるとみんな薄々感じながら準備をしていた。過去2回の選挙が奇襲だっただけで、何ら問題はない」とのことだった。

2020年の衆院は常在戦場。どのタイミングで解散のアクセルを踏むのか、安倍首相の発言と決断に一層の注目が集まりそうだ。

(フジテレビ政治部・自民党担当 門脇功樹)