2月3日の“節分の日”が近付く中、宮城県仙台市の仙台うみの杜水族館の一風変わった展示が話題となっている。

それがこちらだ。


2月3日は節分!ということでアナゴの恵方巻き(笑)水槽の登場です。
今年の恵方は西南西。アナゴ(ウナギ)は代表的な具材のひとつなんですよ〜


コメントとともに投稿されたのは、恵方巻きに見立てた真ん中が空洞になっている模型の画像。その中からアナゴが顔を出している。“恵方巻き”から顔出すアナゴの様子はなんともシュールだ。

どこか居心地が良さそう…
どこか居心地が良さそう…
この記事の画像(6枚)


Twitterでは「この発想はなかった(笑)さすが宮城!アナゴ食べたくなったわ〜」「かわいいw狭い所大好きなアナゴたちにはぴったりですね」「この展示めちゃ好きです笑」など称賛の声があり、話題となっている(1月22日現在)

とても面白い試みだが、なぜちょっとシュールな「アナゴの恵方巻き」という展示を作ったのだろうか? 仙台うみの杜水族館の担当者に聞いた。

穴の大きさにこだわり、ちょうどいいサイズに

ーーなぜこの展示をしようと思った?

今回、季節の展示(節分)のアイデア会議の中で、元々展示にあるアナゴの筒を巻き寿司風にしたら、恵方巻きに見えないか、というアイデアが出ました。そして恵方巻きについて調べて、アナゴが代表的な具材のひとつであることが分かりましたので実施にいたりました。


ーー素材は何でできている?

筒は塩ビ管、ご飯と具材は発泡スチロール、海苔は黒いネットです。


ーーアナゴはすんなり“恵方巻き”に入った?

閉館後に設置して翌朝には入ってくれていました。展示をしている日中は誰かが抜けた後に、すんなりと次のアナゴが入っているのを見たことがあります。
顔を出しているアナゴが抜けた後に、次のアナゴが顔を出したりしています。


ーー入りやすいように何か工夫はある?

穴の大きさはちょうどよいサイズにこだわっています。また、正面を少し上にあげることで頭を正面に出すようにしてあります。素材などは水中で生物に影響が出ないものを選んでいます。


ーーいい感じに顔だけちょこんと出すのはなぜ?

身を隠していますが、危険が及んだ際にすぐに隠れることができるように周囲を警戒していると考えられます。

恵方巻きに変更される前の展示
恵方巻きに変更される前の展示

“恵方巻き”をアナゴが取り合いになることも

ーー水槽にアナゴは何匹? “恵方巻き”の取り合いにならない?

アナゴは約20匹います。ほかに隠れるところがない場合、取り合いになることもあります。


ーーアナゴはどれくらい“恵方巻き”の空洞の中にいる?

数匹入れますが、顔を出せるのはサイズ的に1匹だけです。たまに尻尾も出ています。
穴から顔を出しているのは1匹ですが、3匹くらい常時入っています。アナゴは恵方巻きの中に長ければ1日中います。


ーーアナゴは恵方巻きの穴を気に入っている?

取り合いになっていたり、じっとしていたりしているところを見ると、気に入っているのだと思います。


ーー節分が終わったらどうするの?

季節展示ですので、2月3日で終了します。


「水槽の前で写真を撮る方が増えました」

ーープレゼンしたときの社内の反応は?

みな笑って、アナゴの展示に対する、反対意見はありませんでした。仙台を含め東北の太平洋側の沖合いは世界三大漁場のひとつといわれているように、様々な魚が水揚げされる豊かな海です。

「魚と食」の考え方に抵抗はありません。興味を引く展示を通して、魚の知識(今回で言えばアナゴの習性)や、日本と魚の関係、東北の海の魅力など、伝えていきたいと日頃から考えています。


ーー来場者の反応を教えて

「お寿司になってるよー」「おいしそう」「かわいい」「シュールで笑える」「アナゴの表情がかわいい」「特性を生かした見事な恵方巻き」などの声があり好評です。


ーー反響はあった?

水槽の前で写真を撮る方が増えました。遠方から見に来てくださる方もいるようです。


ちなみにこの“恵方巻き水槽”は、今年の恵方である「西南西」を向いているという。

今回の展示は、アナゴの習性や日本と魚の関係、東北の海の魅力などを伝えたいという思いの結晶だった。そしてアナゴたちも気に入っているようで、リラックスした表情はどこか癒される。
期間限定の展示ということで、気になる人はぜひ仙台うみの杜水族館に行ってみてはどうだろうか。

【関連記事】
偶然捕獲した不気味な「謎の魚」は何? “独特の模様”のワケを深海魚の専門家に聞いた
「魚のカレイが華麗にアピール!? “立ち泳ぎ”もできて「意外と人懐っこい」

いきものディープランド」特集をすべて見る!
いきものディープランド」特集をすべて見る!
プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。