めざまし時計をセットしてもなかなか起きることができない。二度寝してしまう。
朝起きるのが苦手という人も多いと思うが、そんな人を助けるアプリが登場した。それがメザミー株式会社が開発した、“寝坊も二度寝も絶対にできない”アプリ「メザミー(Mezamee)」だ。
このめざましアプリは、設定した時間までに、登録した場所(起床場所)から100m以上離れて位置情報を送信しないと課金されてしまうシステムとなっている。
この記事の画像(18枚)使い方は、アプリの地図上で自宅などの起床場所、家を出る時間、課金される金額(覚悟の金額)を設定し、クレジットカードを登録。あとは設定した時間までに、起床場所から100m以上離れてボタンをスライドして解除(位置情報を送信)するだけ。
金額は最低100円から自由に設定でき、寝坊や二度寝をしない限り一切課金されることはない。なお課金されたお金は、メザミーの運営費に充てられるという。
実はこのメザミーだが、2021年4月からWeb版で開始していたのだが、一部の寝坊する人たちの「Webじゃなくてアプリだったら使って早起きするんだけどなあ」といった話を聞いたことで、9月21日にiPhoneアプリ版がリリースされたのだ。
自身の経験から誕生しためざましアプリ
たしかに、一回家から出てしまえば目が覚めて、二度寝することはなくなるかもしれない。そして、自分がもったいないと思える“覚悟の金額”を設定することで寝坊の抑止力にもなるだろう。しかし、なぜ100mという距離なのだろうか?現在の反響はどうなのだろうか?
メザミー株式会社の岡崎雄一郎代表取締役に聞いた。
ーー「メザミー」開発のきっかけを教えて。
きっかけは、自分自身が朝ちゃんと起きられなかったからです。いろいろな目覚ましアプリなど使ってみましたが満足のいくものはなく、「朝の時間を有意義に過ごす」ということがどうしてもできませんでした。「明日から早起きしよう」と何度も思いましたが、目が覚めるといつも「明日からでいいかな」と思ってしまいました。
眠りから覚めること自体はそこまで難しくなく、スマートフォンに備え付けのアラーム機能で簡単にできましたが、その後が問題でした。一度目が覚めてもベッドでそのまま二度寝してしまったり、ベッドを出てもリビングでダラダラとしてしまったり、目が覚めた後の行動を促す何かが必要でした。
同じように悩んでいる人は案外多くいるのではないかと思い、自分自身のため、そして同じ悩みを持つ人たちのために「決めた時間に起きることができて、二度寝せず、朝の時間を必ず有意義に過ごすことができるプロダクト」を作ることにしました。
自分自身の経験から、家にいるとベッドから出ても目が覚めてすっきりすることはなく、絶対に二度寝やダラダラすることを防げないと思ったので、一度外に出て目を覚ますのを強制する仕様に。また、大きな音を鳴らすなどは不快だと思ったので、それ以外の方法で気持ちに強く働きかける仕組みとして「罰金」を用意しました。
ーーなぜ100mという距離なの?
一度家から離れて少しでも歩いてもらえれば何メートルでもよかったのですが、あまりにも距離が短いと位置情報取得の精度の問題で判定が難しい(特にWeb版)ということもあり、わかりやすく100mとしました。この距離に関してはユーザーが変更できるようにする予定です。
ーー覚悟の金額の上限はある?
現在のところ、上限設定はありません。ユーザーが自由な金額を設定できます。100~500円程度で設定する人がほとんどです。1000円くらいまではちらほらいますが、1000円を超えて設定する人は少ないです。
ーーこだわった部分を教えて。
とにかく一度決めたら絶対に「朝の時間を有意義に過ごせる」ように設計したつもりです。例えばですが、「〇〇しないと止まらないアラーム」などであれば止めた後に二度寝はできてしまいますし、アプリ自体を消してしまえば意味はありません。
メザミーでは、翌日の家を出る時間を設定すると、アプリを消してもキャンセルすることはできず 、課金されないためには必ず自宅から100m以上離れて位置情報を送信しなければなりません。設定を解除するか課金されるまでは登録したクレジットカード情報も削除できません。
設定した時間の6時間以上前でないとキャンセルもできないので、夜中に目が覚めた際に「やっぱりやめておこう」とキャンセルすることもできません。ユーザーが本当に課金されたくない金額を設定さえすれば、必ず早起きできて朝の時間を有意義に過ごせる、そういったプロダクトになっていると自負しています。
在宅ワークをしている人にこそおすすめしたい
ーー現在の反響は?
反響としては主に以下のようなものがあります。
(1)「やめられなかった二度寝がやめられるようになった」「朝の散歩が習慣になった」など、サービスを実際に使った肯定的な声。
(2)「アイデアがすごい、面白い」など、サービスのユニークさを面白がる声。
(3)「ほっとくだけで儲かるボロい商売」「アコギな商売」など、ビジネスモデル に対する批判的な声。
(4)「課金されたお金は寄付された方が良い」という声。
ーーその反響に対してはどのように思う?
(1)については、自分自身もメザミーを使って早起きができるようになったので、自分と同じような人たちの役に立っていると思うとシンプルに嬉しいです。
(2)についてもとても嬉しいですが、「寝坊すると罰金」というアイデア自体は特に非凡なものではないと思っています。サービスとして具現化する人がいなかっただけで、同じようなことを考えていた人は多くいたのではないでしょうか。
(3)については、現状メザミーは大きく赤字なので全くの見当外れなのですが、外から見るとなかなか分からないものなのかもしれません。また、新しいこと、ユニークなことというのは、特にお金が絡むと批判を受けやすいものだと思っています。信じてもらえないかもしれませんが、「寝坊すると課金」としたのは儲かりそうだからではなく、その方法が早起きに1番効果的だと思ったからです。実際のところ赤字ですし、別のマネタイズ方法を考えていくつもりです。
(4)について、課金されたお金が寄付されるのであれば起きないのでは?と思います。「寄付されるならまあいいか」という心理になるのではないでしょうか。望まない課金を強制されるからこそ効果があります。極端な話、「課金されたお金は私が全部キャバクラで使います」の方が効果的だとすら思いますが、もちろんそんなわけにはいかないので、課金されたお金は赤字の補填に回します。
ーーどういった人にこそオススメ?
在宅ワークをしている人にこそおすすめしたいです。朝のうちに外に出る機会がないと、1日にメリハリがつきません。出社がないと外に出るきっかけはなかなか作りづらいと思います。5分でもいいので朝の散歩をしてみるととてもすっきりします。近くのコンビニにコーヒーを買いに行って戻ってくる、などもおすすめです。もちろん、ランニングをしたりジムやカフェに行くのも良いと思います。
朝少しでも良いので外に出て朝日を浴びることで朝からすっきりした気持ちで活動でき、その日一日がメリハリのある充実したものになると思います。メザミーを朝外に出るきっかけにして欲しいと思っています。
実際にメザミーを使ってみた
「朝の時間を有意義に過ごすという体験」を提供するアプリだというメザミー。実際に休みの日は基本的には午後に起き、起きたとしてもぼーっとして朝の時間を無駄に過ごしてしまう筆者が、休みの日に実際に使用してみた。
時間などの設定をし「覚悟を決める」というボタンをスライドするだけと、準備は簡単。なお金額は300円で挑戦することに。
そして当日の結果は、寝坊すると課金してしまうというプレッシャーがあったからか、メザミーとは別に設定しためざまし時計よりも、だいぶ早く起きることが出来た。メザミーの解除で外に出る必要があるためか、起きた瞬間からパッチリと覚醒し、久しぶりにスッキリした目覚めを経験した。
メザミー解除のため外に出ることも別に不快ではなく、軽く体を動かすことで、意識のみならず体の目覚め特有の怠さが解消され、家に戻る頃には余裕ある朝の時間を確保することができた。
ただ、「課金してしまうかもしれない」といったプレッシャーを感じながら眠ることになるので、眠りにつくのが少し苦手という人は、もしかしたら寝不足になってしまう可能性もあるので注意してもらいたい。
最後に岡崎さんに改めてメザミーについて聞いた。
ーーメザミーの魅力を改めて教えて。
一度決めたら朝必ず外に出ることができる、という点です。寝る前は「明日からは早起きして充実した朝を過ごそう」と思っていても、 目が覚めたら結局「やっぱり今日はいいや、明日からにしよう」となってしまう人は多いと思います。メザミーを使えば二度寝はもちろんできませんし、外に出るので朝日を浴びることができます。少しでも朝日を浴びることは、セロトニンやメラトニンなどのホルモン分泌におおいに役立ち、体内時計を調節してくれます。朝日を浴びることで1日のリズムを整えることができ、そしてそれを繰り返せば日々の生活、人生を豊かにすることができると信じています。
また、メザミーは気持ちに働きかけて行動を促すため、大きな音の出る不快なアラームや、〇〇しないと止まらない面倒なアラームなどを使う必要はありません。メザミーと合わせて使えばごく普通のアラームで事足ります。この点もメザミーの魅力の一つです。
筆者は快適な朝の時間を手に入れることができたが、そういった時間を手にしたい人、または、予定に遅刻したくない人にとっては便利なアプリになるかもしれない。
(メザミーHP:https://mezamee.com/)