納豆「毎日1パック食べる」と“死亡リスクが2割低下”
日本人の国民食として好まれている「納豆」。
この納豆を“毎日1パック程度、食べる人”は、“ほとんど食べない人”に比べて、脳卒中や心筋梗塞などで死亡するリスクがおよそ20%低くなることが、国立がん研究センターの調査で分かった。
同センターの研究チームは国内の成人男女約9万人に対して、納豆、味噌などの「発酵性大豆食品」の“摂取量”と“死亡リスク”との関連を、およそ15年間にわたって調査。
「発酵性大豆食品」を食べた量によって5つのグループに分類した結果、「発酵性大豆食品」を最も多くとるグループ(およそ50グラム)は、最も少ないグループと比べ、男女ともに死亡リスクがおよそ10%低いことが判明した。
そして「発酵性大豆食品」の中で、最も死亡リスクを低下させたのが「納豆」。
納豆を、毎日およそ50グラム(1パック程度)食べるグループは、ほとんど食べないグループと比べ、男女ともに脳卒中や心筋梗塞など循環器の病気による死亡リスクが、およそ20%低いことも明らかになっている。
同じ発酵食品でも、なぜ“納豆を毎日1パック程度、食べる”と、“脳卒中や心筋梗塞などで死亡するリスクが低下”するのか?
調査を担当した、国立がん研究センター・分析疫学研究室の室長、澤田典絵さんに話を聞いた。
納豆が死亡リスクを低下させる要因は?
――“納豆を毎日1パック程度、食べる”と、“脳卒中や心筋梗塞などで死亡するリスクが低下”。この理由として考えられることは?
まず、今回、「発酵性大豆食品」が死亡リスクを10%下げることにつながったのは、主には、イソフラボン(発酵性大豆食品に含まれる成分)の血圧を下げる効果や脂質を改善する効果、そして、食物繊維(発酵性大豆食品に含まれる成分)がコレステロールレベルを下げ、体重の減少に効果があることが、主な要因かと考察しています。
――同じ大豆製品である「味噌」などとの違いは?
イソフラボンは水溶性なので、長時間、煮ることで消失されます。
このため、「豆腐」はおからを取り除くことで食物繊維がなくなりますが、「発酵性大豆食品」は大豆を丸ごと使うことが多いので、成分の消失が少ないとされています。
納豆については、味噌よりは塩分もありませんので、より、循環器の病気による死亡リスクの低下につながったのかもしれません。
脳卒中や心筋梗塞の発症原因のひとつが高血圧とされている。納豆は、“豆腐”などの大豆食品と比べると、加工の過程で栄養分の消失が少なく、“味噌”と比べると塩分が少ない。健康が気になる方は、例えば毎朝、“納豆ごはん”を食べるとよさそうだ。