聖火ランナーとして故郷への思いを伝える

田部未空さん、19歳。高知を走る聖火ランナーに選ばれた。

未空さんの友人:
選ばれたって言われて、えーって思って。そんな周りでいると思わんからね

田部未空さん:
一番リアクションがよかったと思う。みんなが

未空さんは高知大学の1年生。二十歳になる節目の年に聖火ランナーとして伝えたいこと。それは故郷への思いだ。

高知県黒潮町佐賀北部地区。人口600人余り、高齢化率49.4%の中山間地域だ。大学の実習、地域のことを知るために地元の人から聞き取りを行う。

田部未空さん:
昔は籠を売りに来た人とか色んな人が家に来て、モノを売りに来たっていうのを話に聞いて

伊興木健二さん:
佐賀へ行ったら漁師さんがあるでしょ。そういう人が魚を売りに来たりとかしたり

田部未空さん:
歩いてくるんですか?

伊興木健二さん:
自転車で来たり

やって来たのは、和紙の原料、楮の加工場。佐賀北部産のものは「若山楮」と呼ばれ高い品質で美術品の修復にも使われている。未空さんは若山楮の特徴や生産工程を教わっている。

大石正幸さん:
こうした方がいいと思うもんがあったら遠慮することなく、言ってくれと大学生には頼んでいるんですけど。この子らは勉強に来ているけど、僕らも勉強させてもらっている

未空さんが通っているのは高知大学が全国で初めて開設した地域協働学部。少子高齢化など、地域の課題に向き合う人材を育てるのが目的だ。佐賀北部をはじめ、県内各地に学生が入り込み地域を盛り上げる活動を行っている。

田部未空さん:
いろんな方から話を聞いたりとか、地域の人が昔こういうことやってたんだっていうのを知るのはすごい、好きだし、佐賀北部の地域の方と、もっといろんな方と繋がれたらいいなって思っていますね

離島の高校への進学が故郷への思いを大きくさせた

未空さんの地域への思いに大きな影響を与えたのが高校時代。14歳で家族のもとを離れて県外、しかも離島の学校に進学した。

田部未空さん:
一回外でいろんなことを見てみたいなって思って、外から見た高知はほかの人に対してどういう風に映っているんだろうって思って。それを自分が外に行くことによって、新たな刺激をもらえるんじゃないかなと思って一回離れることを決意しました

向かった先は島根県。日本海に浮かぶ隠岐諸島、隠岐島前高校。「島留学」をキャッチコピーに全国から学生を受け入れている。教育の柱の一つに「地域」を掲げ、島ぐるみで高校を盛り上げている。

故郷から遠く離れた場所で出会ったのは全国から集まった同級生や島の活性化に汗を流す大人たち。未空さんは自分のルーツ、高知としっかり向き合いたいと考えるようになった。

田部未空さん:
やっぱ何も知らなかったから。高校3年間出てみて気が付いたことは自分は高知が好きって言ってるけど、どこが好きなのかとか、何があるのかとかもちゃんと言えない自分が悔しかった。それをもうちょっとだけちゃんと確かめる時間を作りたいなと思って帰ることにしました

昔を知る人から地域が抱える問題に耳を傾ける

この日は、佐賀北部の昔のことに詳しい松田安子さんの自宅を訪ねた。

田部未空さん:
お正月の過ごし方ってどんな感じですか?

松田安子さん:
昔はすごいお正月と言ったら楽しかったけど、すごい、若い人たちがみんな出て行ってしまって過疎化になってしまって、跡を継いでいってくれる人がないんですよね。そのうち、もうほんとにひっそりした地域になってくるんじゃないかなと思って。

地域が抱える問題に耳を傾ける。

田部未空さん:
私たちは1年から4年生までしか実習で関われないからちょっと無責任なこともあるなって、私は思ってて。私たちが入ってきたことによって少し状況が変わったとか、何か地域が頑張ろうと思えるその原動力になったりとか、そういうふうになればいいなって思ってはいます

聞き取りの後、地元の小学生と一緒にお昼を食べることに。未空さんは自分が学んだ地域のことを子供たちに伝える活動も行っている。

田部未空さん:
ここの地域でよかったとか、この地域にいることが誇りに思ってもらえるお手伝いをしたいなって思って。今を楽しく生きれる、今一瞬を少しでも楽しく元気に送れるようなそういう手助けというか、そういうこと一緒にできる、そういう存在になりたいなって思っています

4月、未空さんは聖火ランナーとして故郷・高知を駆け抜ける。

田部未空さん:
走ることで自分にも周りにも変化が起きたらいいなと思い走ることを決めました。自分が10年後20年後どうなってるのかとか、全然想像できないですけど、自分は高知が好きだっていう思いを貫き通してどういう場所であっても未来、そういう素敵な人になれてたらいいなって思います

(高知さんさんテレビ)