玉子焼きに茶碗蒸し、オムレツ、プリン…。
いろいろな料理やお菓子の材料として使われていることから、食卓に上がらない日がないほど卵は身近な存在ではないだろうか?
そんな卵に関する、ある投稿が今話題となっている。
「な、なんだって~(´⊙ω⊙`)⁈」とのコメントとともに、食料品店の卵売り場で撮影されたと思われる画像が添付。
画像には卵についての説明書きが写り、「知っていますか? たまごが大きくても小さくても黄身の重さは、ほとんど変わりません。大きなサイズは白身の量が多いのです。必要な料理によってサイズをお選び下さい」と紹介しているのだ。
Twitterでは「昔から知ってた」や「意外な真実!」「卵黄が欲しかった人には悲報ですね」などと様々なコメントであふれ、3万リツイートと6万6千いいねと注目されている。(11月1日現在)
たしかに昔も話題になったような気がするし、本当のような気がする。でも実際はどうなのだろうか? 鶏卵卸業の小林ゴールドエッグ(徳島県)の小林真作社長に話を聞いた。
「ほとんど変わりません」は語弊あり
――MやL Lなどと卵にはサイズ表記があるけど、これは何?
サイズの大小は重さで表記し、6グラム単位となっています。一般流通している卵で小さいのはMSでこれが52〜58グラム。その上がM(58〜64グラム)で、1番大きいのはLL(70〜76グラム)となっています。
――黄身が卵の大きさと関係ないというのは本当?
「ほとんど変わりません」と言ってしまったところには語弊があります。
個体差はありますが、卵が大きくなると黄身も大きくなる傾向があるからです。ただし、黄身の方が白身に比べて増加割合が少なく、また卵があまりに小さい場合は逆に黄身が減ることもあります。
これに関しては、過去に大学教授が研究された論文があるのですが、卵黄が1番多い割合になるのは、だいたいM付近なんですね。
さらに大きいサイズになると、白身の割合が増えていくというデータがあります。また、小さいSS(40〜46グラム)の場合は、逆に黄身の大きさも小さくなっていきます。
私自身も仕事で何万個という卵を扱ってきています。そこでの経験でもありますし、実際にこのように論文の結果としても紹介されているのです。
卵のサイズは日齢が経過した鶏の方が大きい
――卵の大きさにいろいろあるのはなぜ?
個体差ということもありますし、鶏の日齢によっても多少変わります。卵を産み続けることで産道が大きくなってくると、卵重が大きいものを生みやすいんですね。実際、2年近く育てた鶏だとL やLLの卵を産みやすいです。卵自体も全体が大きいものを生みやすいわけですから、したがってそれに合わせて黄身も多少大きいものは生みますね。それは間違い無いです。
大きさ別のおすすめ料理も聞いた
――ちなみに鶏が卵を産むペースってどんな感じ?
ざっくり言うと1日に1個です。生物学的には25時間周期とされています。鶏は本能的には夜明けからしか卵を産みません。今日夜明けに産んだ鶏がいたとすると、翌日には夜明けから1時間後、さらに次の日は2時間後に産み、だいたい産卵が午後に差し掛かってくると、1日産むのを休んでまた夜明けに戻るという形です。
――サイズの違いによるおすすめの料理はある?
小さめの卵でしたら、先ほどお話ししたように若鶏が生んでいる卵であることが多いんですね。若鶏の卵の特徴は、粘弾性の数値が高くいわゆる「張りがある」ことです。とろみを感じやすいのと立体構造がしっかりしているので、例えば目玉焼きを作った時に火加減などをコントロールしやすく、美味しく仕上がります。逆に玉子焼きやオムレツを作ると白身が凝縮して固くなり、美味しくないものになりやすいですね。
一方で大きめのLやLLでしたら日齢を経過した鶏であることが多く、割とふんわりとしたやめらかめの卵が多いです。このような卵でオムレツを作ると、ものすごく“ふわトロな”ものに仕上がりやすいです。
――今回に話題になったことをどう思う?
どのような理由であれ、卵に興味を持っていただけたのは嬉しいです。これだけ話題になっているというのは、やはりみなさんにとって卵が身近な存在だと認識しました。
実際は少し違っていたが、たしかにこれだけ話題になるということは、それだけ卵が身近な存在だからだろう。卵料理を作る際には、すぐにかき混ぜるのではなく黄身と白身の割合にも注目してほしい。