広島・安芸高田市長が市議会議員からどう喝されたとして物議を醸していた問題で、どう喝と名指しされた市議会議員が市長に賠償を求める訴えを起こした。

”どう喝騒動”が法廷闘争に

広島・安芸高田市の若きリーダー、石丸伸二市長。そして、どう喝した張本人として名指しされた山根温子議員。

主張が食い違う2人がついに法廷闘争へと発展した。

この記事の画像(18枚)

安芸高田市・石丸伸二市長:
このどう喝はさすがに私も見逃しちゃいけないなと思う

安芸高田市・山根温子議員:
真実を司法の場で明らかにするほかない

発端は議会での”居眠り事件”

争いの発端は”居眠り事件”だった。

2020年9月、議員の1人が市議会でいびきをかいて寝ていたのだ。議場にいびきが響く中、苦笑いをしていた石丸市長。

安芸高田市・石丸伸二市長(2020年9月):
眠たくならないような答弁にしないといけないな

そして議会当日に、石丸市長がツイッターで居眠りをした議員に「緊張感が足りない」とつぶやいた。

このつぶやきを問題視した市議会は、非公開の協議会に市長を呼び出し議員全員の前で説明を求める

安芸高田市・石丸伸二市長:
要はちょっと「体育館裏来いや」という感じですよね

この協議会の翌日、石丸市長は再びツイッターで「敵に回すなら政策に反対するぞと説得?恫喝?あり」。

今度は協議会で数人の議員から”どう喝を受けた”と投稿したのだ。

これを受けて2020年10月、すべての議員が集まる協議会が開かれた。

そこで、メディアの前で石丸市長が名指ししたというのが山根議員だった。

安芸高田市・石丸伸二市長:
山根議員には改めて、その真意、その理由、狙い、意図、目的、説明をしていただけると良いのかなって

石丸市長は、山根議員のみを名指ししたという。

これに対し山根議員は、どう喝発言の張本人が自分であるかのような印象を与えたと主張。石丸市長から、根拠のない誹謗中傷で選挙活動を妨害されたとして、6月9日広島地裁に500万円の賠償を求める訴えを起こした。

名指ししたのは女性だからか

安芸高田市・山根温子議員:
なんのために(私を)ターゲットにしたのか、女性だからたたきやすいと思われたのか

石丸市長は「敵に回すなら反対する」などと”どう喝”を受けたという。これに対し、山根議員は「議会は多数決」と発言したと主張する。

安芸高田市・石丸伸二市長:
議会を騒がせるなと、あまり騒いでるとあなた敵をつくるよというアドバイス。それはどう喝ですよ

安芸高田市・山根温子議員:
私はどう喝はしていません。これについては、市長がウソを言っている

提訴されたことについて、石丸市長は「今後弁護士と話し、よく訴状を見て対応する」としている。

混乱が続く市議会では、公募で選んだ民間の出身者を副市長とする人事案がすでに二度も否決されている。

市長と市議会は激しく対立しており、今後の行方が注目されている。

「名誉毀損にならないのでは」

加藤綾子キャスター:
今回は、どう喝なのかどうか、その受け取り方の食い違いから対立する形になっているのですが、住田さんはどうご覧になっていますか?

住田裕子弁護士:
そもそも、まだどういう文言なのかがはっきりしないんですね。
市長が言うには、「敵に回したら反対する」。そして、山根さんは「いや議会は合議体であり多数決で動きます」。
若干ニュアンスが違うけど、言ってることは「反対をしたらダメだぞ、敵に回すぞ」という意味で、「今までのような形では、今後も議会運営は難しいぞ」というような趣旨だと思うのです。

そして、多数の勢力を持って言ったということになると、一種の力を持ってのどう喝・脅迫という場合にも当たります。逆にそれに対して市長が「これはどういう意味だ」「真意を正したい」という形で再質問したのは、それはそれでアリだと思います。

しかも、一番気になるのは、非公開の場に呼び出して、多数で一種の”つるし上げ”みたいにやったわけですね。

そういうふうにして表沙汰にして、メディアの前でもやるということに関しては、やっぱり名指しをしても公人ですから「あなたは何を言ったんですか」「これは市政運営のために大事ですからちゃんとした形で信を問いたい」ということは公共目的・公益性があるので、私はこの場合はに関しては市長の行動は名誉毀損に当たりづらいなと思うんです

加藤綾子キャスター:
それぞれの言い分はあると思うのですけれど、まずは市のために何をすべきか、そこが疎かにならないようにしてもらいたいなと思います


(「イット!」6月9日放送より)