虐待死関与の半数は「実母」背景に“深まる孤立”か

最寄りの児童相談所につながる全国共通の虐待相談ホットライン「189=いち早く」が、12月3日から無料化された。その背景にあるのが、増加し続ける児童虐待だ。

11月5日、佐賀県で小学2年生の長女の頬や手にヘアアイロンをあてて負傷させたとして、29歳の母親を逮捕。11月6日には、福岡県で当時1歳の三男をエアガンで撃ってけがをさせた疑いで両親を逮捕。三男は肺炎で死亡した。

厚生労働省が発表している全国の児童相談所に寄せられた相談件数を見ると、2018年の速報値で15万9850件と、2008年の4万2664件から、10年間で約4倍に急増している。

後を絶たない子供たちへの虐待に、子を持つ親たちは…

2児の母親:
叩いたりとかは、結構身近で見るのは見ます。

2児の父親:
他のマンションから急に泣き声が聞こえたりとか、大丈夫かな?と思ったり。

2019年8月、厚生労働省が発表した子どもの虐待死事例の検証結果によると、主な虐待者として、実の母親が51.4%と半数を占めており、次いで実の父親が19%母親の交際相手が16.2%となっている。(2017年4月1日~2018年3月31日の0ヵ月児を除く事例381人)また、子供の虐待死に関わった母親の4割が10代で妊娠・出産しているという結果もある。

一方、全虐待死事例のうち、39.4%が転居を経験していて、地域社会や親族などとのつながりが希薄となり、孤立を深めていることが背景にあると推測している。

無料化の一方で課題も…多数の相談対応に追われる現場

虐待が疑われる事態に遭遇した際、連絡先の1つとして用意されているのが、最寄りの児童相談所につながる「虐待相談ホットライン189」だが…

2児の父親:
なかなか人様の家の事情もあるでしょうから、通告は難しい。

と、実際には電話を掛けづらいとの声もある。そこで、固定電話で3分間約8.5円だった通話料を12月3日午前8時半から無料化して、電話を掛けるハードルを下げた。

その一方、課題も残っている。めざましテレビが特別に許可を得て訪ねたのは、通告を受ける側である東京都北区の児童相談所。

整然と並んだ机に20人以上の職員が常駐していて、虐待だけで年間1200件ほど相談があるという。無料化の前日、所長に話を伺った。

東京都北児童相談所 横森幸子所長:
無料化になることで、児童相談所が受ける相談件数が増える可能性があると思っています。現在でも虐待対応件数がかなり増えているので、現場で果たして対応できるのかが非常に心配なところです。

現場では、多い人で100件以上の案件を抱えているという。さらに…

東京都北児童相談所 横森幸子所長:
児童福祉司の数を増やすだけでなく、その職員の人材育成も重要になってくると思います。

電話を受ける人手を増やすだけではなく、的確な判断ができる人材の育成が不可欠だというのだ。無料化で現場の混乱も予想されるという一方で、次のような期待も寄せた。

東京都北児童相談所 横森幸子所長:
無料化になると、より通告しやすくなるのではないかと思います。迷わずに通告していただいて、いち早く対応することで、子供の安全を迅速に守ることが可能になると思います。

児童相談所に19年間勤務経験のある心理カウンセラーの山脇由貴子氏は、少しでも不審に思ったら「189」に電話をすることが大切だと呼びかけている。また、屋外に出されているなどの虐待行為を直接見た場合は、すぐに「110番」することが肝心だという。

(「めざましテレビ」12月3日放送分より)