手をかざされると大人しくなる子ウミガメが話題

小笠原海洋センターの“非公式”Twitterアカウント(@mt_seaturtle)が投稿した子ウミガメの姿が今、新たに話題となっている。

同センターの子ウミガメと言えば、過去には甲羅を磨きやすいように前肢(前足)を上げて“バンザイポーズ”を取ってくれる姿が可愛いと注目を集めていたのだ。
(参考記事:「両手上げときますね~」ブラッシングしやすいように気を遣ってくれる子ウミガメが可愛い!

そして今回の姿がこちらだ。



「子ガメたちの身体計測 体重を量る時によくバタつくのですが、手を前にかざすとおとなしくなってくれます」

というコメントとともに投稿された画像に映るのは、ボウルの中で“気をつけ”をしている子どものアオウミガメだ。その視線の先には人間の手が見える。

小笠原海洋センターは、アジア地域の海洋生物と海洋環境の保全を目的とするNPO法人エバーラスティング・ネイチャー(ELNA)が運営する施設。世界のウミガメの生態などが展示されている「展示館エリア」と、実物のカメを見られる「飼育エリア」があり、「飼育エリア」では通年250~300頭の子ガメが飼育されているという。

この子ガメは、天敵から捕食される確率を低くするために人間の管理下である程度の大きさまで飼育するヘッドスターティング(短期育成放流事業)の1頭。

(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)
(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)
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この投稿は大きな反響を呼び、「魔法ですね!子ガメさん気をつけをしているみたい」「ハンドパワーでしょうか?」などのコメントが並び、約3万7000件のいいねを集めている。(12月9日現在)

カメと言えば足をバタバタさせているイメージがあり、それを裏付けるかのように同センターでは“暴れている子ガメ”を過去に投稿している。



それが、今回はこのように何かを悟ったような表情で寝そべる姿。人間の手から何かパワーを感じ取ったのだろうか?

小笠原海洋センターの獣医師に話を聞いた。

人間の手を敵と勘違いして萎縮している可能性

――手をかざして大人しくなるのは、この子ガメだけ?

このカメ以外にも大人しくしてくれる個体はいますが、逆に全く動じず、動き回る個体もいます。


――なぜ手をかざすと大人しくなるの?

はっきりとした理由は分かりませんが、手を敵と勘違いし、萎縮したような状態になっているのかもしれません。


――では大きくなったカメでは大人しくなってくれないの?

まだ試したことはありませんが、成長したカメは力がより強くなるので、恐らく子ガメのように大人しくさせるのは難しいと思います。

(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)
(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)

――ちなみにこの子ガメはいつ頃生まれた?

写真の個体は2019年の8月上旬にふ化しました。小笠原海洋センターで飼育後、来年の春から夏の間に放流する予定です。


――身体計測はどれくらいの頻度で行うの?

身体計測は月に一度行なっており、甲羅の長さと幅、そして体重を計測しています。今回の写真の個体は、直甲長(縦の甲羅の長さ)が約17cm、体重が約900gでした。

(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)
(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)

――バンザイしたり大人しくなったりと、いろいろな姿を見せてくれるウミガメ。この他におすすめの姿を教えて。

前肢を甲羅の上に折りたたみ、葉っぱのようにプカプカ浮いて休んでいる様子は可愛くて癒されます。過去にその様子をTwitterでも紹介しています。



“公式アカウント”にはフォロワー数1万人でなれるかも?

――今回も大きな反響となった。感想を教えて

私達が普段取り組んでいる業務の様子を楽しく紹介しようと思い投稿しましたが、前回同様、予想以上に大きな反響で驚いています。今回の投稿を目にした方が、小笠原海洋センターのこと、そしてウミガメについて少しでも知るきっかけになれば嬉しいです。


――フォロワーが5000人まで増えた。まだ“公式アカウント”にはなれない?

フォロワー数が1万人になったら、公式として認めてもらえるように上司にお願いしたいと思います!

(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)
(画像提供:エバーラスティング・ネイチャー)


日々の暮らしの中では、なかなか見る機会が少ないウミガメ。このような愛らしい姿を見せつつ生態も学べるので、興味のある方はTwitterをフォローしてみてはいかがだろうか。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。