「車は必要だけど…」 親の運転に悩める子世代にアンケート

深刻な社会問題化する、高齢者ドライバーによる危険運転。
12月1日にも、80歳の男性ドライバーが高速道路を逆走し、対向車と正面衝突して3人が死傷する事故が発生したが、ドライバーの男性はこの事故以前に近所の住民から免許返納を勧められていたが断っていたという。

逆走やアクセルとブレーキの踏み間違えなど高齢者ドライバーによる事故が後を絶たない中、セゾン自動車火災保険株式会社が、高齢者ドライバーの運転をめぐるアンケート調査の結果を発表した。

この調査は、子世代である全国40~50代・300名を対象に2019年8月にインターネット調査で実施されたもの。
その中で、半数以上の子世代が親の運転に不安を感じつつも、そのことについて十分に話し合いができていないということが分かった。

「両親の運転に、不安を感じたことはありますか?」という質問に対し、「よくある・たまにある」は64.0%「ない」は36.0%

「よくある・たまにある」と回答した人のうち、親の今後の運転について「話題にしたことも話し合ったこともない」のは40.1%
「不安はない」と回答した人は73.1%が親の運転について話し合ったことがない、ということがわかった。

6割以上の子ども世代が親の運転に不安を覚えているにも関わらず、その対策について話し合う機会がなかなかないという現状。
その理由の一つが、親世代の生活に車が不可欠とわかっている、ということだ。

「あなたの両親など、自動車を運転する高齢者にとって、運転は生活に不可欠か?」という質問に対し、「そう思う・ややそう思う」と回答したのは実に79.0%。「そう思わない・あまりそう思わない」と回答した5.0%を大きく上回る結果となった。

実際に、車が不可欠な理由としては「買い物など、日常の移動手段」が89.0%。次いで「自分の通院」が46.7%、「自分以外の通院や送迎」が30.7%で上位に挙がった。
公共の移動手段が少ない地域などでは、足腰が弱った高齢者は車なしの生活が送りにくいのが事実。送迎バスや宅配サービスを利用することができる地域ならばまだ良いが、やはり自家用車の方が融通が利くはずだ。

さらに、「免許返納のタイミング」を聞くアンケートでは、子世代も「自分の運転に自信がなくなった時」との回答が58.3%と最も多く、「家族から勧められた時」や「一定の年齢を迎えた時」を大きく上回る結果となった。

生活に車がかかせないこと、そして「自信がなくなるまで運転を続けたい」という気持ちを理解しているからこそ、なかなか親に「そろそろ運転、危ないんじゃない?」と切り出せない、悩める子世代。

では今、子世代がするべきことは何なのか。そして自然に免許返納の話を切り出す方法はないのだろうか。
セゾン自動車火災保険株式会社に詳しくお話を伺った。

子どもも知らない、親の運転にまつわる「ある事」

――まず、この調査をしたきっかけは?

近年、高齢者の運転による交通事故の報道が増え続ける中、高齢者の運転をとりまく課題や家族の向き合い方について、お客さまがそれらを考えるうえでの一助になればと思い、子世代である全国の40~50代の300名を対象に意識調査を実施しました。


――親の運転に不安を抱えつつも親子で話し合えない現状、この理由はどう分析する?

各ご家庭によりそれぞれ事情が異なるため一概には言えず、あくまで一例となりますが、「ちょっと気になるな」と思っていても、運転技術や免許返納といった話題は、親のプライドを傷つける可能性もあり、なかなか話を切り出しにくいという側面があるかもしれません。
高齢者ドライバーである親との話し合いを難しくする要因のひとつに、高齢者ドライバー本人が自分の運転の危険度をなかなか自覚できていないという場合があります。
さらに40~50代の多くが、「親など高齢者にとって、車は生活の足として欠かせない」とも回答しており、親の運転に不安を感じることが多くなってきても、親の今後の運転に関する話題はなかなか切り出しづらいものと考えられます。


――では、子世代はどのように話を切りこんでいくべき?


こちらにつきましても各ご家庭によりそれぞれ事情が異なるため一例となりますが、いざというときのために、親が加入している保険について把握しておくことも大切であり、まずは自動車保険の内容の確認を切り口に、運転や免許返納に関する話を始めてみるのも一つの方法かもしれません。


実際、そろそろ親と話し合わなくては…と考えている人の中にも、ストレートに言ってしまうとこのことをきっかけに険悪なムードになってしまったり、反対に「まだまだ運転を辞める気はない!」とかたくなになってしまったら…との心配を抱えている人もいるはずだ。

そこで、セゾン自動車火災保険株式会社が提案しているのが、「自動車保険」を話のきっかけにすることだ。

自動車保険を取り扱う企業ならではの視点だが、実は「両親の加入している自動車保険について知っているか」というアンケートでは、「会社名も契約内容も知らない」「保険に加入しているかどうかも知らない」という回答が63.4%という結果が出ている。

半数以上の子世代が親について「運転が心配…」と思っている一方で、ほぼ同数が「では、実際に事故が起きてしまったらどうなる?」ということを把握していないということも調査結果から言えるだろう。

まずは親が加入している「自動車保険」について、たとえば「運転する時間が減っているなら、もっと安い保険があるかもよ」などと提案することから始め、親の運転状況や、運転技術を確認することができる、としているのだ。

親の運転問題に切り込む「5つのきっかけ」

もちろん「自動車保険」は一例であって方法は他にもある。
セゾン自動車火災保険株式会社では、自動車保険に関する疑問に答える自社メディア「教えて!おとなの自動車保険 」を運営しているが、その中で、5つの「話し合いのきっかけ」をNPO法人高齢者安全運転支援研究会・平塚雅之氏との協力のもと紹介している。


【家族で話し合うための5つのきっかけ】
(1)「最近、体の調子はどう?」
(2)「運転中に怖いことはなかった?」
(3)「保険の見直しをしてみない?」
(4)「ドライブレコーダーを使ってみない?」
(5)「もし運転ができなくなったら、どうする?」



身体的な問題や、事故には至らずとも危険な出来事が起きていないかを確認すること、また、自身の運転を客観的に見てもらうためにドライブレコーダーを設置することも有効。
さらに、親子で「車がない生活」をイメージして、「どういうことで困るのか」「どんなサポートが必要なのか」を話し合うなどすると良いとのこと。

さらに、親と離れて生活をしているという人は、帰省の際などに

・車に傷がないか、汚れたままになっていないか
・タイヤに空気がきちんと入っているか
・ランプが切れたままになっていないか


などをチェックすることで、注意力や反射能力の低下、視野が狭くなっていないかなどを確認できるという。

これらの話し合いの中で大事になってくるのが、「頭ごなしに免許返納を勧めない」ということだ。
長く運転を続けてきた親世代にとって、車には実用的であること以上に手放しがたい愛着があるということもあるだろう。
まずはそんな気持ちを尊重し、その上で運転技術の状況や健康状態、車の使用頻度などを把握するようにするのが良い、とのことだ。

高齢者ドライバーの報道が相次ぐ中で、家族が危険運転の当事者になってしまわないように、とはやる気持ちを抑えて、家族間でしっかりと話し合いをしてみてほしい。

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