人の目を気にせず騒々しく会話する、座席に座っても詰めようとしない、満員なのにリュックサックを背負ったままでいる…。こうした、電車内での迷惑行為に悩まされた経験を持つ人も少なくないだろう。

そのような中、一般社団法人 日本民営鉄道協会が「2019年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」を発表した。このランキングは、同協会ホームページ上で「駅と電車内のマナーに関する」複数選択式の調査を2019年10月1日から2ヶ月間実施し、2676人の回答をまとめたものだ。

2019年度の「駅と電車内の迷惑行為ランキング」(図表提供:日本民営鉄道協会)

ランキングを見ると、かつて注目を集めた「酔っ払った状態での乗車」が9位(2018年度は7位)や「車内での化粧」が10位(同8位)などが、前年度より順位を落とした。

そして、2018年度に1位だった「荷物の持ち方・置き方」が3位にランクダウンした。2010年度の11位からこの10年間で上位にあがってきていたが、「背負いリュック」などが迷惑行為としてSNS上などで話題になったことで減ったということなのだろうか。

また、1位となった“席を詰めない”“足を伸ばす”といった「座席の座り方」については、2010年度から1度として3位以下に落ちたことがないなど、ずっと上位なことが分かる。

2010~2019年度の「駅と電車内の迷惑行為ランキング」を元に編集部で作成

また、2019年度から新しく追加となった項目も興味深く、「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」は、6位にランクインした。

今回の順位の変動は、「背負いリュック」が迷惑行為だという啓発活動がうまくいった結果なのか?
そして、「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」の新設は乗客からの声が多かったからなのか? 日本民営鉄道協会の広報担当者に話を聞いた。

「マナーが少しずつ浸透しているように思われます」

ーー背負いリュックなど、「荷物の持ち方・置き方」がトップから3位となったが?

リュックで通勤する方は増えています。しかし、リュックの改良や各鉄道事業者の啓発活動により、“満員電車ではリュックを前に持つ”などのマナーが少しずつ浸透しているように思われます。

ーーリュックマナーについては、これまでにどんな啓発活動をしていた?

協会では、昨年度のアンケート結果を利用したポスターを制作し、掲出しました。

他には各事業者もポスターを制作したり、車内放送で呼びかけをしているようです。また、協会から各事業者に調査結果を共有することで、それぞれの対策に役立てていただいております。

日本民営鉄道協会が2018年度のランキング結果を基に作成したポスター(提供:日本民営鉄道協会)

「座席の座り方」のランキングが落ちない理由

ーー 「座席の座り方」は、調査開始当初からずっと3位以内に入り続けている。どんな対策が取られている?

各鉄道事業者の方で、1人1人の席がはっきりと分かるような座席シートの採用や、「スタンションポール」と呼ばれる棒の設置により座席を区切ったりしております。また、車内放送やポスターを使った啓発をしているようです。

多くの電車内では、このような「スタンションポール」が座席の間に設置されている。

ーーでは、どうしてそれでもランキングが落ちないのか?

1人1人の心掛けが必要なので、一気に改善するのは難しいから、と思われます。

「咳やくしゃみ」の新登場…エチケットの周知が影響?

ーー「咳やくしゃみ」が2019年の調査で加わったが、以前から迷惑と感じる人がいたということ?

自由回答の「その他」として回答する方が目立ったことから、今回項目を追加しました。

ーーこれは、昨今の「咳エチケット」の周知も影響している?

影響はあるかと思います
が、こちらは今年度からの新規項目でもあり、過去との比較もできないため、影響の度合いについては測りかねます。

ーー「咳やくしゃみ」については、どんな啓発活動をしている?

協会から各鉄道事業者に調査結果を共有することで、それぞれの対策に役立てていただく予定です。

「ベビーカーについては集約しておりません」

ーー今回のランキング結果全体についての見解は?

今回のランキング上位の項目はもともと上位であるものが多く、順位の変動はありつつも、大きな変化があったわけではないと考えています。

ーーところで、「ベビーカーの車内持ち込みOK」が8割を超える調査が最近出ていた。本調査で特に挙げる人はいない?

本調査ではあくまで「迷惑行為」を対象としているため、ベビーカーについては集約しておりません。

ーー最後に、改めて電車内でのマナーについて一言。

マナー向上には1人1人の心掛けが必要なため、このアンケート調査をきっかけに、座り方をはじめ駅や車内での振る舞いについて考えていただけると幸いです。

月日が移り変わるにつれ、電車内でのマナーや迷惑行為の中身も変わってきている。今回のケースでいうと、荷物の持ち方・置き方がそこに当てはまるだろう。

ただ迷惑行為のランキングに並ぶ項目は、どれもちょっと利用客が意識するだけでなくなるものだ。鉄道協会の担当者が言うように、「マナー向上には1人1人の心掛けが必要」という意識を皆が持ってほしい。