夏の風物詩の金魚よりも、観賞用のメダカのほうが、今、人気が高いという。
メダカというと、かつては全国の水田で見られたものの、環境の変化などで減少。1999年には「絶滅危惧Ⅱ類」に指定された。
そんなメダカがなぜ今、人気なのか?
その理由を探るべく、日本メダカ共同組合理事長で、改良メダカと園芸の専門店「花小屋」店主の戸松具視さんに詳しく話を聞いてみた。
人気の理由は、飼いやすさ・品種改良の活発化・SNSの普及
この記事の画像(8枚)――メダカ人気、実感してる?
メダカの専門店を始めて17年になりますが年々売り上げは上がってきてます。
熱帯魚ショップでは、熱帯魚や金魚があまり売れず、メダカを販売する店も多いと聞きます。
――なぜメダカが人気なのでしょうか?
「飼いやすさ」と「品種改良がさかんになったこと」、あとは「SNSの普及」もあるかと思います。
――メダカは金魚と比べて飼いやすい?
金魚を飼うには、水槽、酸素を送るポンプ、水をきれいにするポンプ、ライトが必要です。
一方、メダカは手軽で、バケツと水があれば飼育できます。ポンプを必要としないため、電気代もかかりません。
突然変異種の登場で品種改良が活発化!
――いつから品種改良がさかんになった?
およそ20年前に“ダルマメダカ”の発見で、品種改良が活発化しました。
ダルマメダカは、突然変異種のメダカ。普通種のメダカは細身の体形ですが、ダルマメダカは体形が真ん丸。
この体形がメダカ飼育者に受け、品種改良がさかんになりました。
それ以降、赤い目の「アルビノ」、金魚のようなオレンジ色の「楊貴妃」など様々な品種が誕生していきました。
――今、品種はどれくらいある?
今、500~600種類と言われています。
しかし、実際はもっといると思います。
メダカの繁殖は難しくなく、自分で新しい品種を作れる
――メダカは、繁殖させやすい?
私は、小学5年の理科の授業でメダカの繁殖を経験しましたが、特別難しいものではありません。
メダカは4月下旬~10月上旬の繁殖時期には、毎日卵を産みます。
1日にだいたい15粒~20粒くらい。卵は全部孵化するわけではないですが、初心者でも10匹~50匹繁殖できます。
自分自身で今までにない新しい品種を作ることができるのも、メダカ飼育者が増える理由かと思います。
――新しい品種かどうか?どうやって判断する?
日本メダカ共同組合などでメダカの品評会が定期的に開催されています。
そこに出品し、認められれば、新しい品種になります。
1ペア5万円の高級メダカも!
――SNSも人気の要因?
インターネットで情報を集めやすくなり、みんなで情報共有できるようになりました。
最近は、メダカ飼育者もインスタグラムを使う人が増えており、お気に入りのメダカの写真をアップして楽しんでいます。
また、ネットオークションで、珍しいメダカの卵や稚魚を販売する人を見かけたりします。弊害として、中には、粗悪品が売られることもあるので、注意しなければいけませんが。
――お店で人気のメダカは?
最新の品種が人気です。
うちだと、3色ラメ体外光(3色でラメが出ており、体から光が出ている)や3色ラメヒレ長(3色でラメが出ており、ヒレが長い)が人気です。
良いものだと、1ペア5万円しますが、それでも欲しい人は多いです。
――最後に、戸松さんにとってメダカとは?
僕の人生ですね。小学生からずっと飼っていて、今はメダカの販売をしています。
一人のメダカ飼育者として、誰にも負けない良いメダカを作っていきたいです。
江戸時代の人たちは、涼を感じるために金魚を愛でてきた。
まだまだ暑い日が続くが、飼いやすくて“映える”メダカが、その座をとってかわる魅力にあふれていることは本当のようだ。